PS/55
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IBM PS/55 モデル5550-T
開発元日本IBM
種別パーソナルコンピュータ
発売日1987年 (37年前) (1987)[1]
販売終了日2001年12月31日[2]
OS日本語DOS K3.3以降
PC DOS 3.3以降
OS/2
Windows 3.x
前世代ハードマルチステーション5550
次世代ハードIBM PC Series
PS/V
ThinkPad
関連商品IBM PS/2
PC/AT互換機
モデル5550-Tの内部IBM PS/55 モデル5550-T 起動音

PS/55(ぴーえすごーごー、パーソナルシステム/55、英語: Personal System/55)は、日本IBM1987年から発売したパーソナルコンピュータのシリーズ。企業向けが中心だが、個人向けデスクトップPCのPS/55Z(ぴーえすごーごーずぃー)シリーズ、企業・個人向けノートPCのPS/55note(ぴーえすごーごーのーと)シリーズも含まれる。

IBM PS/2をベースに日本語表示機能を搭載した。前身はマルチステーション5550、後継はIBM PC SeriesPS/VThinkPadなど。
呼称

正式名称は「パーソナルシステム/55」(Personal System/55)、略称は「PS/55」である。

なお当時のIBMの製品系列とネーミングは以下であった。

ES/9000 - エンタープライズシステム(メインフレーム

AS/400 - アプリケーションシステム(ミッドレンジコンピュータ

RS/6000 - RISCシステム(UNIXサーバー)

PS/2 - パーソナルシステム(パーソナルコンピュータ、日本では従来は5550、1987年よりPS/55)

概要

IBMは世界的にはIBM PCファミリー(元祖IBM PC、IBM PC XTPC/ATなど)を発売していたが、日本では日本語表示が必要なためこれらは限定的にしか発売せず、代わりに日本独自仕様の「マルチステーション5550シリーズ」を発売していた。PS/55は5550シリーズの後継だが、ベースはPS/2であり、日本独自のディスプレイアダプタキーボード等を搭載した。

日本IBMは従来の5550系統も「PS/55シリーズ」としてしばらく併存させたため、「PS/55シリーズ」(広義)には大別して以下2系統が含まれる。

モデル M/Pまで - 旧5550系統(マルチステーション5550を参照)

モデル S/T/V以降 - PS/2系統(狭義のPS/55、本記事で説明)

旧5550系統(モデル M/Pまで)のアーキテクチャは日本独自仕様のため、PS/2系統(モデル S/T/V以降)とは、ハードウェア拡張カードディスプレイマウスプリンターなど)も、ソフトウェアオペレーティングシステムアプリケーションソフトウェア)も、互換性はほとんど無い。ただ、5550のユーザーの大半はパッケージソフトウェア(DOS文書プログラム、3270 PC、5250 PC、一太郎、Multiplanなど)しか使っておらず、データの互換性があれば済んだため、移行できた[要出典]。

PS/2系統は、PS/2ベースの日本語化(5550と同等の画面解像度、24ドット明朝体フォント)を専用の拡張カード(日本語ディスプレイアダプタ、D/A)で実現したために、従来の5550とは互換性が無い反面、PS/2とハードウェアおよびソフトウェアの互換性があった。1987年5月発表のタワー型モデルの5571-Sを最初に、上位モデルより順次投入され、旧5550系統と併存しながら段階的に置き換えた。当初はビジネス向けのMCAモデルのみだったが、後半は個人向けのPS/55zシリーズ、PS/55noteシリーズ(後のThinkPad)、更にはATバス(ISA)モデル、ソフトウェアのみによる日本語表示(DOS/V)なども登場した。一部のモデルはリコーに「Iシリーズ」としてOEM調達された[3]

なお、日本IBMは1985年11月に「5160パーソナルコンピューター」(PC/XT)と「5170パーソナルコンピューター」(PC/AT)、1986年7月に「IBM PCコンバーティブル」、1987年4月に「パーソナルシステム/2」(PS/2)も発売した[4]が、法人向け販売のみで、海外のような個人向けを含めた一般販売は行われなかった。
特徴

日本市場向けに以下の特徴が与えられた。
ディスプレイ・アダプターディスプレイ・アダプター II

旧5550から引き続き、テキスト画面は1040x725ドット(24ドット明朝体フォント、全角文字40桁25行)8色表示で、アダプター上のメモリーに文字コードを書き込むことにより、アダプターが漢字ROMからフォントデータを読み込んでディスプレイ端子に映像を出力する。グラフィック画面は1024x768ドット16色。これは後のXGAと同じ解像度だがソフトウェアの互換性は無い。これらの機能を担うハードウェアは「ディスプレイ・アダプター」(表示装置アダプターとも言う)としてMCAカードに集約され、システム装置に標準で搭載された。

最初に発売されたモデル5570-Sのディスプレイ・アダプターはPS/2のVGAと互換性がなかったため、モデル5550-Sからこの点を改良した「ディスプレイ・アダプターII」が搭載された。これは電源投入時点ではマザーボード上のVGAが有効になり、その映像信号がディスプレイ・アダプターからスルー出力される。JDOSの英語モードや後のDOS/VではそのままVGAを使用し、日本語モードではVGAを無効にしてディスプレイ・アダプターに切り替わる。また、新たに1024x768ドット262,144色中256色表示をサポートした。

PS/55のディスプレイは英語モードでVGA(640x480解像度など)を表示できるが、モデルによっては電源の信号を本体より受ける形になっており、市販のPC/AT互換機にはそのままでは使用できない[5]XGA-2表示アダプター/A

シリーズ後期にはPS/2と同様のXGA、XGA-2搭載モデルも登場した。
JIS配列キーボード5576-002型鍵盤

以下を代表とするJISキーボードが別売で用意され、本体と自由に組み合わせることができた。

5576-001 - 5550の1型鍵盤と同じ配列。PC/XT相当のスキャンコード セット1は未実装。

5576-002 - PC/AT後期およびPS/2の101拡張キーボードをベースに日本語化。漢字キーは Shift+左Alt。

5576-003 - 5576-002からテンキーを省略した省スペースキーボード。

5576-A01- 5576-002をベースに、更に101拡張キーボードとの操作性を共通化した。漢字キーは Alt+半角/全角。OADG標準キーボードとして発表された[6]

MCAバス搭載モデルに注力

PS/2では最初の発表時点でPC/ATを引き継いだATバス搭載モデルがラインナップされたが、PS/55では下位機種は5550のハードウェアを引き継ぎ、上位機種はしばらくMCAバス搭載モデルのみがラインナップされた。後にATバスモデルも追加。
日本語OS

以下の日本語対応OSが用意された。

IBM 日本語DOS K3.x (通称 漢字DOS、KDOS。日本語モードのみ。PS/2互換の英語モードは別製品のPC DOSが必要。)

IBM DOS J4.0、J5.0 (通称 JDOS。英語モードも含んでおり、OS再起動せずにコマンドで切替可能。)

IBM DOS J4.0/V、J5.0/V、PC DOS J6.1/V、J6.3/V、J7.0/V (通称
DOS/V。後半より追加サポートされた。英語モードも含んでおり、OS再起動せずにコマンドで切替可能。)

IBM オペレーティング・システム/2(OS/2)日本語版

なお、ベースとなったPS/2やMCAアーキテクチャ の詳細は、IBM PS/2を参照
モデル

主に形状に合わせてタワーの5570、デスクトップの5550等の名称が付けられ、主にCPU性能に応じてS、T、V等が付けられた。

タワー型(後の IBM PC Server 9x の前身)

5570-S/T/V (前半のタワー。PS/55初代機にあたる5570-Sのみ、PS/2との互換性が完全ではなかったため標準では英語版のDOSやOS/2をサポートしていない
[7]。)

5580-Y/W (後半のタワー)


ビジネス・デスクトップ(後の IBM PC 300、IBM PC 700シリーズの前身)

5560-W/N (上位デスクトップ)

5550-S/T/V/W/N/Y/L/R (主力デスクトップ)

5540-T (下位デスクトップ)


スモールビジネス、個人用

5530-Z/S/T/U/W (ディスプレイ一体版。後の PS/V Visionの前身)

5530-Z (教育市場向けとして新学社より販売され、一般販売はされなかった。80286と16ビットMCA、日本語ディスプレイアダプタを搭載した。他社の教育市場向けパーソナルコンピュータと比較し「高解像度(1024x768)のため日本語が正しく表示できる」事をうたった。後に5530-S(通称「PS/55Z」)が登場すると「PS/55Z 286」「5530-Z 286」などとも呼ばれた。


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