PIST6
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PIST6(ピスト・シックス)は、千葉JPFドーム(TIPSTAR DOME CHIBA)で行われる、競輪の競走種目の一つ・250競走(にーごーまるきょうそう)の愛称である。2021年10月2日から初レースがスタート。
概要

日本公営競技(自転車競技法)としての競輪は、1周距離333m、335m、400m、500mの4つの種類のトラックを各競輪場ごとの用地のサイズに合わせて行われてきたが、このPIST6は、国際規格の競技場と国際ルールのケイリンに沿った、1周250mの屋内木製バンクを使用して行うもので、競輪においては「250競走」という種目に位置付けられている[1]

PIST6は千葉市が主催するが、運営をJPF(旧:日本写真判定)に包括委託している。さらにJPFは、MIXIとJPFの合弁企業として設立された・株式会社PIST6にイベント運営・マーケティングを再委託している[2]。なお、MIXIは2022年11月4日のMIXI社の第2四半期決算発表で、PIST6社への出資を取りやめたことが発表されている。

出場する日本選手は全員が競輪選手だが、通常の競輪とは使用する機材(自転車)、競走形態、ルールなどが大きく異なるため、「250競走」に出走を希望する選手は別途「250競走」の出走資格を得ることが必要となっている[3][注 1]。なお、「250競走」の出走資格は日本競輪選手養成所で2泊3日の講習(ガイダンスや模擬レースの実施など)を受けることで取得でき、2021年9月時点で、男子全選手の3割程度に当たる643名の選手が講習を受講している[4]

通常の競輪では選手は過去の競走成績に基づいてS級、A級とランク分けがなされており、S級選手がA級選手と直接対戦することはない(例外あり[注 2])が、「250競走」ではS級選手とA級選手を混合した開催(ラウンド戦・SAオープン)が基本となっている[注 3]。なお、GI開催期間中などでA級選手のみで行われる開催もあるが、S級選手のみでの開催は2024年3月時点では行われていない。

通常の競輪では選手は1日2走することはないが、「250競走」では出場選手は1日で昼と夜の2走(基本は2日間で4走)することになっている。

あっせんについては、通常の競輪と同じく、前々月の下旬までにJKAから各選手に送付されるメールにてPIST6へのあっせん通知がなされ、それに基づいて選手側が競走参加の意思表示をすることになっている。従って選手にとっては通常の競輪同様のスケジュールで出場レースは内定しているものの、一般向けへの発表は開催のおよそ3週間前[注 4]と、通常の競輪と比べてかなり遅めになっている。また、上記の通りPIST6に出走するには出走資格を得る必要があるためその資格がない選手はあっせんができないことなどもあり、出場選手は偏りがちな傾向が見られている。

PIST6については後述の通り、PIST6公式投票サービスおよび「TIPSTAR」でのみ購入が可能で、電話投票・競輪公式投票CTCをはじめ、他社のインターネット投票アプリでは取り扱いをしていないこともあり、競輪のオフィシャルサイトであるKEIRIN.JPではPIST6に関する開催日程、記録や結果、出場選手の情報の記載はなされていない[5]が、開催日程に限り半年ごとに公表される予定一覧表で確認することができる[6]。PIST6の選手成績は、PIST6の公式ホームページの他、PIST6の運営に関わっていたMIXIの完全子会社・ネットドリーマーズが運営する「netkeirin」サイトにて成績を確認できる。

PIST6は現状は男子選手のみで行われているが、JKAの「競輪の番組編成の要領」によると、制度上は女子選手(ガールズケイリン)によるPIST6の開催も可能となっている。実際に、2022年4月からはインターナショナル(外国人選手を招いての競走)のほか、女子用や新人戦用の賞金額も設定されており、時期は未定ながら将来的にガールズケイリンのほか新人戦の開催も計画されている[7]

予想・取材に付いては、スポーツ新聞系では行っておらず、競輪予想紙である日刊プロスポーツ新聞社(アカケイ)、スポーツニュース社(アオケイ)の2社のみが担当している。いずれもPIST6の紙の予想紙は販売しておらず、インターネットにて、PIST6FAN(アカケイ)、PIST6 by NEXT4(アオケイ)が予想紙を無料公開している。
競走ルール

日本の公営競技における「250競走」は、1レースにつき最大6車(6人)で争われ、250mのバンクを6周する(スタートとなるホーム側パシュートラインとフィニッシュラインは15m離れているため、競走距離は1515m)。1回の開催に出場する選手は最大36人で、1回の開催を前検日に行うタイムトライアル、開催初日の1次予選・2次予選、開催2日目(最終日)の順位戦・準決勝、並びに順位決定戦・決勝戦を、それぞれ1日につき2レースづつ出走する形で行う[8]

国際ルールに近いルールで実施されるが、一部それと異なる規定もあるため、下記ルールが全てオリンピックや世界選手権等のケイリンで適用されるわけではない。

公式のルールでは、"最終周回の前周回"などという表現となっている規定が多いが、PIST6の実況等では、スタートからの周回数で表現するものが多いため、本項でも周回数が関わる項目については最終周回を除き、スタートからの周回数にて記述する。
バンク

国際標準の周長250mのバンクにて実施する。そのため、ラインについても通常の競輪とは異なる形で引かれている。

コーナーの最大斜度は42.6度[9]で、伊豆ベロドロームよりは緩いものの既存の競輪場よりも急な傾斜となっている。
バンクを周回するライン

黒の線…メジャーメントライン。コース長の基準となるとなる線であるが、実施上はあまり影響のないライン。線幅は5cmとなっている。

ブルーバンド…黒の線のさらに20cm内側寄りにある水色のエリア。通常の競輪の退避路と近い存在。コーナー部分のカントはその外側より緩くなっている(直線はほぼ同一)。このエリアを走行し外側の選手を追い抜くと失格となる(後述)。

赤の線…スプリンターライン 黒の線の外側60?65cmに引かれている。

赤の線とブルーバンドの間を「スプリンターレーン」と呼ぶ。約90cmの幅であり、スプリンターラインを跨ぐ競り合い、スプリンターレーン内の競り合いは厳しく制限される。


青の線…ステイヤーラインと呼び、通常の競輪のイエローラインに相当するものの、PIST6の実施上は影響ない(別に定める基準さえクリアしていれば、この線の外側を走り続けてゴールしても良い)。

バンクに垂直なライン

フィニッシュライン…その名の通りレースの着順を決定する線。ゴール板も設置されている。

ホーム側パシュートライン…フィニッシュラインの15m手前
[注 5]、ホームストレッチの中心に引かれている。選手のスタート位置はこの線上となる。

バック側パシュートライン…バックストレッチの中心に引かれている。ペーサーの発進位置であるほか、スタート後この位置に到達する前にペーサーまたは選手にアクシデントが発生した場合は発走のやり直しとなる。

100mライン…ゴール100m手前のラインで、5周目のこのライン到達(レース残り350m)以降は競り合いによる失格基準が非常に厳しくなる[注 6]

200mライン…ゴール200m手前のラインで、タイムトライアルの計測始点。レースの上がりタイムもこの線にあるカメラから計測される(通常の競輪の上がりタイムは、レース映像の解析で発表している)。

規格

自転車は、競輪とは異なりカーボンフレームを使用し、前輪はバトンホイール、後輪はディスクホイールを用いる[10]。このフレーム等のメーカーは、JKAに認定された社のものしか使用できないが、通常の競輪は国内メーカーに限られている物が、PIST6では海外メーカーのフレームでも利用可能となっている。

また通常の競輪では4倍未満に制限されているギア倍数については、最大で5.67倍(前輪の歯の数68×後輪の歯の数12[11])まで使用することが可能となっている。4倍台の後半を選択する選手が多いが、通常の競輪のようなギア数横並びということにはならず、開催中での大胆な倍数変更を行うケースもある。

ユニフォームは、競輪とは異なり車番とは関係のないオリジナルデザインとなっており、1番車でも6番車でも同じユニフォームで出場する。ユニフォームサプライヤによる、いくつかの模様のデザインと、その色違いでユニフォームのデザイン候補が示され、初出場の選手はその中から1つのデザインを選び着用する。また、通常の競輪では選手にスポンサー企業が入ってそのロゴをユニフォームに身に着ける選手がいるが、PIST6ではユニフォームサプライヤ表記を除き認められていない。なお、車番はヘルメットカバー及びシューズの色で識別する。ゼッケンも着用しないため、選手は車番を数字で表す表示を一切持っていない。
ペーサー

ペーサーになるには、競輪での先頭誘導員と同様に資格取得が必要であり、JKAが実施するペーサー試験に合格しJKAに登録された者でなければならない。

競輪で選手を先導する先頭誘導員は現役の男子選手[注 7]が務めるが、PIST6(250競走)で選手を先導するペーサーは審判係員であり、現役の競輪選手ではない。また、ペーサーは電動アシスト自転車[12]を使用するため、女性でもペーサーになることができる[注 8]

ペーサーはデイ・ナイトそれぞれの担当がおり、1日6走する[14]

2022年4月1日時点では、38名がペーサー登録されている[15]
レースの流れ

かつて行われていたKEIRIN EVOLUTIONと同じく、通常の競輪とは異なりラインという概念はないため、全て単騎戦である。ラインの意思表示をする必要がないため、通常の競輪で行われているレース直前の選手紹介走行(俗に言う『脚見せ[16]』)は行われない。

選手入場は車番1番から順にアリーナ内にあるステージ上に登場。ポーズを取ってから並び順の待機場所へ移動する。

出走する選手の車番は前検日のタイムトライアルの順位順に1?6番となっているが、スタートのコース(並び)は事前の抽選によって決められた位置に就くことになる(後述)。コース順にバンクに入り、バンクを軽く1周して、ホーム側パシュートラインの前で自転車を係員が支えた状態でスタートを待つ(スタンドに一礼する義務はない)。最内の選手がスプリンターラインのわずかに外側で、以降はそれより1mずつ外側の位置からのスタートとなる。ペーサーは電動アシスト自転車に乗りバック側パシュートラインから発進し、ホーム側パシュートラインの10m手前に到達すると同時に号砲[17]となり、係員は選手を押し出す。

1周目はスタート時のコース順に従って走行することとなる。1周目の終了時点で、ペーサーの後ろのスプリンターレーンで、スタートのコース順に走行していなければ失格となるため、公営競技の中で唯一スタートの競り合いが存在しない競技ということになるほか、通常の競輪にある1周目のタイムオーバーも起こりえないことになる(ペーサーを追わなければ失格である)。

2周目から並び順を変えてもよくなるが、ぺーサーが外れるまでペーサーを追い抜いてはならない。この際、スタートからの一列棒状の状態から、選手が並び順を変えることを、TIPSTARの解説者だった飯島誠が「ワープ」と表現しており定着している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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