PIPPIN
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この項目では、ミュージカルについて説明しています。その他の『Pippin』については「ピピン」をご覧ください。

Pippin
作曲スティーブン・シュワルツ
作詞スティーブン・シュワルツ
脚本ロジャー・O・ハーソン
原作カール大帝の息子、せむしのピピンの架空の人生
上演1972年、ブロードウエイ
1973年、ウエスト・エンド
1981年、カナダのテレビ
2009年、ロサンゼルス
2012年、ケンブリッジ
2013年、ブロードウエイ再演
2014年、全米ツアー
受賞トニー賞再演ミュージカル作品賞
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『Pippin』(ピピン)は、ロジャー・O・ハーソン脚本、スティーブン・シュワルツ作詞作曲、ボブ・フォッシー演出およびリブレットによるトニー賞受賞のブロードウェイミュージカル。主役陣たちによる神秘的な舞台芸術を駆使し、若い王子であるピピンが人生の意義を探す物語が語られる。中世初頭、ピピンとその父カール大帝がそれぞれの起源をたどるのだが、歴史的精巧さはごくわずかである。この作品は『ファウスト』のバーレスクに似ている。部分的にモータウン・レコードから提供された曲を使用している。2014年4月現在、32番目のロングラン作品となっている[1]。この作品はシュワルツにより、当初『Pippin, Pippin 』という名の学生ミュージカルとして作られ、カーネギーメロン大学の劇団スコッチン・ソーダが上演した[2]。1996年、ミュージカル学者のスコット・ミラーは著書『From Assassins to West Side Story 』において、「このミュージカルは過小評価されており、人々が考えているよりずっと実績がある。許可を受けて上演しているアマチュア劇団は単にキュートで無難でブロードウエイ版とは全く異なる。これがボブ・フォッシーの演出にかかると夢のような妖艶な作品となる」と記した[3]。ベン・ヴェリーンはオリジナル公演でトニー賞主演男優賞、パティナ・ミラーは再演でトニー賞主演女優賞を受賞し、トニー賞において、同じ役を演じた性別の違う役者の初めての受賞となった。
概要

1972年10月23日にアメリカ、ブロードウェイのインペリアルシアター劇場にて初演。1977年6月12日終演。1972年度トニー賞5部門受賞。ブロードウェイロングラン公演歴代27位、1944回の上演回数を記録している[4]

1973年にイギリス、ロンドンのハー・マジェスティーズ劇場(Her Majesty's Theatre)でも上演されている。

キョードー東京がプロデュース参加した2013年ブロードウェイ再演版は、同年度トニー賞の最優秀リバイバルミュージカル作品賞を受賞。[5]
あらすじ

第1幕、劇団の主役であるリーディング・プレイヤーが、様々な時代の衣装を着た役者たちと共に登場し、意図的に時代錯誤異化な型破りの芝居を作り上げる。リーディング・プレイヤーと役者たちは全体を通してベルトルト・ブレヒト流の距離感を持ったメタフィクションで、第四の壁を取り払って観客に直接語り掛け、刺激的に観客の心を掴む(Magic to Do )。若い王子の人生の充実感探しから物語は始まる。役者たちはこの王子は新人役者のピピンであると紹介する。ピピンは自分が何者なのかを見つける夢を学術的に語り(Corner of the Sky )、役者たちは素晴らしい人生を探す野心的な冒険の旅に出るピピンを称賛して送り出す。ピピンは父チャールズ王(カール大帝)が所有する城に一旦戻る。チャールズとピピンは、貴族士、廷臣たちが王の気を惹こうと邪魔をするためなかなかコミュニケートできない(Welcome Home )。王は賢い息子と話すのが苦手で愛情を示すことができない。ピピンは継母のファストラーダとそのあまり賢くない息子ルイス(ルートヴィヒ1世)と会う。チャールズとルイスは西ゴート族をすぐにでも襲うことを計画しており、ピピンはチャールズに自分の存在を証明するため連れて行ってほしいと頼む。チャールズは渋々承知し、部下へ戦闘計画の説明を続ける(War is a Science )。

戦闘中、リーディング・プレイヤーが再登場し、舞台中央で2人のリード・ダンサーと共にシルクハット、そしてしゃれたジャズ戦争暴力を美化し風刺したダンスを披露する(Glory (ボブ・フォッシーの『マンソン・トリオ』として有名)。ピピンはこの戦争の真似事に嫌気がさし、田舎に逃げ込む。リーディング・プレイヤーは観客にピピンの全国に亘る旅について語り、ピピンは祖母の家に立ち寄る(Simple Joys )。ファストラーダに追い出された、父方の祖母バーサはピピンに深刻に悩まず堂々と生きるようにと語る(No Time At All )。ピピンはこのアドバイスを受け入れ、より楽しい人生を探す決心をする(With You )。彼は多くの意味のない性的経験を重ねるが、すぐに愛のない関係は空虚で満たされないことに気付く。

リーディング・プレイヤーはピピンに、戦い方を知らない専制政治のチャールズと僭主で戦うことになるだろうと語る。ピピンは革命を計画し、ファストラーダはこれを聞きつけ、チャールズとピピンが共に自滅すれば愛するルイスが王位に就けると喜ぶ。ファストラーダはチャールズの殺害を計画し、彼女の策略にはまったピピンが容疑にかかる(Spread a Little Sunshine )。チャールズはアルルで祈りを捧げている最中ピピンに殺され、ピピンが新たな王になる(Morning Glow )。しかし庶民からの請願の後、ピピンは彼も父親も社会を変えることはできず、自身も専制政治になってきていることに気付く。彼はリーディング・プレイヤーに、亡くなった父をよみがえらせるよう頼み、リーディング・プレイヤーはチャールズを生き返らせる。リーディング・プレイヤーは観客に、これから休憩に入るが、スリリングなフィナーレを期待するよう語る。

第2幕、ピピンの方向性はいまだ定まらず、リーディング・プレイヤーは彼を励ます(On the Right Track )。芸術や宗教などを試したが、巨大な絶望感に襲われ倒れてしまう。キャサリンが彼を見つけると、彼に魅了され(And There He Was )、ピピンが目覚めるとキャサリンは幼い息子シオのいる未亡人であると自己紹介する(Kind of Woman )。リーディング・プレイヤーは始めからキャサリンのピピンへの関心を心配するが、彼女こそがのちにピピンの運命の人となるのである。当初ピピンは掃除、修理、牛の乳搾りなどの荘園作業がつまらないと思っていた(Extraordinary )が、ペットを病気で亡くして落ち込むシオを慰めたり(Prayer for a Duck )、キャサリンを愛するようになる(Love Song )。時が過ぎると、ピピンは人生の目的を探し続けるため荘園を出なくてはならないと感じるようになる。キャサリンは傷付き、彼を非難する(主にリーディング・プレイヤーの怒りと驚きで表現される) (I Guess I'll Miss the Man )。

舞台上で1人になったピピンはリーディング・プレイヤーと様々な役者たちに取り囲まれる。彼らは皆ピピンにフィナーレでかつてない完璧な舞台を完成させるよう提案する。彼らはピピンに、燃える箱に飛び込んで自身に火をつけ、「炎と1つになった」と叫べと勝手なことを言う。ピピンは徐々に抵抗力を失う(Finale )。彼は不安と、役者たちの中にいた、ある女優の登場により立ち止まる。その人はキャサリンを演じていた女性であった。キャサリンと息子のシオはピピンのそばに立ち、リーディング・プレイヤー、ファストラーダだけでなく脚本も拒否する。ピピンは本当に幸せだと思えた場所はキャサリンの家だけだったことに気付く(Magic Shows and Miracles )。充実感を得るために様々な方法を試したが、最も充実した人生は穏やかで普通の人生であることに気付く。彼は充実感というのは時に平凡でつまらないもので「何ものにも縛られない者は何ものからも自由になれない」と結論を出す。リーディング・プレイヤーは激怒し、公演を中止させようと役者たちとオーケストラに片付けさせ、ピピン、キャサリン、シオを何もない暗く静かな舞台に取り残し、ピピンに「音楽なしで歌え、お坊ちゃん」と叫ぶ。ピピンは最も簡素で最も普通の生活により、人生の特別な目的を探すことをやめ、これが幸せなのだと気付く。キャサリンから今の気持ちを尋ねられ、ピピンは「つかまった。けど幸せだ」と語る。
追加のエンディング

2013年のブロードウエイ再演を含む『ピピン』の新たなプロダクションではオリジナルのエンディングが追加されることがある。役者たちはグランド・フィナーレを演じることを拒否し、舞台上に取り残されたピピンはキャサリンとシオとのシンプルな人生への満足感を主張して『Corner of the Sky 』の一節を歌い、その後『Magic to Do 』のメロディでリーディング・プレイヤーと役者たちが戻ってきて、この物語が言いたいことは人生のほんの一部であり、そしてこれは繰り返されるものだと暗示し、シオはピピンの代役となる。現在のプロダクションは2種類のエンディングがあるが、シュワルツ自身は新たなエンディングの方が好みだと語っている[6]
主な登場人物

ピピン:皇帝の息子

リーディングプレイヤー(東宝版では「主席俳優」):一座の主演男優、
狂言回し

ファストラーダ:ピピンの義理の母

チャールズ:ピピンの父、皇帝(東宝版ではカール大帝、ネルケ版ではローマ帝国の皇帝、英語圏ではシャールマンとも)

ルウィス(ネルケ版では「ルイ」):ファストラーダの息子、ピピンの義理の弟

キャサリン(ネルケ版では「カトリーヌ」):幼い息子がいる未亡人

バーサ(ネルケ版では「ベルタ」):ピピンの祖母

使用楽曲

当初1幕物として製作されたため休憩を入れることは容易ではなかった。現在の2幕物版はミュージカル・シアター・インターナショナルに権利がある。1幕最後の『Morning Glow 』の後に休憩が入り、チャールズが亡くなった後に短縮版の『Magic to Do 』が入る。新たなエンディングが追加され、許可なく演出家の権限で休憩を差し入れることができるようになった[7]。2013年、ブロードウエイ再演では休憩が差し入れられた。



Magic to Do ? リーディング・プレイヤー、アンサンブル

Corner of the Sky †? ピピン

Welcome Home **? カール大帝、ピピン

War Is a Science? カール大帝、ピピン、兵士たち

Glory ? リーディング・プレイヤー、アンサンブル

Simple Joys ? リーディング・プレイヤー

No Time at All ? バーサ、アンサンブル

With You ? ピピン

Spread a Little Sunshine ? ファストラーダ、アンサンブル

Morning Glow* ? ピピン、アンサンブル



On the Right Track ? リーディング・プレイヤー、ピピン

And There He Was ? キャサリン

Kind of Woman ? キャサリン、アンサンブル


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