SSM-A14/M8/PGM-11 レッドストーン
レッドストーン No. CC-56, 1958年9月17日
フロリダ州ケープカナベラル
種類地対地ミサイル
短距離弾道ミサイル
原開発国アメリカ合衆国
運用史
配備期間1958年–1964年
配備先 アメリカ合衆国
開発史
開発者アメリカ陸軍弾道ミサイル局
開発期間1950年–1952年
製造業者クライスラー
製造期間1952年–1961年
製造数
128機ABMA 27機,クライスラー 101機
派生型ブロック I, ブロック II
諸元
重量点火時61,207ポンド (27,763 kg)
全長69.3フィート (21.1 m)
直径5.83フィート (1.8 m)
ペイロード6,305ポンド (2,860 kg)
射程57.5マイル (92.5 km)から201マイル (323 km)
最大高度最小到達高度28.4マイル (45.7 km)から最大到達高度58.7マイル (94.5 km)
弾頭速度再突入時に最大マッハ5.5
精度300メートル (980 ft) CEP
核出力3.5 メガトン TNT (15 PJ)
または
500 キロトン TNT (2.1 PJ)
熱核弾頭
エンジンロケットダイン ノースアメリカン アビエーション 75-110 A-7
推力海面高度での推力78,000重量ポンド (350 kN) 121秒
噴射時間97秒から117秒
推進剤エタノール, 液体酸素, 過酸化水素
燃料タンク容量エタノール: 11,135ポンド (5,051 kg)
液体酸素: 25,280ポンド (11,470 kg)
過酸化水素: 790ポンド (360 kg)
誘導方式フォード・インストゥルメント社 ST-80 慣性誘導装置
操舵方式黒鉛製案内翼, 空気翼,空気ジェットノズル
発射
プラットフォーム誘導ミサイル射場 M74
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PGM-11 レッドストーン (Redstone) は、アメリカ合衆国の初期の短距離弾道ミサイル (SRBM) である。アメリカ陸軍とヴェルナー・フォン・ブラウンらのチームによって開発され、後に人工衛星やマーキュリー計画の有人宇宙船を打ち上げるロケットとして転用された。名称は、アメリカ陸軍のレッドストーン兵器廠にちなむ。 レッドストーンはナチス・ドイツのV2ロケットの技術を用いて改良・大型化された弾道ミサイルで、本体全長21 m、直径1.8 m、質量約28,000 kg。生産はクライスラーが担当した。ロケットエンジンとして25%の水と75%のエチルアルコール(エタノール)を燃料とし、液体酸素を酸化剤として用いたA-6型を採用、真空中の推力は414.3 kN (42,251 kgf) であった。 アラバマ州ハンツビルのアメリカ陸軍弾道ミサイル局でヴェルナー・フォン・ブラウンの指揮の下で地対地ミサイルとして本格開発が開始されたのは1950年のことであり、生産開始は1952年のことであった。名称は1952年4月8日に兵器廠に由来する。レッドストーンとはこの地域の赤い岩と土 部隊配備開始は1958年6月で射程320 kmの核ミサイルとして西ドイツ駐留の第40野戦砲兵群へ配備された。これらの部隊は西ドイツのKreuznach とWackernheimに1964年6月まで配備された。レッドストーンが配備された第2の部隊はオクラホマ州のフォート・シル
概要
歴史
レッドストーンは初期の500kTのW18"Super Oralloy"弾頭や3.8 MTのW39水素爆弾を備えた最初のロケット運搬型核爆弾で1958年8月に太平洋のジョンストン島でのハードタック作戦で使用された。1958年8月1日にレッドストーンNo.CC50が核実験Teakで打ち上げられ高度77.8キロメートル (48.3 mi)に達した。1958年8月12日にレッドストーンNo.CC51が核実験Orangeで打ち上げられ高度43キロメートル (27 mi)に達した。両方のペイロードは3.75 MTだった。生産は1961年まで行なわれ、1964年に退役した。
「レッドストーン」ミサイルの派生型の「ジュノーI」ロケットによりアメリカ初の人工衛星「エクスプローラー1号」が打ち上げられた。また、マーキュリー計画では、「レッドストーン」ミサイルの派生型「レッドストーン・マーキュリー」ロケットにより、無人機および2機の有人宇宙船「フリーダム7」および「リバティ・ベル7」を弾道飛行させることに成功した。
派生機種「レッドストーン (ロケット)」も参照
ジュピターC/ジュノーI詳細は「ジュピターC」を参照
ジュピターC (Jupiter-C) は弾道ミサイルジュピターIRBMの前の世代の弾道ミサイルレッドストーンSRBMを改良した大気圏再突入テスト用又は衛星打ち上げ用ロケットである。似通った名前を使っているジュピターIRBMとは設計が全く異なる。
1段目は、レッドストーンSRBMの燃料タンクを延長し容量を増やし燃焼時間を延ばした。エンジンはA-6の改良型のA-7を用いた。また、燃料はエタノール水溶液からHydyneに変更し、毒性があるが、推力と比推力を向上させた。さらに、サージェントSRBMから派生した小型の固体燃料ロケット「ベイビー・サージェント」を、11本円環状に並べたものを2段目とした。その2段目の中央に、第3段として同型の固体燃料ロケットが3本備わる。
ジュピターCロケットの上に、先端の衛星と一体となった推力816kgの「ベイビー・サージェント」固体ロケット1本を4段目として備えたものをジュノー (Juno)またはジュノーI(Juno‐I) と呼ぶ。このロケットモーターは最後まで衛星と分離されないで、一体となって軌道を回る。 マーキュリー宇宙船を弾道飛行させるために、ジュピターCをもとに開発されたロケットである。マーキュリー宇宙船を飛行距離約380km 、高度220km 、飛行速度6800km/hに到達させる能力を持つ。宇宙飛行士を安全・確実に飛行させるために、必要な改良が施されている。 燃料タンクはジュピターCの1段目と同様の延長拡大されたものを用いた。エンジンはジュピターCと同様のA-7を用いた。さらに使用燃料を有害なHydyneからエタノール水溶液に戻した。 マーキュリーカプセルとロケットの燃料タンクの間の部分には「後方セクション」と呼ばれるロケットの慣性誘導装置を含む電子機器や装備機器を搭載する部分がある。この「後部セクション」はロケット部分と一体となっていて、マーキュリーカプセルとは分離される。分離後のカプセルは、自身の誘導装置で誘導される。その他の変更点としては、レッドストーンミサイルで使用された慣性誘導装置ST-80が、LEV-3自動操縦装置に変更された。
マーキュリー・レッドストーン打上げ機