P2P共有
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2011年10月、欧州議会において55議席を保持し第4会派を構成ている欧州緑グループ・欧州自由連盟が、個人的な使用のためのファイル共有の合法化、DRM(デジタル著作権管理、英:Digital Rights Management)の完全な禁止、著作権保護期間を5年に短縮することを求めることを表明した[13]欧州緑グループ・欧州自由連盟にはスウェーデン海賊党が所属している。

しかし、このように著作権保護の緩和を求める声は多く、著作権者が個別に許諾範囲を緩和することはあっても、著作権保護は著作物による産業の基盤であるため、TPP交渉の例を挙げるまでもなく、全体的にはむしろ保護期間の長期化、保護および著作権侵害に対する取締りの強化が行われている。
暗号化

セキュリティ上の課題としての安全性の問題がある。著名なP2Pシステム(例えばwinny)の中にも、公開鍵をcertificate(認証を参照)せずに暗号化や署名を行っているものがあるが、これらは安全性上意味を持たない。逆にcertificateしてしまった場合は、データ秘匿だけは可能になるものの、(certificateの定義より)もちろん匿名ではなくなる。

一部では暗号化によってデータ秘匿や匿名性が確保されると喧伝されているが、暗号化(を使ったオニオン・ルーティング)によってデータを秘匿できるのは公開鍵をcertificateした場合だけであるし、暗号はそもそも匿名性を確保する為のものではない。

暗号学ではよく知られているように、公開鍵をcertificateせずに安全な方式を作る事は原理的にできない(なりすまし、一人二役、man-in-the-middle攻撃等を防げないから)。公開鍵をcertificateしない限り、電子署名と併用したとしても同様の問題が生じる。

また共通鍵暗号方式を使おうとも、公開鍵暗号と共通鍵暗号を併用しようとも安全ではない。共通鍵暗号単独の場合には鍵共有問題を解決できないし、公開鍵暗号と併用した場合には前述のcertificateの問題が起こる。

秘密分散(を使ったオニオン・ルーティング)を用いた場合も同様である。

ただし、素人に対するめくらまし、解読プログラムができるまでの時間稼ぎといった効果はある。しかし一度解読プログラムがばらまかれてしまうと、その解読プログラムを使えば素人でも解読できてしまうという問題もある。
ウイルス感染

ネットワーク・セキュリティ上の問題点の一つとして暴露ウイルスをはじめとしたコンピュータウイルスに感染するというものがある。

コンピュータにインストールされるP2Pアプリケーションは、目的や用途を問わず、インターネットに対しポートをオープンにしてサーバ的動作をする場合が多い。また、クライアント的な動作のみであっても、いずれにせよアプリケーションにバッファオーバーフロー等のセキュリティホールが存在した場合、アプリケーション同士が常時接続している場合が多いだけに、ワームコンピュータウイルス等が急速にP2Pネットに感染拡大する脆弱性を持っている。実際にWinnyShareなどをインストールしたパソコンから個人情報が漏洩する事件や機密情報漏洩事件が多発している。

Winnyなどにおけるウイルス感染・個人情報漏洩は、WinnyなどP2Pソフトの脆弱性によるものではなく、通常のウイルスと同等のセキュリティ対策を行なっていれば、対応できるものである。

また、常時稼動されているマシンが多いため、P2Pソフトウェアの脆弱性を突きボットネットを構築され、スパムメールの送信やDDoS攻撃の踏み台にされる危険性も孕んでいる。[14]その為、更新の停止したソフトウェアや深刻な脆弱性の修正が放置されているソフトウェアは避けたほうがよい。
ファイル共有ソフトの歴史

この節には複数の問題があります。改善ノートページでの議論にご協力ください。

出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。(2014年11月)


言葉を濁した曖昧な記述になっています。(2014年11月)


この節ではP2Pを利用した共有ソフトについて述べる。
Napster

Napsterは1999年1月に公開された、音楽の共有を目的としたソフトウェア及びサービス。このサービスはMP3ファイルの共有を行うことができた。P2Pモデルを用いたファイル共有ソフトの先駆けであり、初めて多くの利用者を獲得したP2Pファイル共有ソフトとなった。尚、日本語に対応していないことから日本ではほとんど普及しなかった。RIAAから訴えられ敗訴したことをきっかけに、2000年7月にサービスは停止した。企業、ブランドとしては別業種の音楽配信サービスとして継続した。

ファイルの転送はP2Pで行うが、ファイルの検索・ノードのマッチングは専用のサーバが集中管理して行うハイブリッドP2Pモデルを採用している。このため、専用のサーバが停止すると一切機能しなくなる。専用のサーバはNapster社が用意したものを利用する。人気があるファイルを持つノードにアクセスが集中して転送が遅くなる問題を持っている。
Gnutella

最初のGnutellaクライアントは、AOL社のNullsoft部門の社員が会社に黙って開発し2000年3月に公開したものである。これはAOLによって公開・開発はすぐに停止されたが、このクライアントの解析によりプロトコルが解明したことで、さまざまな互換クライアントが今も開発されている。現在でもGnutella規格のクライアントソフトLimeWireなど多くの利用者がいる。

Napsterとの違いはピュアP2Pモデルを採用していることである。従来のファイルの転送に加えて、ファイルの検索・ノードのマッチングもP2Pで実現し、専用のサーバを不要とした。このように専用のサーバに依存しないためGnutellaネットワークは極めて高い耐障害性を持ち、いちど機能し始めてしまうと止めることは困難となる。
WinMX

WinMXは2001年に公開された。マルチバイト文字に対応しているため、日本で初めて普及したファイル共有ソフトとなった。(Unicodeに対応しているかは不明。)高機能なチャット機能も持ち、独自のコミュニティが生まれている。雑誌による丁寧な解説もあり、初心者による導入も増え利用者の裾野が広がっていった。

2001年11月、日本で著作権の侵害を理由に利用者から逮捕者を出し、更に翌年には後述するWinnyが登場、利用者は減少傾向に転じたと言われたが、ACCSが行った実態調査[15]によると、2003年1月には8割以上の「現在利用者」がMXを「利用した事がある」と回答しており、その後は緩やかに減少するものの2005年の調査まで首位の座を占め続けていた。尚、ファイル共有ソフトの利用者が逮捕されたのは、世界的に見てもこれが初めてとなる。

2005年9月、アメリカ最高裁が出した判決によって公式サーバが閉鎖される。ただ、公式サーバの閉鎖直後に有志による後継サーバが立ち上がり、MXコミュニティは現在に至るも衰退しつつ継続している。

Napster互換プロトコルによるハイブリッドP2Pモデルを採用している。ファイルの検索・ノードのマッチングを行う専用サーバは、公式サーバ(後継サーバ)の他に、個人が設置したサーバも幾つかある。
BitTorrent

BitTorrentは2001年に公開されたプロトコル。非常に高い効率を持ち、合法的な用途では最も多く利用されている。多くのクライアントがある他、一部のウェブ・ブラウザやネットワーク機器などが対応している。WinMXの衰退により海外では多くの利用者がBitTorrentに乗り換えた。

従来のファイル共有ソフトは明示的に指定したファイルしかアップロードしなかったのに対し、BitTorrentクライアントはダウンロードしたファイルも自動的にアップロードするよう義務づけられている。これにより、人気があるファイルを持つノードへのアクセス集中は最小限に押さえられ、むしろ人気があるほど高速に転送できる性質を持つに至り、効率の良いファイル共有を実現した。

BitTorrentはハイブリッドP2Pモデルを採用し、ノードのマッチングは専用サーバが行うが、Napsterと異なりファイルの検索機能を持たず、ファイルの転送に徹している。利用者は、ダウンロードしたいファイル一つに対し、対応するtorrentファイル一つを用意する必要がある。専用のサーバは誰でも設置することができ多くのサーバが存在するが、torrentファイルに記録されているので利用者は意識する必要はない。ほとんどのtorrentファイルはウェブ・サイトで配布されており、torrentファイルを集めて検索機能を付けたサイトも多い。

現在使われているファイル共有ソフトウェアはの殆どはTorrentによるものである。注意:日本国内では、著作権を侵害したファイルや違法なポルノ系のファイルに対応するtorrentファイルやtorrentファイルへのリンクを集めて検索機能を付けたサイトを公開しただけで検挙された例もある。特に猥褻物陳列や児童ポルノ禁止法違反については親告罪ではないため、一斉取締りの対象ともなっている。
Winny

Winnyは2002年5月に公開された日本製のファイル共有ソフトであり、匿名ファイル共有ソフトの草分けでもある。WinMXの利用者が逮捕されたことで、違法な共有を行っている利用者を中心に動揺が広がっていた時期であり、多くの利用者が匿名性を持つWinnyに乗り換えたといわれる。ACCSの実態調査では、2003年に「利用したことがある」が22.8%だったものが、2004年には「最もよく利用する」が40.3%と急増する(同年のWinMXは57.6%)。その後は減少傾向に転じたが、前述のWinMX公式サーバ閉鎖後の2006年には「主に利用している」が33.3%とWinMX(24.5%)を初めて超え、国内最多となった。

条件に合うファイルを片っ端から自動でダウンロードさせる地引と呼ばれる利用方法を初めて提案した。BBS機能も持ち、その用途でも利用されていた。マルチバイト文字に対応しているがUnicodeには対応しておらず、またソースコードが公開されておらずローカライズも困難な仕様だったため、海外ではほとんど普及していない。当時、匿名性が信頼されていたものの、2003年11月27日に著作権の侵害を理由に利用者から逮捕者が出たことで、Winnyの開発は停止した。翌年、2004年5月10日に著作権の侵害の幇助を理由に開発者の金子勇も逮捕された。なお、金子は2011年12月に無罪確定となったものの、2013年7月に死去している[16][17]

現在[いつ?]では解析が進んでおり匿名性は破られてきているが、Winnyは技術的なことも含め様々な点で特徴的であり注目を集めた。国内では初めての実用的なピュアP2Pネットワークソフトであったことも、その一つである。Winnyの影響を受けたソフトウェアも多い。

現在はかなり衰退している。


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