飛行するP-51D-5-NA 44-13357号機
(第361戦闘航空隊
P-51 マスタング(North American P-51 Mustang)は、アメリカ合衆国のノースアメリカン社が開発しアメリカ陸軍航空軍などで運用されたレシプロ単発単座戦闘機である。
第二次世界大戦では同世代機を圧倒する速力に加え、充分な運動性と積載量を有しつつ戦闘機としては長い航続距離や安定した高高度性能により、爆撃機の護衛や対地攻撃で活躍した。アメリカ海軍が採用したF8Fベアキャット戦闘機と並び、最強のレシプロ戦闘機・第二次大戦中の最優秀戦闘機と評される[2]。
愛称の「マスタング(Mustang)」とは、スペイン人によって北アメリカ大陸に持ち込まれ野生化した小型の馬のことである。日本語ではムスタングと表記する場合もあるが、本項ではより発音の近いマスタングに統一する。 形状は機首にV型エンジンを搭載した単発、主翼は低翼配置、尾翼は⊥型という当時の戦闘機で主流の設計である。翼型やラジエーターの配置に工夫が施されたが、初期型は凡庸な性能に加え、諸事情により短期間の設計であったため複数の問題も抱えていた。第二次世界大戦の半ばにイギリスのロールス・ロイスが開発したマーリンエンジンを搭載した後は性能が大幅に向上、それまで主力だったカーチス製のP-40 ウォーホークの後継機として導入が進んだ。実戦では航続力と高高度性能を生かしボマーエスコート
目次
1 概要
2 開発
3 タイプ
3.1 初期型
3.2 B型およびC型
3.3 D型およびK型
3.4 H型
4 評価
4.1 機体
4.2 速度性能
4.3 航続力・高高度性能
4.4 火力
4.5 防御力
4.6 運動性
4.7 実戦
4.8 日本
5 戦後
5.1 F-51
5.2 他国での運用
6 民間
6.1 キャヴァリア製マスタング
6.2 レプリカ
7 各タイプと生産機数
7.1 FJ-1 フューリー
8 諸元
9 現存する機体
10 登場作品
11 参考文献
12 脚注
12.1 出典
13 関連項目
14 外部リンク
概要
マスタングは様々な局面に対応できたことから最強の万能戦闘機[3]、史上最高のレシプロ戦闘機とも評され、アメリカ軍でも第二次世界大戦中に使用した機体で最高と評価している[4]。ただしマスタングが投入された時点で航続距離、高高度性能、加速性、運動性、火力のいずれにおいても同等もしくは上回る機体は存在していた。また最高速度はレシプロ機では最高クラスであったが、既に世界初のジェット戦闘機であるメッサーシュミット Me262が実用化されており『同世代機で最強』とされる性能はない。しかしマスタングはこれらを一定水準で満たしながらより低コストであり、なおかつアメリカ軍が必要とした時期に登場したことが『最優秀』と云われる所以である[5]。
航空業界では後発だったノースアメリカンは、練習機としてアメリカ陸軍航空隊のほか数カ国に採用されたNA-16の開発により、単発機の開発能力は証明されていたものの、戦闘機の自社設計は初めてであった。P-51の成功により躍進し、第二次世界大戦後もアメリカ軍に練習機や戦闘機を多数納品した。 1939年に第二次大戦が勃発してすぐに、イギリス及びフランス政府は共同でニューヨークのマンハッタンに、サー・ヘンリー・セルフ 提案は受け入れられ、1940年3月からNA-73開発計画が開始された。設計は以下の特徴を備えていた。
開発
タイプ
初期型
層流翼型(層流の範囲を大きくすることを意図した翼型)
NACAが設計した翼型を採用。失速特性(急激な運動時の気流の剥がれ方)が悪いので、ドッグファイトが避けられない戦闘機にはあまり用いられない。翼が厚くなることによる抗力の増大をおさえ、降着装置・機関銃・弾薬・燃料を収納するのに充分なスペースを確保し、翼下に武装や増槽を搭載できる強度も確保できた。
ラジエーター
メレディス効果