OpenCL
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この点に関しては、実運用時にはclCreateProgramWithSource()関数によるオンライン コンパイルは行なわず、clGetProgramInfo()関数とclCreateProgramWithBinary()関数を用いてコンパイル済みバイナリからプログラムオブジェクトを生成する方法もある[18][19][20][21]が、ベンダーごとのOpenCLバイナリ間における互換性は保証されない。デバイスドライバーにカーネル記述言語のオンラインコンパイラの役割を持たせることで、ベンダー独自の拡張を実装しやすくなるが、コンパイラ品質はデバイスドライバーの品質に左右される。

なお、OpenCL 1.2、2.0、2.1、2.2では、SPIR(英語版)およびSPIR-Vと呼ばれる中間表現中間言語バイトコード)をサポートすることにより、事前コンパイルしたベンダーに依存しないカーネルコードを実行することができるようになる[22]。ただし、SPIR 1.2およびSPIR 2.0はOpenCL 1.2およびOpenCL 2.0の拡張機能(cl_khr_spir[23])となっており、サポート必須の機能ではない。一方、SPIR-VはOpenCL 2.1/2.2のコア機能となる[24]。OpenCL 2.1ではSPIR-V 1.0を、OpenCL 2.2ではSPIR-V 1.0/1.1/1.2をサポートするが、OpenCL 3.0ではSPIR-Vはコア機能から外れ、サポート状況に関しては実行時の問い合わせが必要となった[25]
歴史

2008年6月10日(日本時間)のWorldwide Developers Conference (WWDC 2008) において、Mac OS X Snow Leopardv10.5 Leopardの次期メジャーバージョンとされる)に搭載される予定の技術の1つとして初めて発表された[26]

標準化団体クロノス・グループの2008年6月16日に発足した作業部会Compute Working Group (CWG) において、AppleによってOpenCLの仕様草案が提案された[3]。CWGはGPUとCPUのヘテロジニアス(異種混在)な計算技術のロイヤリティフリーな標準化を目的としており、発足時点では3DlabsAMD、Apple、ARM、Codeplay、エリクソンフリースケール・セミコンダクタ、Graphic Remedy、IBM、イマジネーション・テクノロジーズ(英語版)、インテルノキアNVIDIAモトローラQNXクアルコムサムスン、Seaweed、テキサス・インスツルメンツ、スウェーデン・ウメオ大学が参加している。

2008年8月のSIGGRAPH 2008および同年11月のSupercomputing 2008 (SC08) において、仕様策定の進捗状況が発表され、同時期にCompute Working Groupは名称をOpenCL Working Groupと改められ、新たにアクティビジョン・ブリザード、バルコ、ブロードコムエレクトロニック・アーツ、エイチアイ、ケストレル研究所、Movidia、RapidMind(英語版)、TAKUMIが参加している。11月10日にはRapidMindが自社の並列コンピューティング開発環境においてOpenCLを採用すると発表した[27]

2008年12月9日のSIGGRAPH Asia 2008において、正式版となるOpenCL 1.0の仕様が発表された[28]。またほぼ同時期に、AMDとNVIDIAはそれぞれ自社のGPGPU技術であるATI StreamおよびCUDAにおいてOpenCL 1.0をサポートすると発表した[29][30]。OpenCL 1.0対応の最初のプラットフォームとして、Mac OS X Snow Leopard2009年8月28日にリリースされた。

2010年6月14日、OpenCL 1.1を正式発表[31]。float3型の追加、clSetKernelArg()関数以外のスレッドセーフ化[32]など。

2011年11月15日、OpenCL 1.2を正式発表[33]。分割コンパイル&リンク対応、SubDeviceの追加、SPIR 1.2拡張機能、3Dイメージの書き込み拡張機能[34]など。

2013年7月22日、OpenCL 2.0を正式発表[35]。read_write修飾子[36]、共有仮想メモリ (Shared Virtual Memory) や動的並列処理 (Dynamic Parallelism) 対応など。

2015年11月16日、OpenCL 2.1を正式発表[37]。SPIR-V中間言語によるVulkan API (OpenGL Next Generation, glNext) とのプログラミング基盤共通化など。2015年3月3日の暫定仕様の発表時点でカーネル記述言語へのC++14サブセット導入も予定されていた[38]が、OpenCL 2.1正式仕様の発表とともに、OpenCL C++のリリースは早くて2016年半ばとアナウンスされた。

2017年5月16日、OpenCL 2.2を正式発表[39]。2016年4月18日の暫定仕様の発表時点でアナウンスされていた、OpenCL C++言語、SYCL 2.2フレームワーク[40]に加えて、中間表現SPIR-V 1.2などが導入された。

2018年6月、AppleはWWDCで、macOS Mojave以降ではOpenCLを非推奨とすることを発表し、代替としてMetalを使うことを推奨している[41][42]

2020年4月27日、OpenCL 3.0暫定仕様が公開された[43]。OpenCLロードマップの再調整に伴い、バージョン1.2より後発の機能がオプションに引き下げられる。オプションの言語機能を照会するためのマクロが提供される予定。

2020年9月30日、OpenCL 3.0最終仕様が公開された[44]
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