One_Last_Kiss
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楽曲は映画のヒットとともに話題となり、デジタルセールスは20万DLを、ストリーミングでは累計1億回再生を突破している[10]

2022年1月19日にリリースされる8th Album『BADモード』に収録される。
背景 

宇多田ヒカルと『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとの関わりは2007年に遡り、宇多田は同年に公開されたシリーズ1作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の主題歌として「Beautiful World」を書き下ろしていた。それ以降も同シリーズの主題歌を担当し[11]、2009年公開のシリーズ2作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』には「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」を[12]、2012年公開の3作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』には「桜流し」を提供した[13]。宇多田は2010年より「人間活動」として音楽活動を休止していたが、「桜流し」は、制作スタッフからの熱い要望と当該作品に対する強い思い入れにより例外的に制作された。その後、2016年に活動を再開した。2020年10月16日に、シリーズ4作目『シン・エヴァンゲリオン劇場版?』の公開日が2021年1月23日になることが発表された[14]が、この時点では主題歌についての発表はなかった。宇多田がデビュー22周年を迎える2020年12月9日、午前0時を回るとともにスタッフのTwitterアカウントより情報が解禁され、新曲「One Last Kiss」が同映画の主題歌に起用されることが発表された[15]。12月25日には、同曲の一部が流れる映画の本予告編も公開された[16]。しかし2021年1月14日、新型コロナウイルス感染症拡大の状況や、政府による緊急事態宣言を受け同映画の公開が再延期となり、それに伴い本楽曲のリリースも延期されたことが発表された[17]。そして同年2月26日、映画の新たな公開日が翌月8日に決定したことが発表され、同時に本楽曲の新たなリリース日が同月9日となったことも明かされた[18]
制作

宇多田によると、これまで「新劇場版」に提供してきた楽曲はその都度大まかなプロットのみを聞いて制作したものだったが、本楽曲では制作にあたって「台本を読んで最後のシーンを思い浮かべながら、曲の第一音(イントロシンセ)からプログラミングと作曲を始めた」という[19]

制作には、イギリスレーベル・PC Music(英語版)の設立者である音楽プロデューサーA・G・クック(A. G. Cook)が共同プロデュースで参加している[20]。クックはソフィーとともにUKの新興ジャンル「ハイパーポップ」の始祖として知られ、チャーリー・XCXらの作品にも参加している[21]シンセベースは、復帰後の宇多田の多くの楽曲に参加してきたジョディ・ミリナー(Jodi Milliner)が演奏しており、エンジニアも同じく復帰後の宇多田の全楽曲でミックスを担当してきたスティーヴ・フィッツモーリス(Steve Fitzmaurice)が務めている。なお、ボーカルのレコーディングは宇多田自身が行った。
エンジニアリング

スティーヴは、本楽曲のミックスでは動きのあるベースが肝になっているリズムトラックに最もフォーカスしたといい、また音楽的に楽曲をメインに支えているのはピアノだと話している[22]。またミックスを聴くときに重要視しているのはその出音の空間、距離、奥行きだとしており、たとえば様々な音が鳴っている本楽曲のラストのところでは、それぞれの音を良い位置におさめていくことを心掛けたと述べている[22]。メインボーカルのミックスについては、フレーズによってや曲の展開によって「常に変わっていく」処理を施しており、メリハリがあってぐっと迫ってくる部分や高音域、響きのあるリバーブなど様々だという[22]
テーマ

楽曲は、「喪失」をテーマにしたものとなっている。イギリスのカルチャーサイト・デイズド(英語版)でのインタビューによると、宇多田は本作で「前に進むこと、成長すること、そして自分自身に折り合いをつけることのほろ苦さ」を探求している。宇多田は2013年に母親 (藤圭子) を亡くし、その悲しみを長らく抱えることになり、「どうすればいいかわからなくなった」という。しかし、本作の制作に至って次のように理解することができたと述べている[23]。「One Last Kissの制作を始めて、ようやく理解できました。重要なのは、悲しみを捨てようとするのではなく、常にそれを抱えているということを受け入れること。痛みはまだ残るけれど、それでいいのだと思います。喪失であったものが贈り物になったのです。」
(原文: ”When I began working on ‘One Last Kiss’ I finally understood that the point was not to try to leave that behind, but to accept that I will carry it with me always. It still hurts, and that’s alright. What was a loss became a gift.”) ? 宇多田ヒカル、Dazedでのインタビュー[23]
音楽性

本楽曲の音楽性は、心地よく飛び跳ねるダンスホールのビート[24][25]、豊かな低音を響かせるベースライン[24]、楽曲後半で前景化するエレクトロサウンドなどをその特徴としている[26][27]。楽曲は、Aメロからシンセストリングスなどを織り交ぜつつドラマチックな盛り上がりを演出しながらスタートする[28]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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