Oh!X
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しかも、連載開始当時はオープンソースソフトウェアの思想がまだない時期であって、CP/Mでもソースコード公開のアプリケーションソフトはほとんど無かった。プログラミングの入門記事という側面もあることからこのコーナーでは、再掲載時、並びにPC-286版等の例外以外はダンプリストのみではなくソースコードの掲載を行なっていた。しかも連載第一回に掲載されたのがLISPインタープリタであったことに見られるように、単なるプログラム作例公開にとどまらない連載であった点は、当時として極めて画期的なものであった。またここで公開された開発ツールは市販されていたものに匹敵するほどの物も多く、アセンブラデバッガコンパイラ、ソースジェネレータなど、シンプルな物から、多機能であるもの、リロケータブルな物など同じカテゴリのツールも再掲載を兼ねて複数掲載されている。

同誌の休刊間際に発表され、販売の見込まれる部数の問題から店頭に並ぶことは無かったが、ソフトウェアの頒布を目的として、直販の形で一度書籍化されている[注 2]。その際、一部の掲載プログラムについて、MOOKでの再頒布のみの許可、並びに、フリーでの使用での可否の確認が取られ、正式にコピーフリーとなっているソフトウェアもある。ただし、このMOOKは、刊行が末期だったことや投稿の減少から投稿の呼びかけを誌面で行うような状況だったことや通販のみという流通などから、現存する実数は少ない。

同誌以外で言及された記述としては、雑誌『ハッカー』の書評欄で「ただのジャンプテーブルのようなもの」と評されたことがある。
コマンド

そのコマンドは、OSよりもモニタに近く、一文字の命令にスペースによるセパレータを置き、パラメータを記述する。該当機種が機能を持っていないなど、使用できないものも存在する。

下記記述における#は、プロンプト。#D <デバイス名>: ディレクトリの表示#DV <デバイス名>: デフォルトデバイスの設定#J <アドレス> 指定アドレスをコールする。#L <ファイル名>[:<アドレス>] バイナリファイルのロード。指定アドレスに読み込むのみで、実行は行わない。#K <ファイル名> ファイルの削除#N <旧ファイル名>:<新ファイル名> ファイル名の変更。#S <ファイル名>:<開始アドレス>:<終了アドレス>:<実行アドレス> 該当範囲のアドレスの保存。#ST <ファイル名>:P(若しくはR) ファイルの書き込み禁止属性をPなら設定。Rなら解除する。#M システムをモニタへ遷移する。#! ブートコマンド。システムがリセットされる。#W 80桁表示と40桁表示の切り替え。トグルスイッチになっており。実行のたびに切り替わる。

拡張キットでは、グラフィックスメモリを用いたRAMDISKが実装され、それにあわせて7KiB未満のサイズで且つ3000Hから実行されるプログラムはトランジェントコマンドとして扱う機能が追加された。データの退避にはRAMDISKの管理領域のうち容量から使われない部分が使用され、条件を満たすプログラムについてはその領域にメインメモリのデータを退避し、処理をシステムに戻すときに書き戻すという処理が加えられている。そのサンプルも兼ねてアプリケーションの形で、幾つかの外部コマンドが同時に掲載された。従来意味を持たなかった実行アドレスをロード後に呼び出す仕組みとそれに伴いテキストファイルによるバッチ処理も追加され、シェルには下記のコメント、ポーズに使用するコマンドが追加された。# ファイル名 プロンプトとの間に半角スペースを記述することで、該当ファイルの実行を行う。ロード後の実行アドレスは、保存したときの値が使われる。テキスト形式の場合は、内容をコマンド列と解釈し、バッチ処理を行う。その後ろにパラメータを記述することで、実行したアプリケーションに対し、パラメータを引き渡すことが出来る。#P キー入力を行うまで停止する。バッチ処理時のポーズ処理用。#; 行末までをコメントとする。
デバイス名A-D FDDE RAMDISKS 各システムの標準テープデバイスT S-OS共通フォーマットのテープデバイスQ クイックディスク
対応機種

移植された機種には以下のものがあり、多くは本誌に掲載された。長期にわたる連載であり、システムが無ければ動作しないことから、システムはダンプリストのみの再掲載が行われることもあったが、初回掲載時のままとなっていた。

それ以外に移植先の対象機種を扱う雑誌に掲載されたもの、個人が移植しパソコン通信等で頒布したものや、ディスクマガジンで使われたもの、改造された亜種などが存在する。

Oh!X掲載のシステムについては、休刊を前にフリーウェア化宣言がされているが、システムとしてはモニタを包含しているため、動作させるのにはメーカー側が著作権を持つモニタも必要である。そのため、それらの問題を含まずディスクイメージとして頒布されているのは、スクラッチから起こされたシステムか、他社の権利を含まないもののみである。
MZ-80K/C/1200 (1986年2月号掲載)
その本体仕様により、制限は最も多いと思われる機種。持っているキャラクタフォントから、英文字は大文字のみに対応し、40桁表示のみ。メモリマップの都合上、48KBまでしかユーザ空間を確保できない。CPUによる直接制御のため速度的に間に合わず、CMTは、MZフォーマットの1200ボーのみ。FDDは利用できず、拡張ワークエリアも利用不可。S-OS用として互換性を意識した場合、この環境が基準になる。
MZ-700/1500 (1986年2月号掲載)
拡張ワークエリアのサポートなし。テキストは40桁のみをサポート。MZ-1500ではQDに対応しているが、MZ-700ではサービスルーチンの違いから、QDは利用できない。
MZ-700(QD対応版) (1987年5月号掲載)
MZ-700でQDを利用できるようにサービスルーチンを変更したもの。
MZ-80B/2000/2200 (1986年2月号掲載)
X1と共に基本仕様にフルセットで対応している。テキストVRAMの構造が単純であり、且つ、メモリ空間にマッピングされているため、CPUクロックが同条件であれば無改造でも表示速度は高速である。ディスクの扱いとIPLが利用するデータの都合から、ディレクトリエントリにはゴミが表示される。後に拡張キットによって、グラフィックVRAMをRAMDISKとして利用できるようになった。
MZ-2000/2200(QD対応版) (1986年6月号掲載)
標準のSWORDでは対応していなかったQDに対応したもの。
MZ-2500/2861(MZ-2500モード) (1986年8月号掲載)
テキスト漢字V-RAMによる漢字の入出力に対応し、同機の特徴であるアルゴ機能も利用可能。ディスクフォーマットの仕様により、2DDの内蔵ドライブでは512KBまでをファイルシステムとして利用可能。S-OSのファイルシステムとして利用できない領域にシステム本体を書き込み、有効利用している。高機能でありフォントも高解像度で表示されるが、出力のための手続きが煩雑である都合上、S-OSとしてはMZ-2000モードで動作させるほうが6MHzモードでの動作をもってしても高速である。
X1/C/D/Cs/Ck/F/G/Twin (1986年2月号掲載)
MZ-2000系と同じく、基本仕様にフルセットで対応している。ファイルフォーマットが同機の環境をベースとしているため、同機のBASIC等標準環境との相互のやり取りをする事が可能であり運用上の利便性は高くなっている。
X1turbo/II/III/Z/ZII/ZIII (1987年10月号掲載)
漢字VRAMに対応し、日本語表示、並びにシステム辞書が利用可能。デバイスアクセスルーチンにROM BIOSを利用することで、2Dの他2DD、2HD、HDDでも利用が可能。
PC-8001/8801 (1986年6月号、1987年9月号掲載)
最初に掲載されたものは、本体のROMルーチンを利用した物。後に8801だけではなく、8001用兼用としてオールRAM版が掲載された。簡易的にX1のHu-Monitorを移植し、その上に実装することで移植作業を簡略化している。
SMC-777C (1986年7月号掲載)
同機が利用できるメディアの都合で3.5インチ1DDのみ対応となっており、同機の標準システムであるCP/M(SONY-Filer)のディスクにアクセス可能。
PASOPIA/5/7 (Oh!PASOPIA 1987年12月号掲載)
Oh!PASOPIAの休刊時に掲載され、シャープ以外の機種では珍しくPASOPIA7用はMZ共通テープフォーマットでの入出力をサポートしている。
FM-7/77 (1987.8月号掲載)
本体のCPUがS-OSの標準と異なるため、Z80エミュレータによるものと、拡張機器であるZ80カードを利用したものが掲載された。
X68000 (1990年6月号、1992年6月号掲載)
Z80エミュレータによって動作し、ディスクは基本的にディスクイメージを利用する。2HDメディアについては、直接の読み書きが可能。掲載は二度行われ、後者は改良版とされているが、別人による別の経緯で書かれたプログラムである。改良版では、S-OS自体のルーチンがネイティヴなコードで処理されるため、Z80の機種と異なり、S-OSに依存する処理が多いほどパフォーマンスは上がる特性を持つ。また、X1のグラフィックVRAMをエミュレートしているため、PC-286系と同じくX1のMAGICも動作させることが可能になっている他、仮想的に作られたZ80のメモリ空間の外にデバッガを内蔵し、標準の25行以外の部分にレジスタの内容や、実行中のコードを表示させながら動作させることも可能になっている。
PC-286/386/486/586/9801 (1990年6月号掲載)
簡易的な、X1エミュレートを行い、その上にシステムを移植したもの。X1のグラフィック制御をサポートするため、X1用のMAGICも動作する。


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