Oh!X
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Oh!MZ

Oh!X
ジャンル
パソコン雑誌
読者対象主にシャープ発売の機種のユーザー
刊行頻度月刊
発売国日本
言語日本語
出版社日本ソフトバンク
雑誌名コード217
刊行期間1982年6月号-1995年12月号
特記事項1987年12月号から誌名変更。
定期刊行物としての休刊後、ムックとして5号が発行された。
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『Oh!X』(オー! エックス)はかつて日本ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)およびソフトバンクパブリッシング(現SBクリエイティブ)から発行されていたパソコン雑誌。本項では、前身の『Oh!MZ』(オー! エムゼット)についても解説する。
概要

日本ソフトバンクではかつて Oh! シリーズとして『Oh!PC』、『Oh!FM』(後に『Oh!FM TOWNS』)、『Oh!HIT BIT』、『Oh!Dyna』、『Oh!HC』、『Oh!PASOPIA』など機種別パソコン雑誌を発行しており、そのうちで『Oh!MZ』はシャープMZシリーズを対象としていた。シャープからは後にMZシリーズとは別にX1X68000シリーズが発売され、次第にそちらの方がシャープのパソコンとして主流となったために誌名を『Oh!X』に変更した。

対象機種の衰退につれ1995年12月号を最後に休刊したが、その後ムックとして復刊し2001年までに5号が発行された。

2023年9月21日東京ゲームショウ4Gamerブースにて、当時のスタッフが参加した復刊版が2024年6月8日に発売されることが発表された[1]
歴史

1982年 5月 『Oh!MZ』6月号創刊

1987年11月 12月号より『Oh!X』に改題

1995年11月 12月号をもち休刊

1998年11月 復刊記念号発刊

1999年 5月 1999春号刊行

1999年 9月 1999夏号刊行

2000年 3月 2000春号刊行

2001年 3月 2001春号刊行

2024年 6月 「令和版Oh!X」刊行予定
[2]

記事

内容は、広告、機種に関わる製品情報、投稿記事などによって構成される。

初心者向け記事も存在するが、概して記事を理解するための努力を読者に要求していた。マシン語のダンプリストが掲載された場合は紙幅が許す限りソースリストも掲載された。

そのため読者に「Oh!MZはドラゴンだ」といわしめた。これは『Oh!MZ』をファンタジーロールプレイングゲームで倒すべき(手強い)相手であるドラゴンに例えたものである。

ダンプリストの入力には、セルフリロケータブルに作られたMACINTO-Sという入力ツールが用意され、縦横、ブロックのトータルサムがリアルタイムに表示され、その入力を助けた。ただし、データなど、配列、配置によってはそれらのチェック情報のみでは誤入力が発生するケースもあったため、精度を上げるべく、トータルサムの代わりにCRCチェックサムをブロックごとに表示するMACINTO-Cというソフトウェアが提供された。MACINTO-Cは、各機種用のモニタを利用したものと、S-OS用、配置アドレスの違う二つの版が用意された。

また、同じ出版社のOh!PC誌やOh!FM(Oh!FM TOWNS)と異なり、他機種への露骨な批判が多いことでも知られており、中にはシャープ製のPCを偏愛する余り明らかに偏った記述もあり、一部では顰蹙を買っていた。[注 1]
創刊号

前述のOh!PCと時期を同じく刊行された。定価620円(翌月号からは480円)。104ページ(内、全面広告19ページ)。編集人は田鎖洋治郎(Oh!PCの編集人でもある)。副題は「MZ-80B K/C ポケコンシリーズ」。ページ数が少ないこともあり、製本は後の背表紙(ホットメルト接着)ではなく、ステープラーでの平綴じであった。目次に記載されている寄稿者は林 剛正、神谷 誠、粕谷昌朗、杉本 伸、関 克美、鈴木芳昭、T.マックガバン(Thomas Mac-Gaban、編集部訳の記事)、伊藤のりこ、高野庸一、有田隆也、山本 寛、大山 学(マンガ)。特集記事は「MZ-80KIIを生体解剖」など。日本ソフトバンク設立の1年後ということもあり、社員募集の広告も掲載されている。「Oh!MZ質問箱」は、おそらく編集者自身が考えたであろう質問に答える形になっており(質問者の名前や肩書きが記載されていない)、「市販されているパソコンで適当なものを教えてください」という質問に対し「MZ-80BMZ-80K/CPC-8001ベーシックマスターパソピアなど」と、シャープ以外のメーカーのパソコンも勧めている。

創刊初期の連載(途中でタイトルが代わったものは変更後のタイトル)

絵夢絶登面白玉手箱/有田隆也

PASCAL SB-4510入門/鈴木芳昭

誰でもできる経営ゲーム/渡辺明

ポケコンPC-1500入門/粕谷昌朗

マシン語・魔神語・DEUS EX MACHINA/長瀬敏之

COMPUTER CHESS/馬場隆信

言いたい放題/伊藤のり子

すぐに使えるプログラム/塚田洋

オークスターのお姉さん

初期のOh!MZの表紙にはアメリカンコミックに描かれているような肌の露出が多い女性が描かれており、目次ページ(創刊号では編集後記)には表紙絵についてのストーリーとされるものが記されていた。この表紙のおかげで本屋によってはアダルト雑誌コーナーに置かれていたこともあったと後の誌面で語られている。原画提供はマジックバス

その後一時期はシド・ミードによるブレードランナーのコンセプト画が用いられたり、ティム・ホワイトが表紙画を担当したこともある。
THE SENTINEL

1985年6月号-1995年12月号の連載記事。Z80を使用した機種に共通のプラットフォーム、アプリケーション、解説記事が提供された。

「THE SENTINEL」は、元々はこの特集の冒頭記事名で、当初は特集に関する読者からの投書欄であったが、後に編集部からのメッセージ欄となった。この特集記事全体を指す名称が無いため、その代わりに使われることもある。THE SENTINELは監視者を意味し、ここで言う監視対象はドラゴンとされる同誌を指すとされる。

1985年1月号に掲載されたEDASMという同誌が対象とする機種のアセンブラの特集記事で異機種間の共通入出力処理系の構想が発表された。それに対する読者の反応が本特集記事へとつながっている。

コーナーとは別ではあるが、S-OS以降にも、同誌はいくつかのソフトウェアによってメインと機種依存部を分けることでの複数機種へ対応する試みを行っている。1990年4月号に掲載されたThe Cave of DalkというオリジナルのRPGについては、編集部の意向で、X1版として完成されたものを機種依存のI/O部分を分離する作業を行い、MZ-2000/2200MZ-2500X1シリーズで動作するプログラムとして掲載された。X1のYM2151によるBGMがあり、残りはBeep以外無音ではあるが、画面の方は同じように動作するように作られていた。なお結果的にこのゲームがMZ-2000/2200用最後の機種別プログラムの掲載となっている。ユーザー投稿ではあるが、後述のMZ-700版のスペースハリアーも機種依存部のパッチによってX1で動作させるプログラムが公開されている。
S-OS

S-OSは、この特集で提供されたZ80のコードをコアとした、プラットフォームの名称である。S-OSのバージョンは、数字ではなく、当初のバージョンは戦棍を意味する"MACE"、次のバージョンはを意味する"SWORD"という名称が付けられた。これは、当時流行していたロールプレイングゲームで多用する武器から取られており、「S-OSを読者参加で成長させていきたい」という編集部の意向に基づいている。ただし、名称としてはMACE、SWORDの2つのみで、その後は若干の拡張が行われたものの、拡張キットの実装により、システム空間として予約されていた領域の空きがほぼなくなったこともあり、コアとなる共通仕様には大きな変更はなされなかった。初期に発表されたシステムでは、機種依存する部分以外のコマンドシェル等も共通のソースからビルドされている。また、高機能な機種に移植されたものは機能を利用するための拡張がされているものもある。CPUが共通であっても動かすバイナリは機種ごとに作成されることが当たり前の時代にあって、同一のバイナリが異機種でも動作することも珍しい試みであった。

1985年6月、カセットテープベースのMACEが発表された。ファイルフォーマットをMZフォーマットの2400ボー(ただしMZ-80K/Cはハードウェアの制約により1200ボー)で統一することでファイルを相互にやりとりできるようにし、内部的には表示、キー入力などの入出力を特定の条件でそろえることにより、ソフトウェアの開発を簡略化させた。

1986年2月にフロッピーディスクの普及に従い、ディスクベースのSWORDが発表された。SWORDでは、X1のHu-BASICフォーマットがフロッピーの共通フォーマットとなっている。ディスクに負論理で記録され表裏が逆に取り扱われるのが標準であるMZシリーズではディレクトリエントリの先頭部分にIPLに使用するデータの一部が文字列で表示されるが、ディスクの扱いを意識できるよう、そのまま表示されるようになっている。データレコーダ用のソフトウェアについても、ほぼそのままディスクで使用可能になっている。オフィシャルなSWORDはバッチ処理と、いくつかのコマンドをセットにした拡張キットが発表され、以降の移植などはこの環境を基準に行われることもあった。多くのモニタではディスクへの入出力は対応していないことから、大きなバイナリプログラムのローダなどにも使用することが可能である。オペレーティングシステムではなく、あえて最強のマシン語モニタを自称しているのには、メモリの保護など、システム側から動作に干渉するような機能が無いことや、システムコールなどが整備されていないことが挙げられる。S-OS対応アプリケーションは読者投稿も交えてBASICFORTHLISP などの言語や、インベーダーゲームテトリスをはじめ、様々なスクロールシューティングゲームまで幅広い作品が掲載された。

これ以前には、多機種で共通に使用できるディスクオペレーティングシステムとして CP/M が比較的普及していた。とはいえ、当時は CP/M の稼動に必要なフロッピーディスクドライブが搭載されていない機種も多かったうえに、CP/Mそのものの価格に加え、CP/M上で動作するアプリケーションソフト(言語やツールの類)はさらに高価であり、一般に普及していたとは言い難い。

しかも、連載開始当時はオープンソースソフトウェアの思想がまだない時期であって、CP/Mでもソースコード公開のアプリケーションソフトはほとんど無かった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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