OS/2
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OS/2
開発者IBM
Microsoft
(1.0から1.3まで)
開発状況サポート終了
ソースモデルクローズドソース
最新安定版4.52 / 2002年
プラットフォームx86
カーネル種別ハイブリッドカーネル
既定のUICUI, GUI
ライセンスプロプライエタリ
後続品ArcaOS
ウェブサイト ⇒IBM OS/2 Warp
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OS/2(オーエス・ツー)は、1987年にIBMマイクロソフトが発売したパーソナルコンピュータ(パソコン)用の16ビットおよび32ビットオペレーティングシステム (OS) である。OS/2はMS-DOSおよびPC DOSの後継として両社によって共同開発された。
名称

正式な製品名は提供元により「IBM Operating System/2」(IBM オペレーティングシステム/2)または「Microsoft Operating System/2」(マイクロソフト オペレーティングシステム/2)である。製品名の最後の「2」は、従来のDOS (PC DOS, MS-DOS)に対して「次世代OS」の意味を持つ。なおIBM同時発表の新しいパーソナルコンピュータの名称は「IBM PS/2」である。

略称は「IBM OS/2」または「Microsoft OS/2」(「MS-DOS」のように「MS-OS/2」と略される場合もあるが正式ではない)。

IBMとマイクロソフトのOS共同開発契約により、PC DOSとMS-DOSと同様に、IBMからは「IBM OS/2」が、マイクロソフトからIBM以外のメーカーへのOEM供給版は「Microsoft OS/2」となった。ただしIBM版のみに拡張版 (EE) が存在した。

バージョン3.0以降はIBM版のみで、「OS/2 Warp」はバージョン3.0から付けられた名称である。
概要

OS/2はIBM PS/2と同時に発表され、IBMとマイクロソフトにより供給され、当時はMS-DOSおよびPC DOSの後継とされた、16ビットおよび32ビットのパソコン向けOSである。

以下の特徴がある。

バージョン1は16ビット(CPU80286以上)、バージョン2以降は32ビット(CPUは80386以上。一時はPowerPC用も開発された)である

ファイルシステムとして、DOSのFATに加えて、途中からHPFSが追加された

MS-DOSコマンド類似のOS/2コマンドを持つ。

最初からプリエンプティブ・マルチタスクを実現していた

GUI環境

バージョン1は、プレゼンテーションマネージャ(英語版)

バージョン2以降は、ワークプレース・シェル


DOS互換環境

バージョン1は1つのみ。80286で使用するための制約を受けてCPUのリアルモードとプロテクトモードを強引に切り替えることと[1]コンベンショナルメモリを圧迫した設計により、特に日本で不評を博した。

バージョン2以降は、複数(マルチ仮想DOSマシン、MVDM)。仮想86モードを使用し、複数のDOS環境をプリエンプティブ・マルチタスク環境下で稼動させる。BIOSや一部のドライバの実処理コードを別アドレス空間、MVDM上にそれらの呼び出しコードを配置したことでDOSアプリケーションが使用できるコンベンショナルメモリを広く確保できたため、WindowsのDOSコマンドプロンプトや、更にはDOS自体と比較しても、アプリケーションの動作を安定させることのできる場合があることで注目された。


Windows互換環境 (WIN-OS/2)。エミュレートではなく、マイクロソフトのライセンスを含むWindows本体のモジュールをOS/2のMVDM上で稼動させ、複数のWIN-OS/2同士を稼動することもできたため、互換性や、複数アプリケーションを稼動させた際の安定性は優れていた。

バージョン2は、Windows 3.0相当のコード(386エンハンスドモードを除く)

バージョン2.1以降は、Windows 3.1相当のコード(386エンハンスドモードも含む)

日本では日本電気東芝富士通AX各社などにより採用され、DOS/Vに続きOADGの標準化にも採用された。
バージョン

OS/2の主なバージョンは以下の通り。リリース年月はIBM OS/2英語版[2][3]

バージョンリリースIBMマイクロソフト主な機能備考
1.01987/12OS/2 1.0 基本版/拡張版OS/2 1.016ビットマルチタスク、DOS互換ボックス拡張版はIBM版のみ
1.11988/11OS/2 1.1OS/2 1.1プレゼンテーション・マネージャ
1.21989/10OS/2 1.2OS/2 1.2HPFS、デュアルブート
1.31990/12OS/2 1.3OS/2 1.3ATMフォントIBM主導で開発、軽量化
2.01992/04OS/2 2.0OS/2 2.032ビットマルチタスク、ワークプレース・シェル、複数DOS環境(MVDM)、WIN-OS/2(Windows 3.0環境)
2.11993/05OS/2 2.1OS/2 2.1マルチメディア(MMPM/2)、WIN-OS/2(Windows 3.1環境)
1993/11OS/2 2.1 for Windows-(WIN-OS/2なし)
2.111994/02OS/2 2.11OS/2 2.11マイクロソフト最終版
3.01994/10OS/2 Warp 3.0(WIN-OS/2なし) インターネット接続(BonusPak)・IBM Works同梱軽量化
1995/02OS/2 Warp 3.0 with WIN-OS/2-WIN-OS/2(Windows 3.11環境)
1995/05OS/2 Warp Connect 3.0 with WIN-OS/2-ネットワーク標準(WIN-OS/2あり)
1995/07OS/2 Warp Connect 3.0-ネットワーク標準(WIN-OS/2なし)
4.01996/09OS/2 Warp 4-Java1.0、OpenGLOpenDoc、VoiceType
4.51999/04OS/2 Warp Server for e-Business-最終レベルは4.52 (2002/04)

日本語版の主なバージョンは以下の通り。

IBM版

IBM OS/2 J1.0:1988年3月[4]:OS/2 Standard Edition 1.0(英語版)と同時出荷。PS/55モデル5540/5550/5560/5570に対応。

IBM OS/2 J1.1:1989年5月[4]

IBM OS/2 J1.2:1990年3月[4]:旧5550系統はサポート対象外に。

IBM OS/2 J1.3:1991年3月[4]:PS/55の256色表示をサポート。

IBM OS/2 2.1:1993年:IBM純正のATバスマシンだけでなくPC/AT互換機もサポート対象に追加した。


マイクロソフト版

富士通 日本語OS/2 1.0:1988年7月:MS版OS/2 1.0の日本語版。FMR-50/60/70に対応。[5]


歴史

元来は、IBM PS/2のOSとして、IBMとマイクロソフトとの共同で開発されたものである。
OS/2 1.x

最初のVer.1.0ではGUIは搭載されておらず、16ビットのOS/2コマンドプロンプトとDOS互換環境をキーボードでスイッチできた。OS/2コマンドプロンプト間は最初からプリエンプティブ・マルチタスクであった。

次のVer.1.1でGUIとして、OS/2プレゼンテーションマネージャー (PM) が搭載された。外見はWindows 3.0とほぼ同一である(OS/2 PMもWindows 3.0も、IBM Systems Application ArchitectureのCUA'87準拠のため)。

Ver.1.2のリリース後、マイクロソフトはWindowsの開発に注力することになり、以降はIBMのみの開発となった。拡張版において、REXXを装備した。両社が袂を分かつことになった経緯について、一点目は両社の開発スタイルなどの企業文化に大きな違いがあったこと、二点目は当時マイクロソフトにとってIBMが最大顧客であったもののWindows 3.0の爆発的ヒットに伴いしだいに関係に変化が生じたことを指摘する声もある[6]

1990年、IBM単独開発で更に軽量化したOS/2 1.3を発売。このバージョンにおいて、基本版にもREXXを装備する。これ以降の開発は、OS/2 2.0を主にIBMが、OS/2 3.0を主にMicrosoftがそれぞれ分担することとなる。Windows 3.0発売時、当時開発中のOS/2 3.0(後にWindows NTと改名)の主要な拡張Windows APIや拡張OS/2 APIを置き換えると決め、IBMとの緊張を生むことになる。マイクロソフトはその後、IBMとの一切の共同開発から手を引きWindows NTの開発に専念するようになった。
OS/2 2.x

1992年3月31日、IBMは世界初のパソコン用32ビットOSである、OS/2 2.00を発売。Windows 3.0互換環境 (WIN-OS/2)、複数のDOS互換環境 (MVDM) を持ち、統合プラットフォームとして一つの完成形を見る。また、ユーザインタフェースをがらりと変更し、オブジェクト指向のGUIであるワークプレース・シェル (Workplace Shell, WPS) を標準環境とした。

ワークプレース・シェルは、CORBA準拠のオブジェクト間通信技術、SOM (System Object Model) / DSOM (Distributed SOM) の上で構築されていた。SOMはオブジェクト指向ではないOSで、言語にほぼ依存せずにオブジェクト指向の機能を実現するオブジェクト管理用の開発環境である。また、ワークプレース・シェルは、操作のオブジェクト指向という点では、デスクトップに余計なもの(メニューなど)を表示させず、ユーザ側がアクションを起こしたときにしか表示されない(Warp 4以降は軌道修正でメニューバーが表示されるようになった)。

これらの技術背景により、オブジェクトの動的追跡などが可能というメリットがあるが、長期間使用していくとデスクトップが壊れたりファイル操作に時間がかかるといった問題も抱えることになった。


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