OEM
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アメリカのコンピュータ電子部品業界から使われ始めたが例として汎用性のあるコンピュータをコンピュータ製造業者A(以下「業者A」)から購入した別のコンピュータ製造業者B(以下「業者B」)がそこで独自の技術的(ハードウェアソフトウェアなど)価値を付け加え、独特の、または特定(汎用の反対の意味)の機能を持つ製品に造り上げ、業者Bは付加価値再販業者(VAR[注 1])としてその製品を市場に出した製造者を指した。この様に文字通り、「オリジナリティーや独創性のある製品化(装置化)を行う製造者(業者B)」として言葉OEMは使われた経緯がある。この時代の「OEM」は文字通り「製造者」を意味し、業者Aと業者Bの間に資本関係や委託製造、販売提携などの契約などはなく、あくまで両者の別個の企業行動であった。

OEMが造語として造られた1960年代頃には既にメインフレームや小型のコンピュータによる事務会計給与などいわゆる事務に関する処理は広く行われていた。一方、制御計測生産管理などいわゆる第二次産業生産現場や研究現場では多くの機器機械を用いて行われていたがこれらを統合的に結合したものではなかった。PDP-8に代表されるミニコンピュータの登場によってこれらを有機的に結びつけた装置システムを業者B自身が独自に学習し従来の技法や技術を生かした「original equipment」と言われる「独自性を持った装置・システム」を差別化戦略として行えるようになった。
形態の多様化と用法

歴史としてコンピュータ製造業者Aに限らず、各種の機器を製造する者が差別化戦略や販売戦略として「OEM」への転換を業者Bに促す方法が次第に広まっていった。一例として、ソニーでは1980年代前半に3.5インチフロッピーディスクドライブを搭載したワードプロセッサを発売した時、フロッピーディスクドライブそのものの普及や販売戦略として製造業者BへOEMとなるように働きかけており、この時「OEM供給」や「OEMビジネス」という表現が用いられている[9]。元来造語である用語「OEM」は業者Bを表していたが、デ・ファクトの用語なので、製造者、委託製造者、販売者、消費者のそれぞれの立場から解釈や用法が変化した。

用語「OEM」は、1980年代後半ごろからコンピュータ製造業者C(以下「業者C」)に製造委託し販売業者D(以下「業者D」)が自社のブランドとする商品やその手法や両業者なども含めて「OEM化」、「OEMをする」、「OEM製品」、「OEM供給」、「OEM元」や「OEM先」などと多様化して用いられている。また、「OEM」のE(equipment)は、装置や比較的大きな機器や機械を表すが、equipment に当たらないと考えられる機器、製品や商品分野にまでわたって幅広く用法や用語として定着した。例えば、自動車業界などにおいて「OEM元」や「OEM先」が用いられるが、完成した自動車を装置や機器と呼べるかどうかは議論が分かれる。

なお、製造元の企業をOEM元、供給先の企業をOEM先と呼ぶことが多いが、逆に製造の委託元の企業をOEM元、委託先の企業をOEM先と呼ぶ場合もあり、注意が必要である。

一方、ODM(original design manufacturer)という用語があり、「相手先(委託者)ブランドでの製品設計・生産(者)」を表す。業者Cが設計から製造まで行い業者Dに提供することを主な業態とする場合、または業者Dが設計段階から全面的に業者Cに依存してその製品を購入・販売する場合に、業者CをODMと呼んでいる。例えば、台湾の多くの半導体ファウンダリや半導体受託製造会社は「OEM企業」というより「ODM企業」である。

近年では、相互供給やOEM元とOEM先の逆転などの他、他社から供給を受けたOEM製品を他社ブランドで販売するためにさらにOEM供給する「二段OEM」とでもいうべき製品も見られるようになっている。
他社ブランド

「他社ブランドの製品の製造」を表すこととなった製造委託において、以前は競争相手のブランドを製造するということで製品供給側からは敬遠されていた。しかし1980年代にVTR戦争が始まると、VHS陣営である日本ビクター(現:JVCケンウッド)や松下電器産業(現:パナソニック)といったメーカーはVHS陣営他社にVTRを供給するようになる。このVTRの黎明期はまさしく上記の1つ目の市場が立ち上がる時期にOEMが行われていた。

DVDレコーダーなどのデジタルAV機器の普及に伴い、日本国内の家電メーカーの多くは自社生産から韓国中国などの日本国外のメーカーに製造を委託するOEMに移行していった。

他社ブランドとしてある製造者によって製造され、販売者のブランドで市場に出す製品は必ずしもその製品がOEM製品であり製造者が別の者であることは明らかにされていない。例えば過去にGEブランドのVTRは松下寿電子工業(現:PHC)で製造され、取扱説明書の箱詰めまで行われてGEへ出荷・輸出され販売された[10]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ : value added reseller

出典^ a b “ ⇒OEM契約とライセンス契約の違いについて”. 日本貿易振興機構(JETRO) (2009-11-xx). 2009年12月30日閲覧。
^ a b JETRO「OEM生産とODM生産の違い」 [1]
^What is an Company? WEBOPEDIA(英語)
^ a b “OEM(オー イー エム)とは - コトバンク”. 朝日新聞社. 2017年11月8日閲覧。
^ Albert Barnor; Lynn Elaine Browne (2003年9月). ⇒“Ken Olsen, page 3/7, About OEM”. www.economicadventure.org. ⇒オリジナルの2008年8月19日時点におけるアーカイブ。. ⇒http://www.economicadventure.org/decision/olsen.pdf 2008年8月19日閲覧。 (英文)
^Computer Organization & Architecture Lecture #13, page 9/14, South Dakota State University Computer Science Club(英文)
^“Computer Architecture and Organization - Computer Evaluation and Performance, page 17/41” (Microsoft PowerPoint(PPT) File). University of Wisconsin-Green Bay. ⇒オリジナルの2008年8月19日時点におけるアーカイブ。. ⇒http://www.uwgb.edu/breznayp/cs353/slides/ch_02.ppt 2008年8月19日閲覧。 (英文)
^ Tracy Kidder ((C)1997). ⇒“The Soul of a New Machine - CHAPTER ONE- How to Make a Lot of Money- 16th paragrapgh, "companies known as original equipment manufacturers, or OEMs"”. Random House Inc. ISBN: 0-679-60261-5. ⇒オリジナルの2008年8月19日時点におけるアーカイブ。. ⇒http://www.businessweek.com/chapter/kidder.htm#contents 2008年8月19日閲覧。 (英文)
^ “ ⇒Sony History第2部第13章「OEM供給で仲間を増やす」”. ソニー. 2009年6月20日閲覧。
^ “ ⇒主な商品の歴史、1977年輸出用VHSビデオデッキ生産開始”. パナソニック四国エレクトロニクス. 2009年6月23日閲覧。

関連項目

生産技術

姉妹車

バッジエンジニアリング

EMS (製造業)

プライベートブランド

ノックダウン生産

ライセンス生産

プリインストール

ODM

ファブレス

請負

外部リンク

独立行政法人中小企業基盤整備機構 製造委託契約書作成にあたっての一般的注意事項
(2005年8月 掲載)2005年12月24日アーカイブ

TYPESET-8, the pioneer of the "turnkey" computer system(英語) - TYPESET-8と呼ばれたコンピュータ式組版、ターンキーシステムの草分け


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