オンラインでのDVDレンタルサービスを事業とすることを思いついたのはヘイスティングスで、かつて彼が『アポロ13』のビデオテープをレンタルした際、返却期限に間に合わず40ドルの延滞料金を支払った経験がきっかけとなっている[8][13]。
1998年、Netflix社はわずか30名の従業員と共に、ウェブサイトによるDVDレンタルサービスを世界で初めて開始[8][9][14]。当初扱っていた作品数は925タイトルで、1週間レンタルにつき4ドル、送料・手数料として2ドル(追加でレンタルする場合はさらに1ドル)を支払う仕組みになっていたが[8][9][15][16]、1999年9月、定額制のレンタルサービス「マーキー・プログラム」を開始。月額15ドルでDVDを本数制限なしにレンタルできるこのサービスは、延滞料金、送料・手数料が全て無料という当時としては画期的なアイデアだった[8][17]。
以降、ウォルマートなどのライバル企業が同様のサービスで参入したが[注釈 1]、2012年にキオスク型でのレンタル事業を展開するレッドボックス(英語版)に明け渡すまで、DVDレンタル業界1位の座を守り抜いていた[18][19]。この年には本社を、現所在地のロスガトスに移している[20]。 2000年、Netflixは会員の評価に基づき、各会員にお勧めの作品を提示する「レコメンド機能」を導入[10][14]。同年にはレンタルビデオ店チェーンのブロックバスターに、5000万ドルで自社を売却するという旨の申し出を行っているが、ブロックバスター側が断ったことにより、買収はされなかった[21][22]。この時期、Netflixはアメリカ国内に60万人の会員を抱えるまでに成長しており[14]、2002年には新規株式を公開してNASDAQに上場[14]。普通株式550万株を15ドルで売却し[23]、さらに追加で82万5000株を同額で売却した[24]。 2003年度の会計では、売上高2億7200万ドル、純利益650万ドルを計上しているが[25]、2004年に取締役員を務めていたランドルフが職を退き、会社を去った[26]。 2005年には会員数が420万人を突破[14]。扱う作品数も3万5000タイトルにまで増え、毎日100万枚ものDVDがNetflixを通じてレンタルされるようになった[27]。 2007年1月、Netflix社は自社のコアビジネスを、それまでのDVDレンタルサービスからビデオ・オン・デマンド方式によるストリーミング配信サービスに移行した[28]。2008年から2010年にかけては、大手メーカーと提携し、ゲーム機(Xbox 360、PlayStation 3、Wii)、ブルーレイディスクプレーヤー、インターネット接続テレビ、Apple製品(iPhoneやiPadなど)およびその他デバイスでの配信に対応していった[14]。 しかし2011年9月、Netflixは自社のサービスからDVDレンタルサービスを独立させ、「クイックスター」(Qwikster)というブランド名で提供することを発表[29][30]。DVDだけでなく、Xbox 360、Wii、プレイステーション3専用のゲームタイトルもレンタル可能にする予定だったが[31][32]、利用者からは同社がストリーミング配信サービスと合わせてそれぞれ7ドル値上げしたことについて不満の声が上がり、第3四半期には約80万人もの会員がサービスを解約[19]。さらに「クイックスター」という名前自体が、既にTwitterの個人アカウント名として使われていることが判明[33]。
成長期:2000年 - 2005年
変革期:2007年 - 2014年
DVDレンタルからストリーミングへ