2022年10月13日、広告付きプランを、当初の予定を前倒しする形で日本や欧米などの12か国で同年11月上旬[注釈 5]から順次導入することを発表した[128][129][130]。日本では同月4日1時から広告つきベーシックプランの提供を開始した[131]。
広告つきベーシックプランでは1時間当たり平均4分から5分の広告が挟まれ、当初はダウンロード機能が利用できない代わりに通常のベーシックプランと比べて200円[注釈 6]安くなっていた[130]。また、画質は最大720pのHD画質で配信された[注釈 7][132]。その後の2023年4月18日、1080pのフルHDに引き上げると共に同時ストリーミング視聴できるデバイス数も2台に拡大し、ダウンロードも可能となり、名称も広告付きスタンダードプランとした。なお、広告つきプラン開始時点ではApple TVやChromecast[注釈 8]などの一部デバイスには非対応となっている場合があった[131]。また、一部の作品については内容の性質上[注釈 9]から広告を一切挿入しない場合もあるとしている[133]。
広告つきプランの導入を巡ってはNetflixに製作コンテンツを供給している一部の映画スタジオやテレビ局などから反発の声が出ている。
アメリカではウォルト・ディズニー・カンパニー、コムキャスト、NBCユニバーサル、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ワーナー・ブラザース、ディスカバリー、ライオンズゲートとの交渉が難航しており、それらの映画スタジオや製作会社が供給しているコンテンツに関しては検索ページなどに鍵付きのアイコンが表示され、視聴することが出来ない[130][134]。
日本では2022年11月10日、日本放送協会(NHK)は同局が制作した一部のテレビ番組にも広告が付くようになり、同局が定めているインターネット活用業務実施基準に抵触する可能性があるとして、Netflixに説明を求めていることを明らかにした[135][136][137]。その後、NHKは同局が提供している番組(計22番組)全ての配信一時停止を要請し、Netflixが同局制作番組での広告表示を一時停止したことが同月16日に報じられた[138][139][140]。総務大臣の寺田稔は広告によってNHKが特定の商品やサービスを推奨していると誤認される恐れがあるとして、NHK自身が同基準に沿って適切に対応し、説明責任を果たす必要があるとの見解を同月11日に出している[141][142]。テレビ東京や日本テレビなどの民放テレビ局でも「説明が不十分」として、Netflixとの間で協議を行っていることが同月16日に報じられており[143]、フジテレビ副会長で日本民間放送連盟(民放連)会長の遠藤龍之介も同月18日に「(同プランの開始が)唐突で強引であり、Netflix側から放送事業者に対して、事前に十分な説明や調整がなかった」と批判している[144][145][146]。
広告つきプランは導入直後は加入者が少なく、一部の広告主に対して、出稿契約の解除や返金を行っていると2022年12月にアメリカのメディアから報じられた[147][148]。2023年5月17日、本プランの加入者数が500万人に到達したことを発表した[149]。全加入者総数に対する割合はこの時点でわずか2%程度であり、広告収入も低迷していたことから、今後は廉価のベーシックプランの会員を広告付きプランに誘導する方針となった。
2023年6月、カナダでベーシックプランの新規受付を停止し[150]、7月にはアメリカおよびイギリスで[151][152]、10月[注釈 10]には日本でも停止された[154][155]。また、2024年1月にイギリスとカナダにおいて、近日中に既存会員を含むベーシックプランの完全廃止を行うことを発表した[156]。
その一方で連続して3話分を視聴すると4話以降は広告が表示されなくなる「イッキ見広告(仮称)」を2024年第1四半期から全世界で導入予定であることを2023年11月に明らかにしている[157][158]。 2022年3月7日、後述の理由により、ロシア国内でのサービスを一時停止した[159]。 2022年4月19日、同業他社とのサービス競争激化やロシアでのサービス停止などが要因となり、過去10年で初めて会員数が2.2億人となり減少したことを明らかにした[160]。また、広告付きの廉価プラン導入(前述)やパスワード共有の取締り強化(前述)を今後行う計画であることも併せて発表した[125]。この影響でNetflixはコスト削減を進めることになり、一部のオリジナル作品の製作を中止にしたことが同年5月に報じられた[161][162]。
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