GeForce 600 Series(ジーフォース・600・シリーズ)は、2012年3月22日に発表された、GeForceシリーズの第13世代製品群である。GeForce 500 Seriesからアーキテクチャの大幅な刷新をおこなった。NVIDIAはKeplerアーキテクチャをCUDAの転換点と位置付けており、電力あたりの性能(ワットパフォーマンス、Performance per Watt)に重きを置いた設計をおこなっている。
KeplerアーキテクチャではTesla - Fermi世代で採用されたシェーダクロック倍速機能を廃止。FermiアーキテクチャではGF100コアとGF110コアで32基、その他のコアで48基のCUDAコアでSM (Streaming Multiprocessor) 構成していたのに対し、Keplerアーキテクチャでは192基のCUDAコアでSMX (Streaming Multiprocessor eXtreme) を構成し、SMを構成するCUDA Coreの数を大幅に増やした[39]。
またFermiプロッセッサに比べパイプラインの段数が大幅に減少しており、プロッセッサ内でハードウェア処理されていたスケジューリングの大半がソフトウェア処理に回った。パイプラインが浅くなったことによりラッチ回路が減少し消費電力を大幅に押し下げる結果となった[40]。
NVIDIA AdaptiveV-Syncによって、画面のティアリングとフレームレートのカクツキを最小限に抑えることができる。また、TXAAといわれる新しいアンチエイリアシング手法をハードウェアでサポートすることによって、GPUへの負荷を減らしながら従来よりも高品質なAA処理が可能となっている。
なおGK104コアは汎用コンピューティング (GPGPU) 向けの機能をいくつか切り捨てており、特に倍精度浮動小数点の演算性能は単精度の1/24となっている。そのため、倍精度対応が必要とされる分野には、後発のGK110コアを採用したGTX TITANシリーズが採用される。
Intel X79 ExpressプラットフォームがPCIe Gen3に対応しておらず動作確認が完全にとれるまで無効としていると説明していたが、2012年6月現在、NVIDIAはX79プラットフォームの各社マザーボードでのマザーボード-CPU間の通信タイミングに開きが見られるためX79プラットフォームでのPCIe Gen3対応は見送られた。なお公式ではサポートを行わない条件においてX79でのPCIe Gen3を有効化する無保証パッチを配布している[41]。
そのほか、GeForce GTX 670およびGTX 680は、シャープの4K解像度ディスプレイPN-K321における3840x2160ドットの60Hz映像伝送に対応するグラフィックスカードとして、AMD Radeon HD 7750/HD 7970、AMD FirePro W600/W5000/W8000、NVIDIA GeForce GTX TITAN/760、NVIDIA Quadro K600/K5000などとともにシャープ公式の動作検証がなされている[42]。 GeForce GT 600 Seriesは、主にFermi世代の下位モデルのリネーム製品で構成され、Keplerアーキテクチャを採用する製品はGK107コア採用のGeForce GT 640 1製品のみだったが、2013年5月のGK208コアの発表により、Keplerアーキテクチャを採用する製品が増加した。 製品名コア名 (プロセス)コアクロック GeForce GTX 600 Seriesは、Keplerアーキテクチャを採用する、ミドルレンジからハイエンドクラスの2012年 - 2013年前半の製品群である。 GTX 650 Ti BOOST以上でIntel Turbo Boost Technologyと非常に近い機能を有するGPU Boostが搭載されている。GPUの消費電力が想定より低かった場合、想定電力に達するまでGPUコアクロックとGPUコア電圧を引き上げる機能である[45]。 GTX 650 Ti BOOST以上でDisplayPort 1.2出力端子を搭載し、4Kモニタの60Hz表示に対応する。 製品名コア名 (プロセス)コアクロック
GeForce GT 600 Series
(CUDA)
(MHz)コア数メモリフィルレート[注釈 5]FLOPS[注釈 5]SLI消費電力
(W)接続
SMCUDATMUROPL2
(KB)タイプクロック
(GT/s)バス幅
(bit)帯域
(GB/s)容量
(GB)ピクセル
(GPix/s)テクセル
(GTex/s)単精度
(TFLOPS)
GeForce GT 610GF119 (TSMC 40 nm)810 (1620)14884128DDR31.86414.41 / 23.246.480.16×29PCIe 2.0
×16
GeForce GT 620GF108 (TSMC 40 nm)700 (1400)296162.8011.20.2749
GeForce GT 630 (DDR3)810 (1620)25612828.81 / 2 / 43.2413.00.3165
GeForce GT 630 (GDDR5)GDDR53.251.21
GeForce GT 630 Rev.2 (64bit DDR3)GK208 (TSMC 28 nm)902384328512DDR31.86414.41 / 27.2228.90.6925PCIe 2.0
×8
GeForce GT 635 (OEM)9677.7430.90.7435
GeForce GT 640 Rev.2 (64bit GDDR5)1046GDDR5540.08.3733.50.8049
GeForce GT 640GK107 (TSMC 28 nm)90216256DDR31.7812828.514.428.90.6965PCIe 3.0
×16
GeForce GT 600 Series の製品
GT 610
2012年5月16日販売開始。Fermi世代のGT 520のリネーム品。
GT 620
2012年5月16日販売開始。Fermi世代のGT 430のメモリバス幅を半減させたもの。
GT 630 (DDR3)
2012年5月16日販売開始。Fermi世代のGT 440 (DDR3) のリネーム品。DDR3メモリを4 GB搭載した製品やDVI-D出力端子を2系統搭載した製品も存在する。
GT 630 (GDDR5)
2012年5月16日販売開始。Fermi世代のGT 440 (GDDR5) のリネーム品。
GT 630 Rev.2 (64bit DDR3)
2013年5月29日販売開始。新しいGK208コアを採用し、メモリバス幅64bitのDDR3メモリを搭載、3画面表示に対応している。GK107コアと比べてPOP数が半分となるため、ピクセルフィルレート(GPixel/s)とメモリ帯域(GB/s)はGT 640の半分となる。
GT 640 Rev.2 (64bit GDDR5)
2013年5月29日販売開始。新しいGK208コアを採用し、メモリバス幅64bitのGDDR5メモリを搭載、3画面表示に対応している。GT 630 Rev.2やGT 640と比べ、コアクロックが16%ほど高く設定されている。
GT 640[43]
2012年6月5日販売開始。GK107コアを採用し、メモリバス幅128bitのDDR3メモリを搭載、3画面表示に対応している。性能はFermi世代のGTSクラスのGTS 450と同程度[44]。リファレンスボードのTDPは65Wとなっているが、実際の消費電力はGTX 650より大幅に低く、ロープロファイル対応かつ1スロットの製品も存在する。
OEM品 (リネーム品)
605 (OEM)
510 (OEM)のリネーム品。
GT 640 (OEM) (192bit DDR3)
GT 545 DDR3 (OEM) のリネーム品。
GT 645 (OEM)
GTX 555 (OEM) のリネーム品。
GeForce GTX 600 Series
[Boost]
(MHz)コア数メモリフィルレート[注釈 5]FLOPS[注釈 5]SLI消費電力