NIE(エヌアイイー、Newspaper in Education)とは、学校等で新聞を教材として活用し、興味や関心の幅を広げる社会運動[1]であり、教育手法である。NIEの日本語訳は、「教育に新聞を」という意味である[2]。 アメリカ合衆国で1930年代にニューヨーク・タイムズが新聞の教材としてハイスクールでの利用を考え始めたもので、組織的なNIEの始まりは、1955年にアイオワ州で実施された「中学生の文字との接触調査」がきっかけで、同調査では、対象となった5500人の生徒の内、男子40%、女子33%が、教室外では全く活字を読まないという実態が明らかになり、これに驚いた地元紙であるデモイン・レジスター
概要
日本では、1985年に静岡県で開催された、日本新聞協会加盟各社の第38回新聞大会において、当時の新聞協会長が、若年層の文字離れ、読書嫌いの傾向に歯止めを掛け、児童、生徒が活字文化に親しむ手段、方法の一つとして、NIEプログラムの重要性を提唱し、翌月、販売委員会にNIE専門部会が設立される。
翌1986年から具体的な活動を始め、同年3月、アメリカで開かれた第15回米国NIE大会に部会長を、翌年1987年3月、北欧4国に副部会長2人を派遣。同年4月パンフレットを作成し、文部省や全国の教育委員会、小・中学校、高等学校、PTA、新聞協会会員各社等に配布し周知。同年10月、新聞協会理事会にて専門部会を発展解消を承認し、1988年2月、NIE委員会(各新聞社の担当役員・局長で構成)を設立した。その後、実務を担うNIE専門部会(各新聞社のNIE実務者で構成)は、NIE委員会のもとにある。
東京都の小中学校教師の新聞活用授業研究会を基盤に「東京NIE推進委員会」を設立し、1989年9月、小学校1校、中学校2校で全国初のパイロット計画を開始した[3]。1992年には新潟県が参加し、1994年から全国的に拡大した。1996年に「NIE実践校」制度が制定され、翌年には47都道府県で実践されるようになった。日本新聞協会は日本国内で500以上の小中高校を NIE実践指定校に認定している。(2023年度のNIE実践指定校数は530)
日本新聞協会は1998年3月2日、NIE事業発展のため、日本新聞教育文化財団を設立した。2011年3月に日本新聞協会が財団を合併し、NIE事業を進めている。 日本新聞協会が主催となって、NIE全国大会を開催している。大会では、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校のNIEの実践者による公開授業や実践発表を通じて、NIEに関心のある教員をはじめとする教育関係者や新聞関係者、研究者、関心を持つ市民との交流の場となっている。 ・大会スローガン 探究と対話を深めるNIE デジタル・多様性社会の学びに生かす ・開催日時 2024年8月1日(木)・2日(金) ●1日目 ・会場 ロームシアター京都 ・プログラム 基調講演 「刷り物の字が教えた日本」磯田道史氏 (歴史家、国際日本文化研究センター教授) パネルディスカッション「きょうを読み、あすを解く(NIEの歴史と可能性)」 ●2日目 ・会場 京都経済センター ・プログラム ・小・中・高・特別支援学校・インターナショナルスクールの公開授業・実践発表 ・ポスターセッション(上記の発表校以外の教員・市民・生徒らが発表、交流できる) ・特別分科会:「子ども新聞、子ども記者活動」・「京都のNIE史」 過去の大会の概要については、NIE全国大会[4]で確認できる。大会スローガンは、時流に沿ってテーマを決め、公開授業や実践報告が実施されている。 ●第28回 (松山市・2023年) 大会スローガン ICTでひらくNIE新時代 ●第27回 (宮崎市・2022年) 大会スローガン いまを開き 未来を拓く NIE ●第26回 (札幌市・2021年オンライン開催) 大会スローガン 新しい学びを創るNIE?家庭、教室、地域をむすぶ? ●第25回 (東京都・2020年オンライン開催) 大会スローガン ともに生きる 新聞でつながる ●第24回 (宇都宮市・2019年) 大会スローガン 深い対話を育むNIE ●第23回 (盛岡市・2018年) 大会スローガン 新聞と歩む 復興、未来へ ●第22回 (名古屋市・2017年) 大会スローガン 新聞を開く 世界をひらく ●第21回 (大分市・2016年) 大会スローガン 新聞でわくわく 社会と向き合うNIE ●第20回 (秋田市・2015年) 大会スローガン 「問い」を育てるNIE?思考を深め、発信する子どもたち? ●第19回 (徳島市・2014年) 大会スローガン よき紙民になる―子どもに意欲を持たせるNIE活動 ●第18回 (静岡市・2013年) 大会スローガン 「学び」発見―ふじのくにから「やさしいNIE」 ●第17回 (福井市・2012年) 大会スローガン 「考える人」になる いかそう新聞 伸ばそう生きる力 ●第16回 (青森市・2011年) 大会スローガン 読み解く力 新聞で ―学校・家庭・地域からNIE ●第15回 (熊本市・2010年) 大会スローガン 学校から社会へ?学びを深め、暮らしに生きるNIE ●第14回 (長野市・2009年) 大会スローガン わかる ひろがる つながるNIE ●第13回 (高知市・2008年) 大会スローガン こどもが拓くNIE 地域に根ざす学び求めて ●第12回 (岡山市・2007年) 大会スローガン 学びあい 世界を広げるNIE(教育に新聞を) ●第11回 (水戸市・2006年) 大会スローガン 学校から家庭・地域へ広めようNIE ●第10回 (鹿児島市・2005年) 大会スローガン 広げよう 深めようNIE?豊かな学びを求めて? ●第9回 (新潟市・2004年) 大会スローガン 活字文化を大切に 発展させようNIE ●第8回 (松江市・2003年) 大会スローガン 明日に生きる力はぐくむNIE?学校・家庭・地域とともに? ●第7回 (札幌市・2002年) 大会スローガン 踏み出そう新世紀NIE?北の大地からの発信? ●第6回 (神戸市・2001年) 大会スローガン 21世紀をひらくNIE ●第5回 (横浜市・2000年) パネルディスカッションのテーマ NIE活動はどう学校を変えていくか ●第4回 (大阪市・1999年) パネルディスカッションのテーマ 期待膨らむNIE──総合的な学習で「生きる力」を ●第3回 (仙台市・1998年) パネルディスカッションのテーマ NIEはいま―2002年の新教育課程に向けて ●第2回 (広島市・1997年) パネルディスカッションのテーマ 「生きる力」をはぐくむNIE ●第1回 (東京都・1996年) パネルディスカッションのテーマ 報道・取材と教育の現場?NIE運動の可能性を求めて?
NIE全国大会
大会概要
第29回(京都市2024年)
過去の大会 概要
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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