NATOフォネティックコード
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NATOフォネティックコード(ナトーフォネティックコード、: NATO phonetic alphabet、: Alphabet phonetique de l'OTAN)とは、欧文通話表の中でも北大西洋条約機構(NATO)が定めた通話表である。無線通話などにおいて重要な文字・数字の組み合わせを正確に伝達するため、NATOによってラテン文字の通話規則を定めた。

単に「フォネティックコード」とも呼ばれ、通話表として便利なため、NATOと関連がない組織でも使われている。この場合、一部の符号の規則が異なる場合もある。
概要

このコードは元々INTERCO(国際信号コード、en)のサブセットである。なお、INTERCOでは、フォネティックコードのほかに、船舶用の視覚的・聴覚的な信号、すなわち旗旒(きりゅう)信号発光信号、音響信号(ホイッスルサイレン霧笛ベル)や、定型句を表す1-3文字の略語も規定していた。その後、無線の普及により、音声による通話のための共通信号の必要性が高まった。

「NATOフォネティックコード」という呼び名は、このコードが各海軍の艦船からなるNATO連合艦隊で採用された「Allied Tactical Publication ATP-1, Volume II: Allied Maritime Signal and Maneuvering Book」で規定されていたことによるものである。同書のもとになったINTERCOの「International Code of Signals」では、旗旒信号、発光信号、モールス符号なども制定していた。そのため、電話・無線による音声通信に使用するためのコードである本コードは、「音声によるコード」という意味で「フォネティックコード(音声コード)」と呼ばれるようになったのである。

アメリカ海軍とNATO加盟国の海軍の通信が世界規模になったことにより、この「NATOフォネティックコード」という名前も広く知られるようになった ⇒[1]。しかしながら、ATP-1はNATOの「秘密文書」(またはそれより低いレベルの指定である「機密文書」)であったので、厳密にはNATO加盟国以外は公的に使用することができなかった[1]。NATOの秘密・機密扱いでないバージョンが(敵対諸国、仮想敵国を含む)NATO外の国の軍隊にも提供されたが、彼らもそれを公開することは許されなかった。

アルファベットを表現するために使用する単語は、本コードを採用しているどの機関でも同一だが、数字を表現するために使用する単語は二種類の系統があり、組織ごとに二つのうちからどちらを使うか選択している。NATOでは通常の英語による数字の読み、たとえば「0 = ゼロ zero」「1 = ワン one」を使用するのに対して(ただし、3は「ツリー tree」、5は「ファイフ fife」、9は「ナイナー niner」のように発音される)、IMOなどでは他の単語と組み合わせた語を使用する(0 = nadazero, 1 = unaone)。
文字と発音

アルファベットや数字を表現するための語の発音は、話者の言語習慣によって異なる場合がある。発音のゆれを防ぐために、ICAOは推奨する発音を録音やポスターの形式で提供している[2][3]

文字コード単語発音 (強調部に
アクセントを置く)ICAO (公式)IPA (非公式)
AAlfa (ICAO, ITU, IMO, FAA)
Alpha (ANSI)AL FAH'alfa[?alf?]
BBravoBRAH VOH'bra:'vo[?b??vo?]
CCharlieCHAR LEE
または
SHAR LEE't?a:li
または
'?a:li[?t???li?]
または
[????li?]
DDeltaDELL TAH'delta[?d?lt?]
EEchoECK OH'eko[??ko?]
FFoxtrotFOKS TROT'fBkstrBt[?f??kst???t]
GGolfGOLFgulf[g??lf]
HHotelHO TELL (ICAO)
HOH TELL (ITU, IMO, FAA)ho:'tel[ho?.?t?l]
IIndiaIN DEE AH'indi?a[??ndi?.??]
JJuliett (ICAO, ITU, IMO, FAA)
Juliet (ANSI)JEW LEE ETT'd_u:li?et[?d?u?li?.??t]
KKiloKEY LOH'ki:lo[?ki?lo?]
LLimaLEE MAH'li:ma[?li?m?]
MMikeMIKEmaik[ma?k]
NNovemberNO VEM BERno'vembe[no?.?v?m?b?]
OOscarOSS CAH'Bska[???sk?]
PPapaPAH PAHpe'pa[p?.?p?]
QQuebecKEH BECKke'bek[k?.?b?k]
RRomeoROW ME OH'ro:mi?o[??o?mi?.?o?]
SSierraSEE AIR RAH (ICAO, ITU, IMO)
SEE AIR AH (FAA)si'era[si?.?????]
TTangoTANG GO't ango[?ta?go?]
UUniformYOU NEE FORM
または
OO NEE FORM'ju:nifB:m (sic)
または
'u:nifB:rm[?ju?ni?.?f??m]
または
[?u?ni?.?f??m]
VVictorVIK TAH'vikta[?v?kt?]
WWhiskeyWISS KEY'wiski[?w?ski?]
XX-rayECKS RAY (ICAO, ITU)
ECKS RAY (IMO, FAA)'eks'rei[??ks?e?]
YYankeeYANG KEY'j anki[?ja?ki?]
ZZuluZOO LOO'zu:lu:[?zu?lu?]
0Zero (FAA)
Nadazero (ITU, IMO)ZE RO (ICAO, FAA)
NAH-DAH-ZAY-ROH (ITU, IMO)[?zi??o?]
1One (FAA)
Unaone (ITU, IMO)WUN (ICAO, FAA)
OO-NAH-WUN (ITU, IMO)[w?n]
2Two (FAA)
Bissotwo (ITU, IMO)TOO (ICAO, FAA)
BEES-SOH-TOO (ITU, IMO)[tu?]
3Three (FAA)
Terrathree (ITU, IMO)TREE (ICAO, FAA)
TAY-RAH-TREE (ITU, IMO)[t?i?]
4Four (FAA)
Kartefour (ITU, IMO)FOW ER (ICAO, FAA)
KAR-TAY-FOWER (ITU, IMO)[f??]
5Five (FAA)
Pantafive (ITU, IMO)FIFE (ICAO, FAA)
PAN-TAH-FIVE (ITU, IMO)[fa?f]
6Six (FAA)
Soxisix (ITU, IMO)SIX (ICAO, FAA)
SOK-SEE-SIX (ITU, IMO)[s?ks]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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