N-ブロモスクシンイミド
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N-ブロモスクシンイミド

IUPAC名

1-Bromo-2,5-pyrrolidinedione
別称N-ブロモこはく酸イミド; NBS
識別情報
CAS登録番号128-08-5
ChemSpider60528
日化辞番号J5.405D
ChEBI

CHEBI:53174

SMILES

O=C1N(Br)C(=O)CC1

InChI

InChI=1S/C4H4BrNO2/c5-6-3(7)1-2-4(6)8/h1-2H2Key: PCLIMKBDDGJMGD-UHFFFAOYSA-N

InChI=1/C4H4BrNO2/c5-6-3(7)1-2-4(6)8/h1-2H2Key: PCLIMKBDDGJMGD-UHFFFAOYAS

特性
化学式C4H4BrNO2
モル質量177.98 g mol?1
外観白色固体
密度2.098 g/cm3(固体)
融点

175 - 178 °C
への溶解度1.47 g / 100 mL (25 °C)
CCl4への溶解度不溶 (25 °C)
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒Strategic Services Division
主な危険性刺激性
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

N-ブロモスクシンイミド(NBS、英:N-Bromosuccinimide)は有機化学においてラジカル置換求電子付加反応に用いられる化学物質である。NBSは臭素源として重宝される。アセトンTHFDMFDMSOアセトニトリルに可溶であり、酢酸に溶けにくい。ジエチルエーテルヘキサン四塩化炭素には不溶である。
目次

1 N-ブロモスクシンイミドの反応

1.1 アルケンの臭素化

1.2 アリル位・ベンジル位の臭素化

1.3 カルボニル誘導体のブロモ化

1.4 芳香族誘導体のブロモ化

1.5 ホフマン転位

1.6 アルコールの選択的酸化


2 NBSの生成

3 その他

4 脚注

5 外部リンク

N-ブロモスクシンイミドの反応
アルケンの臭素化

NBSは水中でアルケンである 1 と反応し、ブロモヒドリン 2 を生成する。より良い反応条件としてはDMSO、DME(ジメトキシエタン)、THF、tert-ブタノール等の50%アルケン水溶液を 0 ℃に冷却し、NBSを少しずつ加えるというものである[1]。臭素イオンの生成と、続く水による迅速な攻撃はマルコフニコフ則に強く従い、アンチ型の立体選択性を与える[2]

副反応でα-ブロモケトン、およびジブロモ体が生成する。この副反応はNBSを使用直前に再結晶することにより最小限に抑えられる。

水の代わりに求核性の試薬を加えることにより、官能基を2つ持つアルカンを合成することができる[3]


アリル位・ベンジル位の臭素化

NBSを用いたアリル位、ベンジル位のブロモ化においてよく用いられる反応条件としては、NBSを無水四塩化炭素に溶解した溶液をラジカル開始剤アゾビスイソブチロニトリル (AIBN)、過酸化ベンゾイル (BPO) 等)と共に還流するか、光照射する、もしくはその両方を併用することが必要である[4][5]。これはウォール・チーグラー反応とも呼ばれている[6][7]

水が存在すると目的化合物が加水分解されたような化合物が生成するため、四塩化炭素は反応の間無水状態でなければならない[8]。水および臭化水素を捕捉して除去するため、しばしば炭酸バリウムが加えられる。
カルボニル誘導体のブロモ化

NBSはラジカル反応もしくは酸触媒反応によりカルボニル誘導体のα位をブロモ化する。例えば、塩化ヘキサノイル 1 のα位は酸触媒のもと、NBSによりブロモ化される[9]

エノラートエノールエーテル、エノールアセテートとNBSの反応は副生成物が少なく収率が高いため、α-ブロモ化反応としては好まれる[10][11]
芳香族誘導体のブロモ化

フェノールアニリン、様々な芳香族複素環式化合物[12]といった電子豊富な芳香族化合物はNBSによりブロモ化される[13][14]DMFを溶媒とすると高いパラ位選択性が得られ[15]二硫化炭素を溶媒とするとオルト位選択的である[16]
ホフマン転位

NBSはDBU等の強塩基の存在下で1級アミドと反応しホフマン転位によりカルバメートを生成する[17]


アルコールの選択的酸化

めったに見られないが、NBSはアルコールの酸化にも利用可能である。イライアス・コーリーらは、水とDMEの混合溶媒に溶解させたNBSが1級アルコールの共存下でも2級アルコールのみを選択的に酸化できることを発見した[18]


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