MYC proto-oncogene, bHLH transcription factor
識別子
略号MYC
他の略号c-Myc, v-myc
Entrez
MYCL proto-oncogene, bHLH transcription factor
識別子
略号MYCL
他の略号LMYC, MYCL1, bHLHe38, L-Myc, v-myc
Entrez(英語版)4610
HUGO7555
OMIM164850
RefSeqNM_005376
UniProtP12524
他のデータ
遺伝子座Chr. 1 p34.2
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MYCN proto-oncogene, bHLH transcription factor
識別子
略号MYCN
Entrez(英語版)4613
HUGO7559
OMIM164840
RefSeqNM_005378
UniProtV
他のデータ
遺伝子座Chr. 2 p24.3
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Mycは、転写因子をコードする遺伝子ファミリーであり、調節遺伝子(英語版)かつがん原遺伝子のファミリーである。Mycファミリーは、関連する3つのヒト遺伝子c-Myc(MYC(英語版))、l-Myc(MYCL(英語版))、n-Myc(MYCN)から構成される。c-Myc(単にMyc、MYCと呼ばれることもある)はこのファミリーで最初に発見された遺伝子であり、名称はウイルス遺伝子v-mycとの相同性に由来する。
がんでは、c-Mycはしばしば恒常的に発現している。c-Mycによって多くの遺伝子の発現が上昇し、その一部は細胞増殖に関与しているため、がんの形成に寄与することとなる[1]。c-Mycと関係した染色体転座は、バーキットリンパ腫の症例の大部分で重要な役割を果たしている[2]。c-Myc遺伝子の恒常的なアップレギュレーションは頸部、大腸、胸部、肺、胃の癌腫でも観察されている[1]。そのため、Mycは抗がん剤の有望な標的であると考えられている[3]。残念ながら、Mycは抗がん剤の標的として適さないいくつかの特徴を持っているため、タンパク質自身を標的とする低分子化合物ではなく、MycをコードするmRNAを標的とするなど、間接的にタンパク質に作用することが必要である[4][5]。
ヒトゲノムでは、c-Mycは8番染色体(英語版)に位置しており、E-box(英語版)への結合を介して全遺伝子の15%の発現を調節していると考えられている[6]。
典型的な転写因子としての役割に加えて、N-Mycはヒストンアセチル化酵素をリクルートする可能性がある。これによって、ヒストンのアセチル化を介して全体的なクロマチン構造の調節が可能となる[7]。 鳥類のウイルス(avian myelocytomatosis virus)にコードされるがん遺伝子(v-myc)の発見後、相同な遺伝子(c-Myc)が正常細胞にも存在することが発見された。後に、さらに他の相同遺伝子n-Mycとl-Mycが発見され、Mycファミリーへ加えられた[8]。 バーキットリンパ腫のがん細胞では染色体転座が生じており、8番染色体と14番染色体 Mycファミリーの遺伝子はすべてMycファミリーの転写因子をコードしており、塩基性ヘリックスループヘリックス(bHLH)とロイシンジッパー(LZ)モチーフを含んでいる。bHLHモチーフはMycのDNAへの結合を担い、LZモチーフは他のbHLH型転写因子であるMax
発見
構造
MycのmRNAはIRESを含んでおり、ウイルス感染時など5'キャップ依存的な翻訳が阻害された際にもタンパク質への翻訳を行うことが可能となる[10]。 Mycタンパク質は、E-box配列への結合とヒストンアセチル化酵素のリクルートによって多くの増殖促進遺伝子の発現を活性化する転写因子である。Mycは転写伸長因子のリクルートによって、活発に転写されている遺伝子の転写伸長反応をアップレギュレーションすると考えられている[11]。また、Mycはリプレッサーとして機能することもある。MycはMiz-1転写因子に結合することで、p300
機能
Mycは血清刺激やWnt、Shh、EGF(MAPK/ERK経路(英語版)を介して)などさまざまな分裂促進シグナルによって活性化される[14]。