ポラックの法則では、プロセッサを構成するトランジスタ数をプロセス繊細化を行なわずに単純に2倍にした場合、ダイサイズは2倍となるが、処理能力は 2 {\displaystyle {\sqrt {2}}} 倍(約1.4倍)にとどまるとされている。一方で、消費電力はトランジスタ数に比例する。この法則によれば2倍のコストで1.4倍のリターンしか得られず、プロセッサあたりのトランジスタ数を増やすことは非効率となる。
スーパーコンピュータの領域ではより早くからスカラー演算能力の限界として認識されていたシングルCPUによる演算能力向上の限界は、1990年代末頃からはPCやサーバー用の分野でも現実のものとして認識されはじめた。2000年代の中頃にはシングルコアでの処理性能の向上手法よりマルチコアによる向上を図った製品が登場するようになった。
以下にマルチコアが登場した背景について示す。 大型コンピュータやスーパーコンピュータでは、1つの半導体パッケージに複数の汎用プロセッサ・コアを封入することは早くから行なわれていた。 サーバ用途でのパーソナルコンピュータ類似製品では1990年代中頃から、マザーボード上に複数のプロセッサを実装し並列処理させる対称型マルチプロセッシング (symmetric multi-processing, SMP) と呼ばれるソリューションが現れていた。こういったマザーボードにマルチコアCPUを装着して、2x2=4 や 2x4=8 といった多数のマルチコア環境が現れている。 1990年代中頃からラップトップパソコンでの「腿(もも)が熱い」という発熱への不満やPCの放熱ファンの騒音が問題として認識され始めた。将来の汎用プロセッサは、製造プロセスの微細化によるリーク電流の増加や、処理能力向上を目的とした動作クロックの高速化によって、消費電力がますます増大していくことが予想された。当時の汎用プロセッサ処理速度の向上手法のままでは、汎用プロセッサのダイ温度が非現実的なまでに高温となり、冷却機構の物理的な限界から性能向上が頭打ちになることもまた予想された。2000年前後から一般ユーザー向けのPCでも水冷式の製品が販売されはじめた。 2001年からは1GHzを越えるCPUクロックが一般的となり、2010年頃には5GHz前後まで伸びた。しかし、1GHzの1サイクルの時間内では、光速度でも30cmしか伝播できない物理法則の壁がある。そのため、今後さらにクロックが高速化されて5GHz以上や10GHzになれば従来のLCによる伝播遅延に加えて、電気信号そのものの伝播の遅さも無視できなくなってくる。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在[いつ?]の汎用プロセッサ内部の処理機構がスーパースカラー機構などにより既に高度に高速処理への最適化がなされている。たとえば命令の先読みによって投機実行と呼ばれる、本当に実行が必要かまだ決まらない内から前もって次の処理を実行してしまうという動作を常に行う、汎用プロセッサの外部に主メモリがあるにもかかわらず汎用プロセッサ上にキャッシュメモリが3段階にも用意されている、さらにプリフェッチ・キューまでが用意されているといった具合である。
複数CPUの実装
発熱と消費電力の問題
クロックの限界
高速処理の専用回路の限界
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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