Mr.カラー
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Mr.カラーの瓶。左側は調色用の色

Mr.カラー(ミスターカラー)は、GSIクレオスが発売している模型塗料のシリーズ。同社模型部門(MR.HOBBY ブランド)の主力商品である。製造は藤倉化成で、溶剤系(油性)アクリル樹脂塗料に分類される。目次

1 概要

2 性質

3 ラインアップ

3.1 リスト


4 派生商品

4.1 姉妹品

4.2 系列品

4.3 類似品


5 逸話

6 外部リンク

概要

米国の大手模型メーカーレベル社の輸入代理店として同社製品の国内販売を行っていたグンゼ産業(現・GSIクレオス)が、1960年代の後半に藤倉化成と共同で開発したプラモデル用の塗料。当初は「レベルカラー」と称していたが、1977年にレベルとの提携解消に伴い「Mr.カラー」と改称された。プラモデル用として先行して販売されていたマルサン商店の「プラカラー」が、色数が少なく混合して使用するのが普通であったのに対し、調色済みの専用色を多数用意し、特に当時のレベル社の主力商品であったドイツ、イギリス、アメリカ等の航空機用の色を充実させることによって差別化を行った。

レベルとグンゼ産業の提携解消後、レベルの代理店を引き継いだタカラからも、ほぼ同内容の塗料がレベルカラーの名称を受け継いで発売された。タカラ版のレベルカラーは1980年代の半ばにレベルとタカラの提携解消に伴って販売が終了。以後Mr.カラーは代表的な模型用塗料として広く国内で使用されている。また1970年代には、プラカラーを製造していた東邦化研からも、模型用として同種のアクリル樹脂塗料の「モデルカラー」が発売されており、色番号などもMr.カラーと同じであった。

材質としては非水溶性の有機溶剤を用いたアクリル樹脂塗料であり、溶剤の蒸発により強固な塗膜を形成する。ラッカー系あるいは油性アクリル塗料と呼ばれることが多く、またマルサン商店のプラカラー以前には「マメラッカー」と呼ばれる本来のラッカーが模型用に販売されていたため、Mr.カラーが同種のラッカー塗料であると混同される場合も少なくない。本製品はラッカー塗料の一種のアクリルラッカーであり、一般塗装用のラッカー(ニトロセルロースラッカー)に含まれる、スチロール樹脂を溶かし、毒性も強い溶剤は含まれていない。また成分も異なるためラッカーと混用することはできない。 1980年代から2007年までの瓶

プラモデルへの塗装を前提にして開発されており、主にプラスチック(スチロール樹脂)や木製、金属製などの模型の塗装に用いられる。ABS樹脂ポリカーボネートには不向きであり、ABS樹脂に使用すると溶剤の浸透により脆くなったり割れたりする場合がある。さらに一部の模型で使用されているポリエチレンポリアセタールには定着しにくく、下地にプライマーを塗った上からの塗装であっても、乾燥後に爪で引っ掻くと簡単に剥がれてしまう。

1980年代の初めに瓶の容量を減らした際、上部が手でつまめるような蓋の形状が採用され、以後長らく本製品の特徴となった。これは、瓶の縁に付着した塗料が固着して蓋が開けにくくなった時に、力を入れやすいように考慮されたものである。2008年11月以降、「水性ホビーカラー」や「タミヤカラーアクリル塗料」と同様のつまみの無い蓋に変更された。関連商品に、塗料が固まって蓋が開けにくくなった時に用いる「Mr.キャップオープナー」が発売されている。

有機溶剤が含まれている為に、より安全な水性塗料への移行が推奨される環境での用途(初心者や共同住宅在住者などの塗装)では、同一製造元の製品として「水性ホビーカラー」や「アクリジョン」が代替商品として奨励される。その為に、現行のプラモデルの取扱説明書で、本製品で色指定される事は少なくなった(代替には特別な場合を除き、主に「水性ホビーカラー」の色番号を用いる)。

バンダイ・ホビー事業部とタイアップして発売された「ガンダムカラー」(ガンプラの色指定に合わせた色がセットになっている)や「エヴァカラー」などは、Mr.カラーの特色であり、混合や同じシンナーの使用ができる。なおコトブキヤの「フレームアームズ」とのタイアップ商品である専用特色「フレームアームズ&M.S.Gカラーセット」(FC01?04)は、後述の通りガイアノーツより出ているガイアカラー特色として発売されている「フレームアームズ・ガール カラー」との共通のものは存在しない。
性質

溶剤系アクリル樹脂塗料の特徴として乾燥が速く、形成される塗膜の耐久性があり、耐候性も良い。しかし、乾燥後も溶剤には溶けるため、事故で再溶解し塗装が駄目になる場合もある。固まった塗料を溶かして再利用することも可能で、近年、そのための溶剤が発売された。同種の塗料で塗り重ねを行うと下の層が溶け出す可能性もある。エナメル系や水性塗料の溶剤には侵されることはない。またエナメル系塗料と比較すると、乾きが速い上、粘性が比較的高く伸びが悪いので筆塗りにはあまり適さない(厚塗りになりやすい)が、乾燥を遅らせる「Mr.リターダマイルド」を使用することによりある程度筆塗りを容易にすることができる。エアブラシで吹き付ける際は、うすめ液で倍以上に希釈して使用するのが一般的である。吹き付け専用の「Mr.レベリングうすめ液」も発売されている。
ラインアップ

様々なジャンルの模型に対応することを考慮されており、Mr.カラーだけで100を超える色数を揃えている。特に航空機模型用の特色が豊富で、ハセガワフジミイタレリドラゴンなどの航空機模型ではMr.カラーの色名を用いて色指定が行われている(アオシマ等、水性ホビーカラーの色番号を用いる所もある)。この他、色の三原色の「色ノ源」や、パステルカラーマジョーラカラーのように混合では調色しにくい特別色や用途別の特色のセット、乾いた後に磨くと金属の質感が再現できるメタルカラーなど、「Mr.カラー」の名前を冠した瓶入り塗料だけでも商品ラインアップは200アイテム近くにのぼる。さらに、缶スプレーが70色強揃っている。

鉄道模型用として、以前には「赤11号」や「青15号」といった国鉄制式色も発売されていた。ラインアップの中に「赤2号」「灰色9号」があるのはその名残である。
リスト

番号色名種別スプレー備考
1ホワイト(白)光沢○GX1クールホワイト
2ブラック(黒)GX2ウィノーブラック
3レッド(赤)GX3ハーマンレッド
2008年のリニューアルで色合い変更
旧版は特色AVC07プリビアスレッドで復刻
4イエロー(黄)GX4キアライエロー
5ブルー(青)GX5スージーブルー
2008年のリニューアルで色合い変更
旧版は特色AVC05プリビアスブルーで復刻
6グリーン(緑)GX6モウリーグリーン
2008年のリニューアルで色合い変更
7ブラウン(茶)×
8シルバー(銀)メタリック○2008年のリニューアルで色合い変更
旧版は特色AVC02プリビアスシルバーで復刻
9ゴールド(金)2008年のリニューアルで色合い変更
10カッパー(銅)×2008年のリニューアルで色合い変更
11ガルグレー半光沢○
12オリーブドラブ(1)
13ニュートラルグレー
14ネービーブルー旧別名 シーブルー
15暗緑色(中島系)旧別名 濃緑色(暗緑色)(1)
16濃緑色限定色
旧別名 濃緑色(暗緑色)(2)
17RLM71ダークグリーン×
18RLM70ブラックグリーン
19サンディブラウン限定色
20ライトブルー限定色
同名の323とは別色
21ミドルストーン
22ダークアース
23ダークグリーン(2)ダークグリーン(1)は17番
24
(欠番)スカイ飛行機用特色カラーセットCS683 C368
25ダークシーグレー
26ダックエッググリーン
27機体内部色
28黒鉄色メタリック○
29艦底色半光沢
30フラットベース
スタンダードつや消し他に188(あらめ、ラフ)と
189(なめらか、スムース)
31軍艦色(1)半光沢アメリカ海軍色
32軍艦色(2)旧日本海軍横須賀工廠色
33つや消しブラックつや消し
34スカイブルー光沢
35明灰白色(三菱系)半光沢旧名 明灰白色(1)
36
RLM74グレーグリーン×旧名 グレー74
37RLM75グレーバイオレット旧名 グレー75
38オリーブドラブ(2)つや消し○
39ダークイエロー3/4つや消し旧別名 サンディイエロー
1990年のリニューアルで色合い変更
40ジャーマングレー旧名 フィールドグレー(1)
1990年のリニューアルで色合い変更
41レッドブラウン1990年のリニューアルで色合い変更
42マホガニー半光沢
43ウッドブラウン
44タン(黄褐色)
45セールカラー×
46クリアー(透明)光沢○
47クリアーレッド2008年のリニューアルで染料から顔料に変更
48クリアーイエロー2008年のリニューアルで染料から顔料に変更
49クリアーオレンジ2008年のリニューアルで染料から顔料に変更
50クリアーブルー2008年のリニューアルで染料から顔料に変更
51薄茶色半光沢×旧名 肌色
52フィールドグレー(2)つや消し
53
(欠番)ライトカーキ(バフ)
54カーキグリーン限定色
55カーキ限定色
56明灰緑色(中島系)半光沢旧名 明灰白色(2)
57青竹色メタリック別名 ジンクロ
58黄橙色半光沢○
59オレンジ(橙)光沢×旧名 サファリオレンジ
60RLM02グレー半光沢旧名 RLMグレー
61焼鉄色メタリック
62つや消しホワイト(白)つや消し○
63ピンク(桃)光沢
64ルマングリーン(黄緑)
65インディブルー旧別名 青(2)
66デイトナグリーン旧別名 緑(2)
67パープル(紫)
68モンザレッド旧別名 赤(2)
69グランプリホワイト旧別名 白(2)
70ダークグリーン3/4つや消し旧名 ジャーマングリーン
1990年のリニューアルで色合い変更
71ミッドナイトブルー光沢×
72ミディアムブルー半光沢
73エアクラフトグレー光沢
74エアスペリオリティーブルー限定色
75メタリックレッドメタリック○
76メタリックブルー
77メタリックグリーン
78メタルブラック
79シャインレッド(朱)光沢
80コバルトブルー
81赤2号(あずき色)限定色
GM鉄道カラー1番
82
(欠番)赤11号×
83
(欠番)朱色4号GM鉄道カラー31番
84
(欠番)ぶどう色2号GM鉄道カラー2番
85
(欠番)黄かん色GM鉄道カラー3番
86
(欠番)クリーム4号GM鉄道カラー4番
87
(欠番)クリーム1号GM鉄道カラー5番
88
(欠番)青22号GM鉄道カラー6番
89
(欠番)青15号GM鉄道カラー7番
90シャインシルバーメタリック○旧名 光輝シルバー
91
(欠番)ねずみ色1号光沢×GM鉄道カラー9番


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