Mozilla Thunderbird
Mozilla Thunderbird 115
開発元Mozilla Foundation(旧Mozilla Messaging)
MZLA Technologies Corporation
最新版115.10.2[1]
Mozilla Thunderbird(モジラ・サンダーバード)は、Mozillaを起源とし、オープンソースで開発が行われている電子メールクライアントおよびニュースリーダーである。プロジェクト開始当初はMinotaur(ミノタウアー)と呼ばれていた。レンダリングエンジンGeckoを使用し、優れた描画性能、高速性、拡張機能、テーマ機能など拡張性に富む。Mozilla SuiteあるいはNetscape Mail/Newsと同様の機能を持つ。
RSSを取得・購読するためのRSSリーダーや、ベイズ理論による学習型迷惑メールフィルタ機能(受信時に迷惑メールと判断されたメールに迷惑メールの印を付け、設定によってはさらに「迷惑メールフォルダ」へ振り分けることも可能)、タブ表示インターフェイスを標準で備えるなど、他の電子メールクライアントに見られない独自の利便性を打ち出している。Outlook Expressなどの他の電子メールクライアントからの容易な移行機構も備える。 Mozilla Firefoxと同じように、Geckoエンジン上にXULを用いて構築されているため、マルチプラットフォームでありながら、開発ソースは単一である。またXULを利用して非常に自由度の高い拡張機能が利用できたが、バージョン78よりXULを使用した拡張機能はサポートされなくなった。ただし、Geckoエンジンに問題が発生すると、Thunderbirdも影響を受けるため、アップデートの必要性が生じてくる。 Outlook Expressなどのメールソフトに見られるような、左にフォルダ、右上部にメール一覧、右下部にメールの内容が表示されるという3ペインのインターフェイスをしている(設定により、2ペインに変更可能)。メールソフトとして利用できるプロトコルはPOP3、SMTP、IMAPである。それ以外には、ニュースグループの購読や、HTTP を通じて RSS、Atomの取得をしたり、RSS を通じてポッドキャスティングされたデータを取得することが可能である。 Thunderbirdのソースコードを利用した派生電子メールクライアントとしてEudoraの後継となるPenelopeが開発中であったが、2010年に開発が終了した。 それまでプロジェクトを推し進めてきたMozilla Foundationは2008年2月19日にThunderbirdプロジェクトのための新組織Mozilla Messagingの設立を発表した[7]。ThunderbirdはMozillaの開発側やコミュニティがFirefoxほどに注力しておらず小規模開発となっていることが原因で、切り離しはThunderbirdに興味・意欲のある人間を集めて開発を活性化させることが目的であった。 これに際し、Mozilla Corporationの最高経営責任者ミッチェル・ベイカー
概要
Mozillaからの切り離しと再統合
Mozillaファウンデーションのように別組織を設立する
Mozillaファウンデーションの下に子会社を設立する
CaminoやSeaMonkeyのようにコミュニティプロジェクトとして分離し、コミュニティが新会社設立などによる開発を行う
なお、この切り離しに際してネット上で「広告収入を供与しているGoogleがGmailとの競合を理由に圧力をかけたのではないか」という噂が流れたが、ベイカーはこれを否定した[9]。
その後、Mozillaファウンデーションは2011年4月に、Thunderbirdの開発チームをMozilla Labsに統合すると発表した[10]。
Mozillaは2017年5月9日、引き続きMozilla FoundationがThunderbirdを支援するが、運用面ではMozilla Corporationから分離させていく方針を明らかにした。Software Freedom ConservancyやThe Document Foundationへの移管も検討されていたが、当面の間はMozillaに留まることになった。将来的には、ThunderbirdのプロジェクトはMozillaから独立することになる[11]。
2020年1月28日、ThunderbirdがMozilla Foundationの子会社MZLA Technologies Corporationに移管された[12]。 Firefoxと並行してアップデートが行われるためバージョンの数字は同時期リリースのFirefoxに合わせられる。このため、2.0系列まではたびたびバージョンの数字が飛んでいた。3.0系列や3.1系列では同時期のFirefoxのバージョンとずれていたため(それぞれ3.5と3.6)数字が飛ぶことは無かったが、5.0以降は再びFirefoxに合わせられたため、4.0系列が跳ばされている。 なお、MozillaはFirefox 4以降、Firefoxのリリースサイクル(周期)を短縮すると発表した(詳細はMozilla Firefoxを参照)。これに伴い、Thunderbirdもリリースサイクルを短縮し、今後は6週間ごとに定期的なアップデートを行っていく予定[13][14]。 Firefoxと同様、正式版の他に、ベータ版 (Thunderbird)・オーロラ版(Earlybird)・ナイトリー版(Daily)の3種類のエディションがリリースされている。ベータ版は原則毎週、オーロラ版とナイトリー版は毎日更新される。 2012年7月、Thunderbirdの主要開発チームは不具合の修正に専念する計画が発表され、新機能の追加はコミュニティが行うこととなった[15][16]。 Firefoxの対応するバージョンにおける修正とほぼ同じである。Geckoエンジンのバージョンは1.7.x。 バージョンリリース日備考 Firefoxと同様、もともとは1.1としてリリースされる予定だったものが1.5として改められた。Geckoエンジンのバージョンは1.8.0.x。 バージョンリリース日備考 2010年6月までセキュリティアップデートが提供された[17]。Geckoのバージョンは1.8.1.x。 バージョンリリース日備考
バージョンの変遷
1.0系列
1.02004年12月6日
(日本語版は24日)最初の正式リリース
1.0.22005年3月15日GIF画像の処理におけるヒープオーバーフロー等を修正
1.0.52005年7月12日JavaScript無効時にも XBL スクリプトが実行される脆弱性等の修正。英語版のみリリース。
1.0.62005年7月19日1.0.5 における拡張機能関連 API の不具合の解消
1.0.72005年9月29日ヘルプが「Not Found」になる問題等の修正
1.0.82006年4月21日安定性の向上、セキュリティフィックス。1.0系列の最終アップデート。
1.5系列
1.52006年1月11日正式リリース
1.5.0.22006年4月21日安定性の向上、セキュリティフィックス
1.5.0.42006年6月1日Intel Macへの正式対応。安定性の向上、セキュリティフィックス。Firefox 1.5.0.4と同時リリース。
1.5.0.52006年7月27日安定性の向上、セキュリティフィックス。Firefox 1.5.0.5と同時リリース。
1.5.0.72006年9月14日安定性の向上、セキュリティフィックス。Firefox 1.5.0.7と同時リリース。
1.5.0.82006年11月7日安定性の向上、セキュリティフィックス。Firefox 1.5.0.8と同時リリース。
1.5.0.92006年12月19日安定性の向上、セキュリティフィックス。Firefox 1.5.0.9と同時リリース。
1.5.0.102007年3月1日安定性の向上、SSL 2 の処理に関するバッファオーバーフロー等の修正。
1.5.0.122007年5月30日安定性の向上、APOP認証に関する脆弱性などの修正。
1.5.0.132007年8月23日2.0.0.5、2.0.0.6と同等の修正。
1.5.0.142007年12月19日FirefoxとInternet Explorerの相互作用で発生する深刻な脆弱性を修正、およびメモリ破損でクラッシュが起きる不具合を修正。また、1.5系列の最終アップデート。
2.0系列
2.0.0.02007年4月18日正式リリース。Geckoのバージョンは1.8.1.3。正式版公開は2007年第一四半期を予定[18]していたが、Firefoxの予期せぬセキュリティフィックス作業に伴い延期となり、4月にずれ込んだ[19]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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