Mova
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mova端末・N502it NEC製 2000年

mova(ムーバ)は、かつて日本携帯電話会社NTTドコモが提供していた、800MHz帯(一部1.5GHz帯)を利用した第1世代(アナログNTT大容量方式)および第2世代(デジタルPDC)携帯電話無線機または同社による同無線機向けサービスの総称。

第三世代携帯電話W-CDMA)サービス「FOMA」への移行が進んだことを理由に、2008年12月に新規の利用申込を停止。2012年3月31日限りでサービスを終了し、停波した。
概説

NTTは、1989年平成元年)7月DDIセルラーグループが採用したTACS方式(JTACS)による携帯電話サービスで提供されたモトローラ社製小型機MicroTAC(英語版)(容積約300cc[注釈 1]に対抗するため、日本の主要通信機器メーカー、松下通信工業(現:パナソニック モバイルコミュニケーションズ)、日本電気(NEC、現:NECカシオ モバイルコミュニケーションズ)、三菱電機および富士通の4社[注釈 2]と共同で容積200ccを目指したTZ-804型無線機を開発、1991年(平成3年)4月から提供。当時、世界最軽量・最小であり[1]、自動車電話及びショルダーホンと区別するため「携帯電話」という商品名で提供していた既存商品TZ-802・TZ-803型無線機と区別する「超小型携帯電話・ムーバ(mova)」と呼称する商品群とした。「mova」の名称は英語のmovable(動かせる、移動する)の最初の4文字から採ったもので、携帯のしやすさ、移動のしやすさを表現したものである。DDIセルラーグループ・日本移動通信のデジタル網は、IDOはセルラー・ドコモ、セルラーはIDO・ドコモというようにmovaにローミングした。なお、端末は当初はレンタルで、販売は1994年(平成6年)4月の売り切り制解禁からである。

1993年(平成5年)3月の第2世代デジタル方式サービス開始により、同サービス対応の携帯電話無線機を「デジタル・ムーバ」として従来のアナログ無線機と区別したが、1999年(平成11年)3月にアナログ方式サービスが終了し、2001年(平成13年)10月には第3世代デジタル方式の新サービス「FOMA(フォーマ)」に対応する無線機も発売されたことから、同年11月発売の211シリーズ以降は再び「ムーバ」に戻された。

「ムーバ」とは、登場以来長くドコモが販売した携帯電話無線機(例外機種あり)の商標であったが、同社契約約款を2004年(平成16年)4月にFOMAサービスを除く「携帯自動車電話契約」を「movaサービス契約」と名称を改正したことから、同社の第2世代携帯自動車電話サービスの総称を意味することとなった。なお、ドコモは2004年度(平成16年度)後半頃より、本来のカタカナ「ムーバ」はあまり用いず、ロゴなどでしか目にすることのなかった英字「mova」を契約約款での使用に準じて常用するようになっている。

2004年あたりから「FOMA」のサービスエリアの拡大、新機能の導入などで「FOMA」の普及が進むに連れ、「mova」加入者数の減少が急速に進み、2007年度末に1000万件を、2008年11月末には700万件を割り込んだ。2008年8月7日には、同年11月をもって「mova」新規加入の受付終了と、翌8月8日より、「FOMA」への契約変更手数料\2,100を無料にする発表があった[2]。2009年1月30日のニュースリリースで、2012年3月31日限りでのmova(およびこれを利用したDoPaなどの)サービス提供の終了が正式に発表された[3]
mova端末初代アナログmova N(TZ-804)改良版 NEC製初期デジタル端末SO101 SONY製デジタル・ムーバを利用した列車電話
一部の高速バスにも設置されていた

アナログ式時代は、まずNTT時代の1991年初登場のTZ-804型携帯無線電話機を「ムーバ x」(x=メーカ記号)とした。1993年に無線局免許証票の貼付を廃し、若干の改良(収納状態でも着信できるアンテナ、機器の発熱から耳を保護するイヤーパッドなど)を施したが、愛称に変更はない(厳密には名称は「 x1」となった)。NTTドコモ譲受後の後継機種は「ムーバ x2」となり、「TZ-」系の型式番号は廃止された。

デジタル(PDC)方式が開始されると、これに対応した端末は「デジタル・ムーバ」となり、最初のものは各メーカごとに「デジタル・ムーバ x」から開始され、次いで「デジタル・ムーバ x2」となり、9.6kbpsデータ通信に対応したものは末尾に「HYPER」が付加された。その後は「デジタル・ムーバ xyyy」(y=型番数字)となり、型番は101から開始され、100番台および200番台で進められた。

iモード対応のものは501iから始まり、1.5GHz(シティフォン・シティオ)のものは151から始まっている。200番台のシリーズは209iからiモード対応となり、ドコモの800MHz端末は全部iモード対応に切り替わった。

高級仕上げや防水、高齢者向けなどの特殊仕様として、600番台がある。

なお、当初はドコモ標準ソフトを採用する端末メーカーであるP(松下通信工業)、N(日本電気)、D(三菱電機)、F(富士通)、R(日本無線)、M(モトローラ)製のものにだけ「ムーバ」の商品名が付けられており、ソニーシャープなど他社製の端末や変則的納入を行うメーカー、ドコモ標準ソフトを採用していない機種は2001年まで「ムーバ」を名乗れず、「DoCoMo by Sony SO502i」「DoCoMo NOKIA NM207」のような型番となっており、「byシリーズ」と呼ばれていたほか、メーカー記号も2文字とされていた。2001年4月(503iS・210iシリーズ)以降はムーバで統一された為に区別はされなくなった。

HYPERは9.6kbpsでデータ通信ができるものにつけられていたが、全ての端末でその機能が実装され、1999年に廃止された第1世代と区別する「デジタル」という言葉も必要がなくなったため、211i(2001年10月)以降、「ムーバ xyyyi」となった。
メーカー名

P(松下通信工業、現:
パナソニック モバイルコミュニケーションズ

N(日本電気、後NECモバイルコミュニケーションズを経て日本電気に回帰)

D(三菱電機)※現在携帯端末からは撤退。

F(富士通、現:富士通コネクテッドテクノロジーズ

M(モトローラ)本来は「by」メーカーだが、基本設計をドコモ標準(P101基本)としてあり次世代携帯で技術があり、変則的にムーバメーカーとなる。提携。

R(日本無線)※現在携帯端末からは撤退(ウィルコム向けPHSのみ手がけていた)。

以下は、「ムーバ」の名が冠された実績のある他社メーカーを挙げる。

SH(シャープ)※SH505iSH251i以降

SO(ソニー、現:ソニーモバイルコミュニケーションズ)※SO503iSSO210i以降は、ソニー・エリクソン時代に発表。[注釈 3]

KO(国際電気、現日立国際電気)※KO210iのみ。現在携帯端末からは撤退。

「ムーバ」の名は冠されなかったが、過去にドコモ向け800MHzPDC端末を製造したメーカーとしては

SA(三洋電機)※現在携帯端末からは撤退し、部門を京セラへ譲渡。

ER(エリクソン、現:ソニーモバイルコミュニケーションズ)

NM(ノキア) 「ムーバ」とも「by」とも名乗らない、変則納入メーカーなので本来はbyとなるが、次世代携帯で技術提携があり、「ムーバ」メーカーと「by」メーカーとの中間に位置していて、「DoCoMo NOKIA NM207」という風に「by」ともつかなかった。「NM」は、ノキアの日本進出当時に携帯電話端末の販売を担当していた「ノキア・モービル・コミュニケーション」(Nokia Mobile Communication)の略である。

DE(デンソー)※現在携帯端末からは撤退。かつての日本移動通信と同じくトヨタ自動車の関連会社のため、ドコモ向け端末は非常に少なかった。

TS(東芝)※現在の富士通モバイルコミュニケーションズへ部門を譲渡。富士通モバイルはKDDI向けをメインとし、ドコモではTを冠した端末を含めて富士通本体が担当する体制となった(その例がT-01DT-02D)。FOMAでは略号が「T」となっている。それ以前にもデジタルムーバとしての発売を希望していたが、ドコモに却下されたことから関係が悪化し、ドコモ以外の他社向け端末をメインとしていた時期がある。

KY(京セラ)※第二電電DDIセルラーグループの設立母体だったことから、ドコモ向け端末は非常に少なかった。

がある。
サービスの歴史

FOMAへのユーザーの移行が進むにつれ、2003年9月からmovaユーザー数は逓減していた。最終的には第3世代携帯電話であるFOMAに集約する方針であったため、サービス終了数年前からは各種サービスもFOMA利用を前提としたものに改められていった。
ユーザー数

ユーザー数については断りが無い限り業界団体(電気通信事業者協会)の ⇒まとめによるものである。


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