MotoGP
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「MotoGP」はこの項目へ転送されています。この選手権大会を再現したコンピュータゲームについては「MotoGP (コンピュータゲーム)」をご覧ください。

ロードレース世界選手権FIM Grand Prix World Championship[1]

カテゴリオートバイ
国・地域国際
開始年1949年 (75年前) (1949)
クラスMotoGP,Moto2,Moto3,MotoE
タイヤ
サプライヤーミシュラン(MotoGP、MotoE)、ダンロップ(Moto2、Moto3)
ライダーズ
チャンピオン フランチェスコ・バニャイア
(MotoGPクラス)
ペドロ・アコスタ
(Moto2クラス)
ジャウマ・マシア (レオパードレーシング)
(Moto3クラス)
マッティア・カサデイ
(MotoEクラス)
マニュファクチャラーズ
チャンピオン ドゥカティ
(MotoGPクラス)
カレックス・エンジニアリング
(Moto2クラス)
ガスガス
(Moto3クラス)
公式サイト ⇒motogp.com
現在のシーズン

ロードレース世界選手権(ロードレースせかいせんしゅけん)は、オートバイによるモータースポーツ国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が統括し、1949年に始まった二輪ロードレースの最高峰カテゴリーである。現在はドルナ社(DORNA)が各種権利等を管理している。

かつての正式名称は『FIM Road Racing World Championship Grand Prix[2]』で、2016年シーズンより「Road Racing」の表記が外され、『FIM Grand Prix World Championship』という正式名称を用いている[1]。シリーズの略称は2001年まではWGP(World Grand Prixの略)や、日本では世界GPや世界グランプリなどが一般的だったが、2002年に最高峰の500ccクラスがMotoGPクラスに改編されたのを機に、現在はシリーズ全体の略称にもMotoGP(モトジーピー)が使われる場合が多い。

現在は、レース専用に開発された二輪車を用い、レース専用に建設された世界各地のサーキットを転戦し、ライダーとマシンの速さを競うという内容になっている。かつては公道用市販車を改造したマシンも出場しており、公道を封鎖したコースも数多く使用されていた。

選手権はエンジンの排気量別に3つのクラスに分かれており、2019年現在、MotoGPクラスは4ストローク1000cc(2012年?)、Moto2クラスはトライアンフワンメイクの3気筒4ストローク765cc(2019年?)、Moto3クラスは単気筒4ストロークの250cc(2012年?)となっている[3]

歴代チャンピオンに関してはロードレース世界チャンピオンの一覧を参照のこと。2005年マレーシアGP決勝。前からカピロッシヘイデンロッシ2010年のMotoGPクラス参戦ライダー(開幕戦カタールGPにて)2010年のインディアナポリスGP Moto2クラス決勝で発生した多重クラッシュ
選手権の概要

世界各国でのグランプリレース(GP)での順位に応じてポイントを加算していき、年間チャンピオンを決定する。

全クラスにライダー選手権とマニファクチャラー(メーカー)選手権があり、現在はMotoGPクラスのみチーム選手権も存在する。マニファクチャラー選手権はメーカー内の最上位入賞ライダーのポイントのみを加算する。チーム選手権はチーム内の全てのライダーの入賞ポイントを加算する。
基本

ロードレース世界選手権は、世界各国を転戦しながら全18戦でチャンピオンを決定する。チャンピオンシップはポイント制で、1位25ポイント、2位20ポイント、3位16ポイント、4位13ポイント、5位11ポイント、以下1ポイントずつ減っていき15位1ポイントとなる。エントリーライダー数(2017年シーズン開幕時点)は、MotoGPクラス:23人、Moto2クラス:32人、Moto3クラス:30人。このほかに各大会にはそれぞれのクラスに限られたワイルドカードという特別出場枠があり、レースの主催者の推薦によりスポット参戦が認められている。
競技方法

レース期間は3日、

初日:フリー走行1/2

2日目:フリー走行3 → 公式予選Q1/Q2 → (motoGPのみ)スプリントレース

3日目:(motoGPのみ)ウォームアップ走行→決勝

という流れで行う。各フリー走行は初日moto3は35分、moto2は40分、motoGPのみ1が45分、2が60分。2日目は全クラス30分となっている。

フリー走行が予選の班分けを兼ねる変則的ノックダウン方式となっている。moto3/moto2ではフリー走行1-3の上位14名がQ1を経ずにQ2に進出する。その他はQ1を走行しその上位4名がQ2に進出し、Q2の結果で上位18のグリッドが決定される。グリッド19以降はQ1のタイム3位以降がタイム順に並ぶ。

つまり、予選通過者のうち上位14名はフリー走行とQ2の結果で、4名はフリー走行とQ1とQ2の結果で、残りはフリー走行とQ1の結果でグリッドが決まることになる。

motoGPでは2023年度から行われるようになったスプリントレースとの兼ね合いもあり、フリー走行1は完全なフリー走行枠となり、予選の班分けが行われるのはフリー走行2(セッション名は「プラクティス」)のみとなった。出走台数の違いから自動Q2進出は上位10名、Q1からQ2への進出は上位2名で、13位以下はQ1でグリッド決定となっている。

F1とは違い、スプリントレース用の予選は行われず、決勝用のグリッドがそのままスプリントでのグリッドとなる。

いわゆる107%ルール(予選まででポールポジションの周回タイムの107%を超えるものは予選不通過となる)が存在するが、F1のそれとは異なり、各フリー走行で1回でもトップから107%以内のタイムを出していれば予選通過となる[3]。また悪天候等の影響で予選不通過者が多く出た場合は、主催者側の判断により救済措置が適用されることもある[4]

決勝

原則としてMoto3 → Moto2 → MotoGPの順にレースが行われ(motoGPの出走時間が一定の時間になるように調整されているため、イギリスGPやフランスGPではmotoGPの放映時間優先でmoto3→motoGP→moto2となることもある)、大会ごとの規定周回数を最も速く走ったものが勝者となる。レース走行距離は95 - 130km程度で、それぞれのクラスで45分ほどとなる。最初に搭載した燃料で走りきれるため、悪天候等の想定外のトラブルが発生しない限りピットインする事は無い。ただし、MotoGPクラスには2005年より“フラッグ・トゥ・フラッグ”と呼ばれるルールが定められ、降雨時にはスリックタイヤを履いたマシンでピットインし、ウェットタイヤを装着済みの別のマシンへの乗り換え(あるいはその逆)が見られることとなった[5]。これはスタート前から「ウェットレース宣言」が出された場合には各自自由なタイミングで乗り換えが可能だが、「ドライレース宣言」でスタートした場合は、乗り換え可能を示す白旗が提示されるまでは乗り換えが出来ない。
MotoGPクラス2010年フランスGP ロッシロレンソによるバトル

2001年まで存在していた500ccクラスが、2002年に現在の名称となり発足した選手権の最高峰クラス。かつてはイルモアWCMといったプライベーターがオリジナルマシンで参戦していたほか、カワサキワークス・チームを送り込んでいたが、2021年現在出場しているのはヤマハホンダスズキドゥカティアプリリアKTMの6メーカーと、ワークスマシンの貸与等を受けられるサテライトチームとなっている。

使用されるシャシーおよびエンジンはプロトタイプ(レース専用)が原則であるが、2012年より実施されたクレーミング・ルール・チーム(CRT)では市販車ベースの車両が認められた。なおタイヤは、2009年から2015年までブリヂストンのワンメイクであったが[6]2016年よりミシュランのワンメイクになっている。[7]

なお、レギュレーションは年とともに変化しており、細部については次項の「レギュレーションの変遷」を参照
レギュレーションの変遷
2002年 - 2006年 : 990cc時代

2001年まで存在していた500ccクラスは、2ストローク・4ストローク共に排気量500ccが上限で、1970年代半ば以降は事実上2ストロークのみという状況になっていた。そこで環境問題対策へのアピールや商業上の理由(2ストローク大排気量車が市場と直結していない)によって、2002年より4ストロークが主体となるMotoGPクラスが誕生した。

2002年には「4ストロークエンジンの排気量あたりの出力効率は2ストロークエンジンの半分」とする係数計算から制定された新レギュレーションが導入され、2006年まで適用された。エンジンは2ストローク500cc以下、4ストローク990cc以下のレース専用車両という規定で、気筒数やピストン形状による最低重量制限が課せられていた。排気量は4ストロークが優遇された一方で、燃料タンク容量は2ストロークが32L、4ストロークが24L(2004年には22L)と、4ストロークの燃料タンク容量は大きく制限された。

2002年のMotoGPレギュレーション[8]4ストロークエンジン2ストロークエンジン
排気量990cc以下350?500cc
気筒数・
最低重量3気筒以下135kg1・2気筒101kg
4・5気筒145kg3気筒116kg
6気筒155kg4気筒131kg
楕円ピストン1ランク上の重量
カテゴリーを適用制限無し
燃料タンク容量24L以下規制無し
音量走行前115ホン走行前110ホン
走行後120ホン走行後113ホン

しかし、2002年シーズンが開幕すると4ストローク車両が圧倒的に有利なことが明らかとなったため、2ストローク車両でのMotoGP参戦は2003年シーズン終了までに次第になくなり、カワサキ(2002年シーズン第13戦もてぎGPから)やドゥカティ(2003年シーズンから)など4ストロークを得意とするメーカーの新規参入を呼び込むこととなった。

2ストロークから4ストローク大排気量へと変わった事でバックトルク(エンジンブレーキ)が強大になったため、初期の頃はコーナー手前のシフトダウンを伴う減速時に後輪側が激しく暴れるといったシーンがよく見られた。バックトルクの弱い2ストロークに馴染んだライダーやメーカーは対策に頭を悩まされることとなったが、エンジンの電子制御やスリッパー・クラッチ等の開発が進むにつれ問題は解消され、当時はまだ2ストロークだった250ccクラス等からのステップアップも困難ではなくなっていった。

2ストロークエンジンはその構造上電子制御を取り入れにくかったが、4ストロークへの移行に伴いハイテク化が一気に進んだ。燃料噴射装置は機械式から電子制御式に移行し、エンジン特性そのものの電子制御化、トラクションコントロール、シフターの最適化等、操縦を支援する装置が数多く搭載されるようになり、これらの電子装置の性能が車両性能を大きく左右するようになった。2ストローク時代と比べ、単に絶対速度が上がっただけでなく遥かに扱いやすいマシンとなり、ライダー達のタイムが拮抗するようになったという意見がある。
2007年 - 2011年 : 800cc時代

990cc時代の最高峰クラスは、直線での加速力や最高速では4輪のF1をも凌ぎ、ブレーキングポイントが明らかに手前でコーナー脱出速度が遅いにもかかわらず、鈴鹿サーキットをはじめ、各サーキットにおける最高速レコードを叩き出していた。そのため、最高速度の急激な上昇を抑えるといった安全上の理由等によりレギュレーションが改正され、2007年から最大排気量が800ccへと引き下げられた。エンジンの気筒数によって最低重量が定められ、燃料タンクは21Lに制限された。

2007年のMotoGPレギュレーション[8]4ストロークエンジン
排気量800cc以下
気筒数・
最低重量2気筒135kg以上
3気筒142.5kg
4気筒150kg
5気筒157.5kg
6気筒165kg
楕円ピストン禁止
燃料タンク容量21L以下

800ccになっても下位クラスよりも大柄でトルクも強大で、最大エンジン出力は200馬力以上、最高時速はダニ・ペドロサが349km/h以上を記録した。また990cc時代はライダーにマシンの有り余るパワーを制御する事が求められたが、800ccへの変更後は電子制御技術が一層進化し、250ccクラス等からのステップアップがスムーズになったことにより以前に比べて新人ライダーが活躍する事が多くなり、スーパーバイク世界選手権(市販車改造1000cc)出身ライダーは、ライディングスタイルを変更しないと活躍出来ない傾向になっていた。
2009年 : コスト削減策の適用

高騰し続ける参戦費用を抑えるため、2009年よりMotoGPの主催者であるDORNAIRTAなどで構成されるグランプリ委員会によってレギュレーション改正が行われた。

タイヤサプライヤーを一社に限定し、2009年から2011年まで3年契約でブリヂストンが供給[9]第11戦チェコGP以降は使用できるエンジン数が最大5基までに制限された。また、ブレーキの材料として、セラミック複合材料によるディスクとパッドの使用は禁止となった。エンジンオイルは潤滑油としてのみ使用可能であり、油圧制御システムへの使用は禁止される。電子制御サスペンションの使用も禁止された。EGR(排気ガス再循環装置)の使用も禁止[10]。さらにこの年からルーキーライダーはサテライトチームからしかエントリーできなくなった(スズキのみサテライトチームを持たない為このルールの適応外となっている)。
2010年 : コスト削減策の適用

エンジン個数は、年間シーズンを通して、各ライダーは最大6基のエンジンを使用できる。


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