mixin とはオブジェクト指向プログラミング言語において、サブクラスによって継承されることにより機能を提供し、単体で動作することを意図しないクラスである。言語によっては、その言語でクラスや継承と呼ぶものとは別のシステムとして mixin がある場合もある(#バリエーションの節で詳述)。目次 オブジェクト指向プログラミングにおいて、継承は本来は特化を意図したものである。すなわち、継承する側(派生型)と継承される側(基底型)の間にはリスコフの置換原則があることを前提とする。 しかし実際のところは、実装の再利用のための手段として使われることが多い(濫用されがちであるが)。mixin における継承も、前述のような特化のためではなく、複数の機能を集めるための手段である。特にクラスの多重継承が可能なシステムでは、複数の mixin クラスを多重継承し、「単に複数の機能を持つクラス」を簡単に作る、というような使い方ができる。典型例としては、InputStream と OutputStream という mixin クラスを多重継承して、InputOutputStream という双方向ストリームのクラスとする、といったようなパターンである。 mixin は、そのようなもの自体はそれ以前からも考えられていたが、シンボリックス社のオブジェクト指向システム Flavors(en:Flavors (programming language)
1 概要
2 バリエーション
3 例
3.1 Python
3.2 C#
4 関連項目
5 注
6 外部リンク
概要
mixin はコードの再利用を促進する。しかし、mixin にはそれなりの妥協も伴う。
(クラスの多重継承すなわち実装の多重継承ができず、インタフェースの複数実装による型の多重継承のみができる、例えばJavaやC#などの観点からは)mixin は、「メソッド実装付きのインタフェース」ということもできる。クラスが mixin を含む場合、そのインタフェースを実装したクラスは、mixin の属性と操作を取り込む。継承するというのとは異なっている。取り込んだ要素はコンパイル時にクラスの一部となる。興味深いことに、mixin はインタフェースを実装する必要はない。それでもあえてインタフェースを実装する利点は、そのインタフェースを必要とするメソッドに、引数としてインスタンスを渡せるからである。 クラスとその継承関係とは別のものとして mixin を活用している言語としてRubyがある。Rubyではクラスの継承は単一継承のみとし、多重継承にまつわる問題(例えば菱形継承問題)を避けた。そして「継承関係の無いクラスのようなもの」としてモジュールと呼ばれる言語機能があり、モジュールは複数個(いくつでも)クラスに「mixinする」ことができる。モジュール自体は何かを継承したりはしていないため、菱形継承問題は起きない。 その他、mixinのようなものがある言語。
バリエーション
D言語 (「テンプレート・ミクスイン」と呼ばれる)
Dylan
Perl
Python
Ruby
Scala
Self
Strongtalk
Python の、特に Python 2.3 以降および Python 3 では C3 linearization により多重継承した際のメソッド探索順は解決されるので、多重継承は有力な手法であり、実際にいくつか活用例がある。SocketServer モジュールは UDP および TCP ソケットサーバとして動作する UDPServer と TCPServer クラスの両方を備えている。通常、すべてのコネクションは同じプロセス内で処理されるが、ForkingMixIn と ThreadingMixIn という追加の mixin クラスが存在する。下記のように TCPServer を ThreadingMixIn により拡張すると、class ThreadingTCPServer(ThreadingMixIn, TCPServer): pass
ThreadingMixIn が TCPServer にコネクションごとにスレッドを生成する機能を追加する。あるいは、ForkingMixIn を用いると各新規のコネクションに対してプロセスが fork される。明らかに、スレッドを生成したりプロセスを fork する機能は単独では大して役に立たない。
この使用例では、mixin はソケットサーバとしての機能に影響することなく、基盤となる機能を選択可能な形で提供している。 C#ではインタフェースと拡張メソッドの組合せによって、Mix-inを再現できる。using System.Linq; System.Collections.Generic.IEnumerable<int> range = Enumerable.Range(1, 10); // IEnumerable<T>にはSum()メソッドは定義されない。 // 実際にはSystem.Linq.Enumerableクラスに実装された拡張メソッドである。 int sum = range.Sum(); // 上記は下記の糖衣構文である。 int sum = Enumerable.Sum(range);
C#
関連項目
トレイト
抽象型
注^ Steve's Ice Cream Parlor
^ ⇒Using Mix-ins with Python
^ ⇒LISTSERV 14.4
外部リンク
⇒Wiki entry at ⇒Cunningham & Cunningham, Inc.
⇒Mixins in ActionScript.
⇒Scala Overview: Mixin Class Composition - a step-by-step example in Scala
⇒The Common Lisp Object System: An Overview by Richard P. Gabriel
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