Microsoft_Windows_XP
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2008年7月以降の入手方法は、流通在庫品のほかに後継製品となるWindows VistaのBusinessかUltimateエディション[15]Windows 7のProfessionalかUltimateエディションからのダウングレード権[16][注 1]を利用する形のみになった。一部の直販 (BTO) メーカーでは、この仕組みを利用して業務用向けオプションとして引き続きWindows XP ProfessionalをプリインストールしたPCが出荷されていたが、2010年10月22日に販売が終了した[17][18]。また、米MicrosoftのDSP版も2009年6月30日に販売終了となり、店舗在庫限りとなった[19]

OSはコンピュータが導入された時のものが使われ諸事情により後続のOSに置き換えができない場合がある(たとえば工場の生産ラインのマシン群のひとつとして組まれてしまっていて仕様を変更するわけにはいかないコンピュータや、発展途上国に慈善活動、フィランソロピーなどで贈られたもので使用者側は買い替え予算が組めないコンピュータなど)。米国の調査会社Net Applicationsによると、2018年12月時点における世界のOSシェアはWindows XPが4.54%であり、首位の座をWindows 10 (39.22%) に明け渡している。NetMarketShareの調査では2020年時点で、シェアが1.26%であり、この数字はWindows 8 のシェア(0.57%)、ChromeOS (0.42%)、Windows Vista (0.12%)よりも大きい[20]。2020年時点でXPは、後続のWindows 8やVistaよりも多く使われているのである。StatCounterによる2020年3月の別の調査では、Windows XPのシェアが増加し0.24ポイント増の1.39%となったといい、中国での急増(13.32%、+9.13)が大きいらしいが、先進国でもフランス(1.11%、+0.23)・カナダ(1.13%、+0.22)・アメリカ合衆国(0.92%、+0.14)など微増している国は数多い[20]

これにはそれなりの理由がある。XPが要求するハードウェア要件がWindows 2000の次くらいに低く(後述参照)、低スペックのマシンで動かすことができ、また使用しているアプリケーションソフトによっては後継のWindowsに対応していないなどの理由からXPが必要であるユーザがいるなどといった事情で依然として根強いシェアがあるのである。その結果、一部のインターネットオークションや中古販売においてWindows XPリテールパッケージ版(特にクリーンインストール版のProfessional)は後発のWindows Vista、およびWindows 7、Windows 8Windows 8.1Windows 10、そして2023年6月現在、最新のWindowsであるWindows 11より高額で取引されることも決して少なくない。
名称の意味

XPは「『経験、体験』を意味するeXPerienceに由来する」と公式には解説されている。
エディション
Home Edition

 主に家庭で使用されることを前提に開発されたエディション。Windows XPの基本的な機能が搭載されており、ドメイン参加といったビジネス向けの機能は非搭載。Professionalエディションに比して、1つの物理CPUのみの対応(ただしハイパースレッディング・テクノロジーマルチコアプロセッサはサポートする)といくつか拡張性に制限がある。
Professional(個人の)上級ユーザー、あるいはビジネスでの利用を想定した、Home Editionに対する上位エディション。マルチプロセッサへの対応や ドメインへの参加、リモートデスクトップのホスト機能、ダイナミックディスクのサポートなどに対応するほか、IISやファイルシステム暗号化などセキュリティ保護関連機能も搭載する。
Media Center EditionMCEと略される。バージョンは2002(コードネーム:eHome、2002年10月に米国、カナダ、韓国で先行発売、日本語版は存在しない)、2003(コードネーム:Freestyle、開発中止)、2004(コードネーム:Harmony、2003年10月に日本、中国、フランス、ドイツ、英国でも発売、日本語版は2003年10月15日発売)、2005(コードネーム:Symphony、2004年10月DSP版は米国では当初未発表で日本でのみ先行発売された)とそのマイナーアップデート版Update Rollup2(コードネーム:Emerald)の4種類がある。Professionalエディションの機能を基本に、テレビジョン放送やデジタルオーディオ機器などのAV機能を付加したエディションである。MCEにのみ、Windows Media Centerと呼ばれるテレビ視聴・録画、音楽再生・録音、ビデオ・DVD鑑賞などを専門的に行うツールが収録されており、付属する専用リモコンで遠隔操作を行うことが可能である。ただし、Media Center EditionはOEM供給の形でのみ提供されるため、プリインストールPCを購入する必要がある(2005についてはDSP版が提供され、一部のハードウェアとセットで入手が可能となった)。2004ではドメインへの参加は可能であったが、2005では再インストール時(OEM版はインストール時も含む)のみにしかドメインへの参加はできなくなった。マイクロソフトも公式にはドメイン参加は不可能であるとアナウンスしている。その他の両バージョンの差として、サポートTVチューナー数が1から2に増加、導入済みService PackがSP1からSP2になったほか、2004では非対応だったPortable Media CenterやデータCD/DVDの作成について、2005で対応した。2005年10月にリリースされたUpdate Rollup2では、Xbox 360をクライアントとして使用することが可能となった。なお、AV機能が充実したPCは日本でも多数リリースされているものの、それらへのMCE採用例は少ない。日本の大手PCメーカーはAV機能に特化した製品を提供する際、ハードウェア・ソフトウェア(ドライバ、アプリケーション)を独自に開発・機能拡張することが多く、結果的にHome EditionまたはProfessionalでも事足りるからである。この理由として、それら大手PCメーカーのほとんどは大手家電メーカーでありAV製品に関する技術が潤沢であること、MCEのリリース以前から多くのAV機能特化PCを製造販売していたこと、そういった製品の多くは家庭向けであるため、MCEよりもコストが低いHome Editionを採用したいこと、などが挙げられる。



Tablet PC EditionProfessionalの機能に加え、ペンタッチ機能を付加させたエディション。このエディションが搭載されたPCには必ず専用のペンが付属する。またタブレットPCでの操作を想定したエディションであるため、Windows Journalと呼ばれるツールでメモ書きができたり付箋紙やMicrosoft Officeなど一部のアプリケーションの付加機能が利用できる場合もある。Tablet PC Edition (2002) (日本語版は2002年11月7日発売)とTablet PC Edition 2005(日本語版は2005年11月22日発売)の2種類のバージョンが存在し、2002ユーザーはService Pack2をインストールすることにより2005へとアップグレードできる。OEM版とDSP版(2005のみ)での提供で、市販パッケージ版は存在しない。
64ビット版

64-bit Itanium Edition
Itanium 環境のワークステーション向けのエディション。Windows XPを基に開発され2002年に公開されたVersion 2002と、Windows Server 2003を基に開発され2003年に公開されたVersion 2003がある。16GBまでの実メモリと8TBまでの仮想メモリをサポート。IA-32向けアプリケーションソフトウェアがそのまま動作するという機構(WOW64)を備えている。OEM供給の形でのみ提供された。後述するProfessional x64 Editionが発売される前の2005年1月4日に販売終了となった。
Professional x64 Edition
Microsoft Windows XP Professional x64 Edition」も参照AMDによるx86アーキテクチャの64ビット拡張AMD64に対応したWindows Server 2003 Service Pack 1 x64 Editionsを基に開発されたクライアント向けのエディション。機能の多くとそれを表すバージョン番号はWindows Server 2003 Service Pack 1と同じ。2005年4月23日から販売開始され、OEM版とDSP版のみが提供された。
市場限定版
Starter Edition開発途上国向けのエディションで、2004年10月ごろから各国語版が段階的に試験発売された。日本語版は提供されていない。対象国は低国民所得がゆえに海賊版が横行しており、その対抗策として廉価で提供されている。主要エディションに比して廉価で提供している理由として、同時に開けるウィンドウ数が3つまでであることや、画面解像度SVGA(800×600)までであること、ネットワーク共有機能の制限やマルチアカウントが使用できないなどの大幅な制限が加えられている。Home Editionなどへのアップグレードは提供されていない。ポルトガル語ブラジル)、タイ語などの言語版をはじめ複数のローカライズ版がリリースされており、それぞれ異なった壁紙やスクリーン セーバーなどが収録されている。
Edition N
マイクロソフトの欧州連合における競争法違反事件」も参照欧州委員会の要求を受けて用意されたエディション。Home EditionとProfessionalからWindows Media Playerが除かれている。主要エディションはメディアプレーヤーに関する消費者の選択権を狭めるとして、競争法違反に問われたため。
Edition KおよびEdition KN
韓国公正取引委員会の要求を受けて用意されたエディション。KはHome EditionとProfessionalに他社製インスタント メッセンジャーへのリンクを追加したもの。KNはHome Edition KとProfessional KからWindows Media PlayerおよびWindows Messengerが除かれているもの。欧州連合域内におけるメディア プレーヤーに加えて、インスタント メッセンジャーについても消費者の選択権を狭めるとして、独占禁止法違反に問われたため。
その他
Home Edition ULCPC
2008年4月3日にマイクロソフトがULCPC用としてメーカー向け販売を開始すると発表したもの[21]。なおマイクロソフトで言うところのULCPCは一般においてネットブックやネットトップと呼ばれる超廉価版PCに合致しており、これらの市場向け製品に利用されている。
Windows Fundamentals for Legacy PCs
コードネーム"Eiger"と呼ばれたもので、2006年7月にシンクライアント版としてソフトウェア アシュアランス契約者向けに登場した[22]
Windows XP Embedded
Windows XPベースの組み込みシステム向けOS


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