Microsoft_Windows_3.x
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GUIはマイクロソフトがIBMと共同開発していたOS/2 1.2のプレゼンテーション・マネージャと類似の外観をしている。ウィンドウのメニューバーとパネル本体という構成やダイアログボックスなど、IBMが提唱したSystems Application ArchitectureCommon User Access (CUA) におおむね準拠している。しかし、シフトキーとマウスを組み合わせた操作はCUAでの規定に反しており完全準拠ではない[17]。このデザインはアップルより同社が開発したClassic Mac OSのルック・アンド・フィールを盗用したとしてWindows 2.xとともに著作権侵害が指摘されたが、裁判ではアップルの訴えは退けられ、後に両者は和解した(詳細はWindows 2.0#アップルとの法的抗争を参照)。
ウィンドウ
一番右上(タイトルバーの右端)のボタン[▲]は最大化(全画面表示)のボタンで、既に最大化している場合はウィンドウ表示に戻すボタン(上下に▲と▼が並んだ[◆]状のボタン)が表示される。その隣のボタン[▼]は最小化(タスクアイコン化)のボタンである。Windows 95以降でのウインドウを閉じる[×]に相当するボタンは存在しない。終了はタイトルバー左上の[-]ボタン(コントロールメニューボックス)やメニューバーからのプルダウンメニューから行えるが、左上の[-]そのものをダブルクリックすることでも終了する[18]。MS-DOSボックスの場合はメニューバーやタイトルバーから終了させることはできず、コマンドプロンプトでEXITと入力する必要がある[注 3][19]。また、エンハンストモードであればControl-Alt-Deleteでアクティブなウィンドウの強制終了が行える。
ポインティング
当時はまだマウスは推奨であって必須ではなかった[20]。セットアップ時にマウス無し(使用しない)を選択することもでき、Windowsの主要システム自体はキーボードだけでも操作できるようになっていた[注 4]。ただし実際にはGUIである以上はマウス前提で作られたアプリケーションが少なくなく、Windows 95以降はマウスが必須になっている。なお右クリックによる操作はアプリケーション側で対応している場合にのみ有効であり、Windowsを操作する上では特別な意味合いを持っていなかった[8]。Windows標準付属のアプリケーションとしてはペイントブラシマインスイーパが右クリックを活用できる[注 1]
シェル
Windows 3.xで標準のシェルは後述のプログラムマネージャというメニューソフトに相当する機能を持つプログラムランチャーだった。また、設定を変更することにより、ファイルマネージャやそれ以外(コマンドプロンプトやNorton Desktopなどのサードパーティー製シェルソフトなど)の特定のアプリケーションをシェルに指定することも可能である。なお、プログラムマネージャ・ファイルマネージャともに、親画面の中で子画面を複数開くことができた (MDI)。
プログラムマネージャ
プログラムの起動は原則としてプログラムマネージャから行う。プログラムマネージャはプログラムを表す「アイコン」およびアイコンを分類する「グループ」を画面に表示するためのプログラムであり、アイコンをダブルクリックすることでプログラムを起動することができた。ただし、プログラムマネージャ上のアイコン(およびグループ)とディスク上のファイル(およびディレクトリ)との間には対応関係が無く、後のエクスプローラーのようにファイルを操作する機能は統合されていない[8]
ファイルマネージャ
ファイル操作は、Windows 2.x以前のシェルだった「MS-DOSウィンドウ」に似たファイルマネージャというプログラムで行う。ファイルのダブルクリックでプログラムを直接実行することもでき、拡張子によるアプリケーションの関連付けもファイルマネージャ上で行うことができる。Windows 2.xでMS-DOSアプリケーションを実行するにはPIFファイル(情報ファイル)にあらかじめ実行環境を設定する必要があったが、Windows 3.0ではPIFファイルがなくても標準設定で実行するようになった[21]。MS-DOSウィンドウはファイル名が羅列されるだけであったが、ファイルマネージャでは画面左に現在開いているディレクトリの位置を示すディレクトリツリーが表示され、画面右には項目名とその種類を示す小さなアイコンが一覧表示されるようになった[11]。プログラムマネージャやデスクトップのタスク(後述)と違って「大きなアイコン」を表示する機能は無い。また、ファイルの種類毎にアイコンが用意されたWindows 95以降と異なり[22]、ファイルマネージャでは自身の持つ数種類のアイコンしか表示できなかった。ファイルマネージャには2000年以上の年表示が文字化けするという不具合があったが、後に2000年問題対応版がマイクロソフトから配布された[23]
デスクトップ
デスクトップ[注 5]の領域には実行中のプログラムを最小化したときのアイコンが表示される[18]。ファイルなどのオブジェクトを置くことのできるデスクトップ・メタファーではなく、Windows 95以降でのタスクバーに相当する場所であった。Windows 2.xからの変更点として、画像や模様を背景として飾ることができるようになった。デスクトップをダブルクリックするとタスクマネージャに似た画面を呼び出すことができた。
マルチメディア

アップルは1991年6月にQuickTimeを発表、12月には出荷しており、パソコン市場拡大のかげりから新しい分野としてマルチメディアが担がれていた時期であった[24][25]

Windows 3.0は当初動画や音声を扱うことができなかった。それらのマルチメディア機能は1991年10月に「Windows 3.0 with Multimedia Extensions」というWindows 3.0の拡張版およびアップグレードキットとしてリリースされた[26]。その後、Windows 3.1では標準でマルチメディア機能が搭載された。

同時に、マイクロソフトや複数のパソコンメーカーによりマルチメディア対応パソコンを認定するため Multimedia PC(英語版) (MPC) 規格が策定されたが、最初のバージョンにおける最小構成のパソコンでは多くのアプリケーションで力不足であった[27]。日本でも、当時標準でマルチメディア機能を使えるWindowsの存在したPCはFM TOWNS程度だった。

それでもWindows 3.1でマルチメディア機能が標準搭載された利点はあり、FM音源程度しか持たないMPC以前の機種であっても、簡単なMIDIファイル程度のマルチメディアであればOS標準で利用できるようになった[28][要検証ノート]。

1992年11月には動画再生をサポートするVideo for Windowsも発表された[29]。当初サポートしていた解像度フレームレートは320x240ピクセル/30fpsと低かったものの[30]AVIが再生できるようになり、マルチメディアCD-ROMソフトがWindows 3.1向けに発売されるようになった。マイクロソフトからはVideo for Windowsの発表と同時にエンカルタとCinemania(英語版)の2本のCD-ROMソフトが発表された[31]。1995年に入るとGPUの性能競争が一時的に停滞し、代わりに動画の拡大表示を綺麗に行う補間機能といった動画再生支援機能が注目されるようになった[22]

MPC規格のバージョンアップはPC/AT互換機ではWindowsの環境改善よりもDOSの環境改善としての効果が大きく、結果としてゲームプレイには最低の環境だったPC/AT互換機を一気にPCゲーム標準機まで押し上げることになった。ただしこのことがゲーム環境のWindowsへの移行を遅らせる原因になり、マイクロソフトがWinGDirectXを開発する強い動機となった。[要出典]
ネットワーク / インターネット

Windows 3.0、3.1では、標準でネットワーク (LAN) 機能自体が搭載されておらず、LAN Manager ClientなどDOSベースのネットワーク機能に頼っていた。LAN Manager ClientはWindows NT ServerのCD-ROMなどに収録され、TCP/IPNetBEUINetWare互換プロトコルなどのプロトコルが使えた。また、Windows for Workgroups (WfW) 3.1はWindows 3.1にWindowsベースでのネットワーク機能を付加するアドオンとして発表、販売された。ただし、この段階ではネットワークプロトコルとしてNetBEUIかNetWare互換プロトコルしか選択できなかった。その後、WfW 3.11が完全なWindows製品として発売され、このWfW3.11向けにTCP/IPプロトコル用ドライバも提供された[32]

WfWの日本語版は発売されなかったため、日本のユーザーが手軽にネットワークを組むにはWindows 3.1との互換性に乏しく高性能パソコンを要求するWindows NTを購入するか、Windows 95の登場を待つしかなかった[33]

日本では1994年時点で個人ユーザーにインターネット接続サービスを提供するISPIIJと富士通(InfoWeb、1999年にニフティへ統合)の2社しか存在せず、まだ黎明期にあった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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