Microsoft_Windows
[Wikipedia|▼Menu]
Windows発売以前では高価なワークステーション(ハイエンドパソコンを上回る性能のデスクトップコンピュータ)でしか実現されていなかったマルチタスクやGUIを中心とした使い勝手の良さを、一般消費者が入手しやすい標準的な規格パソコンに順次取り込んで行き[13]、一般向けOSのシェアのほとんどを占めるに至り、今や大きな知名度を持つ[14]
概略

マイクロソフトが展開するOSのブランド名である[15]コマンド入力が中心でシングルタスクでしか動作しない[16]MS-DOS(CUI)の代替として開発された、1995年発売のWindows 95で人気に火が付き、2000年代以降は世界で最も普及したOSとして、組み込みシステムスマートフォンサーバスーパーコンピュータまであらゆる機器にインストールされるようになった。ゲーム業界にも進出しており、ドリームキャストXboxアーケードゲームにもWindows CEが使われている[17]。Windowsは一般消費者におけるデファクトスタンダードの地位にあると言え、組み込み機器やモバイル端末を除いたパーソナルコンピューターのOSとしては、ほとんどの人にとって人生で最初に触れるOSでもある。
開発の経緯

1990年代前半までのパソコンではシングルタスク(同時に1つのアプリケーションしか動かせない)かつ文字入出力を中心とした操作体系が普通であった。1985年から1995年にかけてMS-DOSの上で動くWindows 1.0からWindows 3.xまで開発されたものの、パソコンCPUシングルコア16bit、十数MHzから三十数MHz、メインメモリが数百kBから十数MBといった性能の低さやグラフィック表示機能の貧弱さが原因で、ウィンドウの表示自体が重荷であり(パソコン向けにウィンドウアクセラレータという拡張カードなども発売された)、ワークステーションで行えるようなウィンドウ切り替えによる並行作業は実用的ではないと見做されていた。従って、性能を要求するソフト(ゲームソフトや資料作成用ソフトなど)についてはWindowsを停止し、MS-DOSで実行することが主流となっていた。この当時、パソコン自体が数十万円は下らない程に高価で、加えてコマンドなどの専門知識が必要であることも鑑みると、非IT企業や家庭への導入にはかなり特殊な理由が必要となり、パソコンの普及のためにはユーザーが技術的詳細に触れなくてもパソコンの能力が発揮できるOSが必要不可欠であったが直感的な操作を実現する上での性能不足は否めなかった。

しかし、1990年代前半のパソコン向け32bitCPUの普及と動作周波数の向上とメインメモリの容量増加で状況が変わりつつあり、PC-UNIXの開発が開始されるなど、ワークステーションの真似事をパソコンに行わせることが実用的になりつつあった。そのような状況下で、企業・家庭を問わずパソコンを容易に扱えるようにするべくWindows 95の開発は進められた。Windows 95では家庭でもなんとか手が届く価格のパソコンにも搭載され始めた32bitCPU(特にIntel 80386以降のIA-32系統のCPU)の機能を活かして、百万円を優に超えるほど高価なワークステーションで提供されていたマルチタスクマルチメディアインターネット接続機能などをパソコンでも動作可能な形で次々と取り込んで行き、あらゆる情報を統合して閲覧編集・整理・送受信できる個人所有可能なコンピュータを実現したことで、Windows 95では本当の意味でデジタル化された日常生活を実現可能にした。1995年当時、SunSGIワークステーションや、クリエイターに人気の高級PCであるMacintoshと比較した場合のWindows 95搭載PCの価格の低さは世界に衝撃を与え、大ブームを引き起こした。ようやくGUIインターネット接続機能が簡単に[注 2]使えるパソコンが庶民の手に届く価格(とはいっても日本では平均24万円台とまだ高額)になったことで、1990年代後半にはパソコン用OSのシェアで他を大きく引き離してトップになっていた(2009年10月にはインターネット上で使用されているクライアント市場シェアの約90%を得ている[18][19][20])。DirectXの搭載により、専用のアクセラレータが利用できるようになり、高品質な画面描画や音声出力が可能になった。Windows 95の時点で従来の主力OSであったMS-DOSは16bitコードの互換機能としてWindowsの背後に隠蔽されるようになり、Windows 9x系の終了と共に開発が停止された。Windows 2000では一般向けでも完全な32bitOSであるWindows NT系に移行した。

パソコン用OSとしては、マイクロソフト社自身によるオフィススイートの提供やインターネット対応は勿論のこと、SteamNetflixと言った一般向け娯楽配信サービスから、事務作業設計シミュレーション、ソフトウェア開発と言ったプロフェッショナル用途まで、多数のサードパーティーがアプリ開発に参画し、全ての用途を包括する環境が形成されたため、強力なプラットフォームに成長した。バージョンアップの過程では、MS-DOSに由来するカーネルの16bitコードとシステムリソースの制約が原因でブルースクリーンが多発したり、処理の効率化が不十分で動作が激しく重いバージョンが幾つかリリースされ、ユーザーからも不評を買っていたが[21]、最新のWindows 10はOSとして成熟し、安定して軽快に動作するようになった。(正確にはアップデートによるソフトの動作に支障をきたす例が増えた)2023年11月時点の最新安定版は、デスクトップ版はWindows 11 バージョン 23H2、およびWindows 10 バージョン 22H2サーバ版はWindows Server 2022モバイル版はWindows 10 Mobile バージョン 1607エンベデッドシステム版はWindows 10 IoTである。

Windowsの一般的な知名度は高いが、1960年代に開発が始まり、現代的なOSの始祖となったUNIX系OSとは全く異なる構造のOSであり、OSの歴史からすると特殊な存在であることには留意する必要がある。
製品展開

2024年3月1日時点で、Windowsは次の製品系統が展開されている。

Windows NT系 - 1993年に登場したWindows NT 3.1を始めとする系統。マイクロカーネルの採用により多様なアーキテクチャCPUへの移植が容易なことと、高い信頼性が特徴。ただしWindows 10はx86x64Windows 10 MobileARMのみ、Windows Server 2012x64のみに対応する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:146 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef