2002年にマイクロソフトは、以前よりもはるかに長いシェーダープログラムを扱えるシェーダーモデル2.0(頂点シェーダー2.0、ピクセルシェーダー2.0)と高級シェーディング言語HLSLをサポートしたDirectX 9をリリースした。2004年8月にはさらに機能を強化したシェーダーモデル3.0を導入したDirectX 9.0cをリリースし、それ以降もDirectX一式の更新を続けている。
DirectX SDK February 2005を最後に、DirectShowはDirectX SDKから取り除かれ、代わりにMicrosoft Platform SDKへ移動された(DirectX SDK April 2005以降にはDirectShow関連ファイルが含まれない)。しかしPlatform SDKに付属するDirectShowのサンプルをビルドするためにはDirectX SDKが必要である[45]。 2006年にリリースされたDirectX 10は、WDDM/DWM/DXGI 1.0とともにWindows Vista専用として提供され、Windows XP以前のOSにはバックポートされなかった。 DirectX SDK August 2007を最後に、DirectMusicはDirectX SDKから取り除かれた[46]。 2008年にはWindows Vista SP1と同時に、DirectX 10のマイナーバージョンアップとしてDirectX 10.1がリリースされた[47]。 2009年、Windows 7と同時にDirectX 11がリリースされた。DirectX 11のうち、GPGPUのために導入されたAPIであるDirectComputeについては、当初はDirectX 11(シェーダーモデル5.0)世代のハードウェアのみに対して提供される予定だったが、2008年11月に開催されたハードウェア技術者向け国際会議「WinHEC 2008」にて「DirectX 10世代のハードウェアでもサポートする」との発表があった。最終的に、DirectX 10.x(シェーダーモデル4.x)世代のGPUでも、DirectX 11 APIを通してDirectComputeが利用できるようになった[48][49]。なおWindows Vista SP2およびWindows Server 2008 SP2向けのプラットフォーム更新プログラムKB971644には、DirectX 11のバックポートが含まれている。 DirectX 11.0のリリース後、Windows 8/8.1向けにそのマイナーアップデート版としてDirectX 11.1/11.2がリリースされた。Windows SDK 7.1およびDirectX SDK June 2010までは、Windows SDKとDirectX SDKとが別々に提供されてきたが、Windows SDK 8.0ではDirectX SDKと統合された。つまり、DirectX 11.1/11.2の開発環境は、Windows SDK 8.0/8.1に統合されることになった。Visual Studio 2012/2013には、それぞれWindows SDK 8.0/8.1がバンドルされている。なお、Windows SDK 8.0以降では後述するようにいくつかの補助ライブラリが廃止されているものの、DirectX 9/10/11のコアライブラリは含まれているため、Windows XP/Vista/7向けのDirectXアプリケーションを開発することも可能である[50]。しかし、Windows SDK 8.0/8.1に同梱されているXAudio2 (v2.8) はWindows 8以降でしか利用できないため、旧OS上でも利用可能なXAudio2 (v2.7以前) を利用するアプリケーションを開発する場合は旧DirectX SDKが別途必要となる。 2013年3月に、Windows 7 SP1およびWindows Server 2008 R2 SP1向けのプラットフォーム更新プログラムKB2670838がリリースされた。この更新プログラムには、DirectX 11.1のバックポートも含まれている。なお、KB2670838の副作用として旧DirectX SDKに付属するグラフィックス分析ツールPIX for Windowsが動作しなくなる[51]。DirectX 11.1がインストールされた環境では、代わりにVisual Studio 2012以降に統合されているGraphics Diagnosticsを使う必要があるが、Windows 7上では一部の機能が利用できない[52]。 DirectX 11は2009年にリリースされてからDirectX 11.1/11.2のようなマイナーチェンジに終始し、メジャーアップデートとなるDirectX 12のロードマップは長らく示されていなかった。その間、OpenGLは組み込み向けのOpenGL ESとともに順調にバージョンアップを重ね、DirectX (Direct3D) に追いつくだけでなく一部ではDirectXを超える機能をサポートし始めていた[53][54][55][56]。また、AMDは従来のDirectXやOpenGLよりもハードウェアに近いローレベルな制御を可能とする独自APIとして2013年にMantleを発表した[57][58]。 DirectXが最先端のリアルタイムグラフィックスシーンを牽引していた時代から変化を迎えつつあったが、GDC 2014ではついにDirectX 12の発表が行なわれ[59]、特にDirect3D 12に関してはDirect3D 11までの高レベルAPIを刷新し、オーバーヘッドを低減したゲームコンソールに近いローレベルな制御を可能とするグラフィックスAPIとなることが明らかにされた。 DirectX 12はWindows 10専用としてそれに標準搭載される形で2015年7月に正式リリースされ、コマンドキューベースの効率的なマルチスレッドレンダリング機能や、マルチGPUによる分散レンダリングの標準化など、近代的なハードウェア設計に沿う形で革新的な多数の機能を備えるに至っている[60][61]。 一方で、従来の手厚い高レベルレイヤーであるDirectX 11にも、DirectX 12で導入された新機能の一部が盛り込まれる形で、DirectX 11.3/11.4のようにDirectX 12と平行してアップデートが継続されている。 2018年にリリースされたWindows 10 October 2018 Updateでは、DirectX Raytracing マイクロソフトは2020年3月、「DirectX 12 Ultimate」を発表した[65]。PCとXbox Series Xのグラフィックスプラットフォームを統一し、ゲームエコシステム全体の拡大を図ることを目的としている。Windows 10バージョン2004以降で利用可能。
DirectX 10のリリース
DirectX 11のリリース
DirectX 12のリリース
DirectX 12 UltimateのリリースDirectX 12 Ultimateのロゴ