DirectX APIは基本的にSide-by-Sideであり、複数のバージョンが競合することなく共存できるため、例えばDirectX 11がインストールされている環境でもDirectX 10およびそれ以前のバージョンを利用することは可能である。また、更新が終了したAPIのうち、OSに標準インストールされているコンポーネントに関しては、Windows 10などの新しいOSでも引き続きデスクトップアプリケーションにて標準的に利用すること自体は可能だが、Direct3D 8などのようにネイティブ64ビット版が用意されていないものも存在する[23]。 DirectX 12およびDirectX 11.3はWindows 10 (Windows 10 for Desktop, Windows 10 for Xbox One, Windows 10 for Phone) 専用のバージョンである。PC用Windows 10のほか、Xbox One用Windows 10にも対応する[24]。DirectX 12はWindows Phone (Windows 10 Mobile/Windows 10 IoT) にも対応することが報じられている[25]が、DirectX 12/WDDM 2.0に対応するデバイスドライバーおよび機能レベル11_0以上に対応するハードウェアが必須となる。 DirectX 11.2はWindows 8.1以降/Xbox One専用のバージョンである[26]。 Windows 7(一部DirectX 11.1に対応)/Windows VistaにおいてはDirectX 11.0、Windows XP・2000/Me/98/98SEはDirectX 9(9.0c)、Windows 95はDirectX 8(8.0a)が最新バージョンとなる。ただしPC-9800シリーズの場合はDirectX 7(7.0a)が最新バージョンであり、それ以上のバージョンは制限を解除しないとインストールできないようになっている[27]。またWindows NT 4.0ではSP3以降に付随するDirectX 3相当機能が最新バージョンとなる。 一部のバージョンに関しては、Windows UpdateやWindowsストアを通じて、OSが対応する最新のDirectXをサービスパックなどの機能更新プログラムとともに入手することが可能である。例えばWindows XPの場合、Windows Update経由でSP2と同時にDirectX 9.0cを入手できる。Windows Vistaの場合、SP1と同時にDirectX 10.1を、またSP2+Platform Updateと同時にDirectX 11を入手できる[3]。なお、DirectX 10以降は、Windows Display Driver Modelの導入を始めとして、Windowsのグラフィックスアーキテクチャに大規模な修正が加えられたことから、Windows XPなどの旧Windows製品では利用できない。新しいOSでは、対応する最新バージョンよりも古いバージョンのDirectXに関しても基本的にすべて利用可能である。 バージョン概要日付
リリース履歴
WinG、Display Control InterfaceWindows 3.1時代。
DirectX 1.0ゲーム作成用のAPI集Game SDKとして発表された。1995年10月
DirectX 2.0Direct3D (Immediate Mode, Retained Mode) の登場。1996年6月
DirectX 3.0[28]DirectSound3D登場、DirectInputの統合。Windows NT 4.0ではSP3以降に同梱。1996年9月25日
ActiveMovie1DirectShowの前身。ActiveXの1コンポーネントであり、DirectXには含まれない。1996年11月5日
DirectX 5.0Direct3DにDrawPrimitive(OpenGLのようなプリミティブ単位の描画機能)が登場。Windows 98にはDirectX 5.2が搭載された。1997年8月4日
DirectX MediaDirectShowおよびDirectAnimationのみ頒布。「DirectX」は総称だが、特に区別する場合は「DirectX Foundation」「DirectX Media」と使い分ける事がある。1997年12月1日
DirectX 6.03D描画向けの「Direct3D」の強化、AMD提唱の3D向け命令セット「AMD 3DNow!」への対応や、ジオメトリパイプラインの見直し、テクスチャデータ圧縮機能のサポートなどにより高速化が図られたほか、シングルパス・マルチテクスチャやバンプマッピングのサポートなど表現力の向上。