エジプト空軍のMiG-17戦闘機
(1981年撮影)
用途:戦闘機
分類:戦闘機
設計者:MiG
製造者:
運用者: ソビエト連邦(空軍、防空軍、海軍航空隊
MiG-17(ミグ17;ロシア語:МиГ-17ミーク・スィムナーッツァチ)は、ソビエト連邦のミグ設計局で開発されたジェット戦闘機。開発国のソ連の他、旧東側諸国や第三世界諸国に輸出され、世界の多くの国々で使用されたが、現在では一部の国で練習機として使用されるのみにとどまる。
DoDが割り当てたコードネームはType 38(Type 20とする説もある)。北大西洋条約機構(NATO)の使用するNATOコードネームはフレスコ (Fresco)。 MiG-17は、朝鮮戦争で実戦には投入されたものの飛行機として未成熟だったMiG-15を改良した完成型である。当初MiG-15bis-45°として開発されたことからわかるように、MiG-15において35度であった主翼(内翼)の後退角を45度に改め(前縁途中で主翼(外翼)の後退角が42度に変わっている)、主翼上の境界層板の数も片側2枚から3枚へと変更した。 基本型のMiG-17及びMiG-17Fの武装は機関砲のみで、MiG-15bisと同じく37 mm機関砲N-37 1門と23mm機関砲NR-23 2門であった。その後、爆弾やロケット弾を搭載できるよう改修された機体もあった。朝鮮戦争には間に合わなかったものの、東側諸国をはじめ多くの国に配備され、1990年代まで数多くの実戦に参加した。特にベトナム戦争での活動は有名で、何度かアメリカ軍の航空機を撃墜した。 ソビエト連邦では1958年にMiG-17の製造を終了した。退役したMiG-17は標的機とされた。またポーランドや中華人民共和国(殲撃五型、またはJ-5、F-5とも)でも製造された。2019年現在も朝鮮民主主義人民共和国[1]など一部の発展途上国では現役であると考えられている。ジェット機としては比較的安価であるため、アメリカやヨーロッパでは個人所有の機も存在する。 なお、MiG-17はMiG-15の改良型であり、共通の特徴的な機種形状をしているためか専門家でもしばしば両者を混同する。しかし、機首以外の形状は著しく異なっており、特に主翼の平面形からの区別は容易である。
概要
バリエーション
MiG-15SI
原型機。開発コード I-330。後にMiG-17と改称。
MiG-17 フレスコA
初期生産型。細長い形状のエアブレーキが特徴。アフターバーナー無しのVK-1エンジンを搭載するが、推力不足によりMiG-15bisより若干性能が低下したとも言われる。なお、MiG-17AやMiG-17ASは、基本的にはMiG-17と同型である。 ⇒БВВС МиГ-17 #62 ⇒ВВС СССР МиГ-17 #25, 2005
MiG-17A
耐用年数が改善された、アフターバーナー無しのVK-1Aエンジンを搭載。
MiG-17AS
MiG-17Aの派生型。R-3S赤外線誘導空対空ミサイルと無誘導ロケットを搭載するマルチロール型。1964年にキューバへ輸出され、空対空ミサイルパイロンの追加改修が施された。
MiG-17P フレスコB
機首上部の突起に射撃用測距レーダーを、エア・インテーク内の半球状の小型レドームにイズムルード 捜索・追尾レーダー(探知距離12 km、自動追尾能力を持ち、自動追尾距離2 km)を、搭載した全天候戦闘機型。MiG-17は、射撃用測距レーダーにより、ようやくF-86相当の照準能力を、イズムルード・レーダーにより、制限全天候能力を、得た。射撃用レーダーと照準器は、朝鮮戦争で鹵獲したF-86のそれをコピーした物であった。レーダーの搭載に伴い、37 mm機関砲は23 mm機関砲に換装されている。37 mm機関砲のままの機体も存在した。
MiG-17F フレスコC
アフターバーナー搭載のVK-1Fエンジンの完成により完成した本格的な生産型。MiG-17で低下したとも言われた諸性能も、VK-1Fによって改善している。エンジン出力向上により翼下パイロンに500 kgまでの兵装の搭載が可能となった。しかしながら、燃料消費の大きなアフターバーナーを使用することは小型の本機にとってしばしば命取りとなり、実戦においても燃料切れによる墜落が幾度となく発生している。なお、中華人民共和国でのライセンス生産機は殲撃五型(殲-5/J-5/F-5)である ⇒AlbaniaAF F-5 #4-25。ベトナム戦争ではプロペラ機のA-1に2回撃墜されている。
MiG-17PF フレスコD
MiG-17Fに射撃用測距レーダーとイズムルード・レーダーを搭載した全天候戦闘機型。レーダーの搭載に伴い、37 mm機関砲は23 mm機関砲に換装されている。中華人民共和国でのライセンス生産機は殲撃五甲型(殲-5A/J-5A/F-5A)などと呼称される。なお、ソ連では生産されなかった複座練習機型として本型を元に開発された殲教五型 (JJ-5/FT-5) が大量生産されている ⇒FAR MiG-17PF #0904, 1999 ⇒AlbaniaAF FT-5 #8-09。
MiG-17PM/MiG-17PFU フレスコE
MiG-17PFを改修したRS-1U
MiG-17R
MiG-17Fをベースに限定生産された偵察機型。
S-104
MiG-17のチェコスロバキア生産型。
Lim-5
MiG-17Fのポーランド生産型がLim-5、MiG-17PFに準じたレーダー搭載型がLim-5Pであるが、Lim-5Pの方がMiG-17PFよりエア・インテークの開口部が大きく、内部のレドームも大型である。 ⇒PolandAF Lim-5P #521
Lim-6
Lim-5の大幅な改設計型で数種開発されたが、実用性の問題から結局はどれもLim-5同様の機体に改修された。なお、Lim-5に準じた型がLim-6bis、Lim-5Pに準じた型がLim-6M、Lim-6bisに準じた偵察型がLim-6R、またLim-6Mの偵察型がLim-6MRとされた。ポーランドでは1990年代前半まで使用された。
MiG-17SN
SV-25-MiG-17兵器システムの実験のために、MiG-17をベースにエア・インテークを胴体両側面に移設し機体の前半部を新造した試作実験機。機首には上下に俯仰する3挺の23 mm機関砲が搭載された。結果、そのような兵器システムは役に立たないと判明し、研究は放棄された。
MiG-17AS
MiG-17F
J-5