Matter_(規格)
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Matter(マター)は、Connectivity Standards Alliance(CSA)が策定しているスマートホームの標準規格である。ホームオートメーションにおけるIoT(モノのインターネット)など、さまざまなデバイスソフトウェア互換性を確保し相互運用性の向上させることを目的とし、ロイヤリティーフリーとして開発されている。

MatterMatterロゴ
開発者Connectivity Standards Alliance
利用開始2022年10月4日 (2022-10-04) (Matter 1.0)
分野スマートホーム
ホームオートメーション
IoT
接続種類Ethernet, Wi-Fi, Thread, Bluetooth Low Energy
対応機器スマートフォン
パーソナルコンピュータ
ウェブサイトhttps://buildwithmatter.com/

概要

Matterは、さまざまなベンダー間の断片化を減らし、さまざまなメーカーのスマートホームデバイスとIoTプラットフォーム間の相互運用性を実現することを目的としている[1]

そのため、複数のエコシステムでデバイスを同時に簡単に設定および制御できる相互運用性、消費者が簡単にスマートホームを利用可能にするシンプルさ、一貫性があり応答性が高くなおかつ安全な接続を行う信頼性を重視して開発されている[1]

したがって、スマートホームメーカー側が製品をMatterに対応させれば、各社の音声アシスタント(AmazonのAlexa、AppleのSiri、GoogleのGoogleアシスタントなど)に個別に対応させる必要がなくなる。また、消費者は製品購入の際にどのアシスタントをサポートしているか意識せずに済むようになる[2]

CSAによれば、Matterのロゴは接続性を表しており、中央に向かう3つの矢印は、収束と接続性を保証することを伝え、幾何学的な構造でセキュリティと実用性を表現している[2]

この規格には、AmazonAppleGoogle[3][4]ComcastIKEAHuaweiSchneiderなどのグローバル企業が200社以上参加しており、将来の業界のスタンダードとなることが予想されている[5][6]

この規格は、インターネットプロトコル(IP)に基づいて設計されている。これは、スマートホームデバイス、モバイルアプリ、およびクラウドサービスが通信できるようにし、デバイス認証用のIPベースのネットワークテクノロジの特定のセットを定義するように設計されている[7]

MatterコードリポジトリはApacheライセンスの下でオープンソースだが、Matterの仕様はCSAによってライセンスされている[8]

スマートホームの接続性に関して、ZigBeeと同じIEEE802.15.4を利用する通信規格であり、Google傘下のNest Labsが主導するThreadがあるが、ThreadはMatterと連携して動作するとのことが発表された。具体的には、Nest WiFiやNest Hub Max、第2世代のNest Hubなど、Theadをサポートするデバイスは、Matterデバイスの接続ポイントになると説明している[9]

Matterと互換性のある製品および既存の製品のソフトウェアアップデートは、2021年にリリースされる予定だったが、2022年度へと延期され[10]、最終的に2022年10月4日に認証、仕様、テストツール、SDKをリリースした[11][12]
Matter 1.0

この規格では、Wi-FiイーサネットThreadのネットワーク層で機器同士が直接通信するように動作[13][14]し、コミッショニングにはBluetooth Low Energyを利用する予定である[11]。なお、利用するネットワーク層を区別する際に、「Matter over Wi-Fi」や「Matter over Thread」と表記される事もある。

最初の展開では、Matterコントローラーとブリッジも含まれる。これは、Google Nest Hub MaxやAmazon Echoスマートスピーカーなどのデバイスで、デバイス同士が互いに通信するためのハブとして、また音声やタッチスクリーンインターフェースを使用してデバイスを制御するためのインターフェースとして機能することができるものである。なおGoogle HomeアプリやApple HomeアプリなどのスマートフォンアプリはMatterコントローラーとなる。

一方で、初期バージョンであるこのMatter 1.0はスマート電球・器具、スマートプラグ・スイッチ、スマートサーモスタットなどの空調コントロール、スマートシェード、スマートセンサー、コネクテッドロック、テレビなどのメディアデバイスに限定されており、将来的にセキュリティカメラやロボット掃除機などのカテゴリーを追加していくことが発表されている。[13]
歴史
Connected Home over IP

2019年12月18日、Amazon、Apple、Google、Samsung SmartThings、およびZigbee Allianceは、スマートホームデバイスの互換性向上の取り組みで連携し、スマートホーム製品間の互換性を高めるための新たな接続規格を開発するワーキンググループ「Project Connected Home over IP(CHIP)」の立ち上げを発表した[15]

このプロジェクトの目標は、スマートホーム製品のブランドとメーカーの開発を簡素化すると同時に、消費者向けの製品の互換性を高めて利便性の向上を図るものであった[16][17]

プロジェクトは、インターネットプロトコルに基づいて設計されており、スマートホームデバイス、モバイルアプリおよびクラウドサービス間の通信を可能とし、デバイス認証用の特定IPベースのネットワークテクノロジーとセットで定義できるように設計されていた[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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