Maple
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この項目では、数学計算ソフトウェアについて説明しています。その他のMapleについては「メイプル」をご覧ください。

Maple開発元Waterloo Maple(英語版) (Maplesoft)
初版1982年

最新版Maple 2021.1 / 2021年3月
(日本語版:2021年5月
プログラミング
言語CJava、Maple
対応OSクロスプラットフォーム
対応言語英語日本語ポルトガル語、部分的なサポートとして中国語フランス語ギリシャ語など[1]
種別数式処理システム数値解析可視化統計処理、計算可視化アプリケーション生成
ライセンスプロプライエタリ
公式サイト開発元サイト
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Maple(メイプル)は、カナダの Waterloo Maple Inc.(英語版)(以下 Maplesoft)によって開発されている数式処理ソフトウェアである。Maple は、記号計算、数値解析、データ処理、統計処理、可視化などを行うことができる。数学四則演算微積分常微分方程式偏微分方程式数論群論グラフ理論統計など)や物理に関する幅広い分野をカバーしている。日本では、Maplesoft Japan や代理店により販売される。「Maple」という名前は、カナダの国旗を象徴している。
概要

Maple は、1980年代前半にカナダウォータールー大学で開発された、数式処理数値計算グラフ作成などを行うソフトウェアのひとつである。Maple は、マルチパラダイムのプログラミング言語である。記号計算、数値解析データ処理統計処理、可視化など、幅広い計算ができる。Mapleを使うと、鉛筆で行う数学の計算や作図をコンピュータで行うことができる。

Maple は、Waterloo Maple Inc.(以下 Maplesoft)によって商業的に開発および販売されている。

日本では、Maplesoft Japan 株式会社およびサイバネットシステム株式会社が販売および技術サポートを行っている。Maplesoft は、2009年9月にサイバネットシステム株式会社に買収された。

Maple は、小学校、中学校、高校などの初等教育の現場における数学、理科の授業から、大学の研究機関や企業の R&D 部門などに至るまで、幅広いユーザ層に利用されている。

Maple のライセンスは、固定マシンにインストールするスタンドアロン版と複数人同時利用可能なネットワーク版が用意されている。教育機関向け、一般企業向け、学生、趣味・個人利用の形態で、ライセンスが用意されている。

Maple は、教科書で見るような数学表記で数式の入力ができるため、可読性の高いドキュメントを作成可能である。厳密解を求めることを得意としているが、記号計算、任意の精度での数値計算、可視化も可能である。また、埋め込みコンポーネントと呼ばれる GUI 部品を用いて、Maple 上で動作するユーザ独自の計算アプリケーションの作成も可能である。

Maple は Pascalに似た動的型付け言語を組み込んでおり、静的スコープの変数を受け入れる。他の言語(CC#FortranJavaMATLABVisual Basic)や Microsoft Excelとの連携も可能である。また、数式を LaTeX に変換する機能もある。
機能

Maple には次のような機能がある。

複素数区間演算、記号計算および任意精度の数値計算

初等関数および特殊関数ライブラリ

常微分方程式 (ODE)、偏微分方程式 (PDE)、微分代数方程式 (DAE)、遅延微分方程式 (DDE)、ディオファントス方程式、漸化式のソルバー

有理数有限体代数体、代数関数体に対する多変量多項式の計算、最大公約数因数分解

極限級数漸近展開

グレブナー基底

微分代数

疎行列を含む行列とデータの操作

数学関数グラフとアニメーション生成

不定および定積分、定および不定合計、自動微分、連続および離散積分変換を含む、離散および連続計算のための数値および記号ツール

制約付きおよび制約なしのローカルおよびグローバル最適化

モデルフィッティング、仮説検定、確率分布を含む統計

データ操作、視覚化、分析のためのツール

確率および組み合わせ問題のツール

時系列および単位ベースのデータのサポート

財務および経済データのオンライン収集への接続

債券、年金、デリバティブ、オプションなどの財務計算ツール

ランダムプロセスの計算とシミュレーション

正規表現を含むテキストマイニングのためのツール

信号処理および線形および非線形制御システム用のツール

数論を含む離散数学ツール

有向グラフと無向グラフを視覚化および分析するためのツール

順列と有限に提示されたグループを含むグループ理論

シンボリックテンソル関数

データ、画像、サウンド、CAD、およびドキュメント形式のフィルターのインポートとエクスポート

数式を含む技術文書作成

手続き型、関数型、オブジェクト指向をサポートするプログラミング言語

ユーザーインターフェースを計算とアプリケーションに追加するツール

SQLJava.NETC++Fortranhttp への接続

CC#FortranJavaJavaScriptJuliaMATLABPerlPythonR、および Visual Basic のコード生成

並列プログラミングのためのツール

ユーザインタフェース

ワークシート

Maple は、ワークシートと呼ばれるワークスペースに数式や文書を記述する。このワークシートには、「ワークシートモード」と「ドキュメントモード」と呼ばれる2種類のモードがある。ワークシートモードは、主に計算を行う場合やプログラミングの際に役立つ。ワークシートには、グループとプロンプトが挿入され、計算実行のラインを明確にする。一方でドキュメントモードは、計算実行可能な数式を含む文書作成に役立つ。ワークシートモードとは異なり、ドキュメントモードは Word のように、まっさらなドキュメントを提供する。いずれのモードも文字のフォント、サイズ、色の変更の方法は、Word に近い。

数式の入力形式

また、Maple は2種類の数式入力形式を有し、それぞれ「1D Math 入力」、「2D Math 入力」と呼ばれる。1D Math 入力は、計算やプログラミングの際に、よく使われる。タイプした文字が、そのまま表示される。

例: diff(sin(x))

一方で、2D Math 入力は、教科書で見るような数式の入力を可能にする。可読性が高まるため、教材の作成や技術文書の作成に向いている。例;

積分

次の式を計算する。 ∫ cos ⁡ ( x a ) d x {\displaystyle \int \cos \left({\frac {x}{a}}\right)dx} . int(cos(x/a), x);

出力: a sin ⁡ ( x a ) {\displaystyle a\sin \left({\frac {x}{a}}\right)}
行列式

次の行列式を計算する。 M := Matrix([[1,2,3], [a,b,c], [x,y,z]]); [ 1 2 3 a b c x y z ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1&2&3\\a&b&c\\x&y&z\end{bmatrix}}} LinearAlgebra:-Determinant(M); b z − c y + 3 a y − 2 a z + 2 x c − 3 x b {\displaystyle bz-cy+3ay-2az+2xc-3xb}
級数展開series(tanh(x), x = 0, 15) x − 1 3 x 3 + 2 15 x 5 − 17 315 x 7 {\displaystyle x-{\frac {1}{3}}\,x^{3}+{\frac {2}{15}}\,x^{5}-{\frac {17}{315}}\,x^{7}} + 62 2835 x 9 − 1382 155925 x 11 + 21844 6081075 x 13 + O ( x 15 ) {\displaystyle {}+{\frac {62}{2835}}\,x^{9}-{\frac {1382}{155925}}\,x^{11}+{\frac {21844}{6081075}}\,x^{13}+{\mathcal {O}}\left(x^{15}\right)}


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