MPEG-4
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2003年H.264がMPEG-4 Part 10 Advanced Video Codingとして規格化されるなど[1]、現在もなお追加・拡張が継続されている規格である。
規格の構成

MPEG-4(ISO/IEC 14496)自体は、動画・音声全般を扱う多様なマルチメディア符号化フォーマットを規定している。これらは以下に示す複数の「部(Part)」に分れて標準化されている。MPEG-4の各部は、ISO/IEC 14496を翻訳したJIS X 4332の各部と対応する。なお、第31部以降は現在開発中である。

動画には第2部(1999年制定)と第10部(2003年制定)があることに注意する。一般にMPEG-4動画(またはMPEG-4ビジュアル)といえば第2部を指すことが多く、第10部は第2部と区別するために、MPEG-4 AVC と呼ばれることがある。MPEG-4は動画の符号化規格と呼ばれることもあるが、実際に規定されているのは復号のみであり、符号化は規定していない。

部ISO/IEC規格番号名称概要
1ISO/IEC 14496-1
システム各メディアの同期・多重化などを規定。
2ISO/IEC 14496-2動画動画像の圧縮符号化技術。多数のプロファイルが規定されている。
3ISO/IEC 14496-3音響AAC や音響ロスレス圧縮を含む各種音声符号化技術を規定。
4ISO/IEC 14496-4適合性試験MPEG-4の他の部の適合性試験の手続きを規定。
5ISO/IEC 14496-5参照ソフトウェアMPEG-4の他の部を明確化するソフトウェアを規定。
6ISO/IEC 14496-6Delivery Multimedia Integration Framework (DMIF)
7ISO/IEC TR 14496-7最適化ソフトウェア処理の高速化やエラー耐性などの応用に関する検証に用いられる。
8ISO/IEC 14496-8IPネットワーク上の伝送MPEG-4コンテンツのIPネットワーク上の伝送
9ISO/IEC TR 14496-9参照ハードウェアMPEG-4の他の部のハードウェアをデザインする方法を提供。
10ISO/IEC 14496-10先進動画符号化 (AVC)ITU-T H.264 と同一な動画圧縮符号化標準。
11ISO/IEC 14496-11シーン記述とアプリケーションエンジン
12ISO/IEC 14496-12ISOベースメディアファイルフォーマットMP4フォーマット、JPEG 2000のJP2フォーマットで用いられている、QuickTimeベースのファイルフォーマット
13ISO/IEC 14496-13知的財産権の保護技術に関する規定
14ISO/IEC 14496-14MP4ファイルフォーマット第12部に基くMP4のファイルフォーマット
15ISO/IEC 14496-15AVCファイルフォーマットH.264/MPEG-4 AVCに関するMP4ファイルフォーマットの拡張
16ISO/IEC 14496-16アニメーションフレームワーク拡張 (AFX)主に3次元グラフィクスに関する規定
17ISO/IEC 14496-17Timed Text subtitle format.
18ISO/IEC 14496-18フォント圧縮とストリーミングOpenTypeフォントの規定
19ISO/IEC 14496-19合成テクスチャストリーム
20ISO/IEC 14496-20軽量応用シーン表現 (LASeR).
21ISO/IEC 14496-21MPEG-J グラフィカルフレームワーク拡張 (GFX)
22ISO/IEC 14496-22公開フォントフォーマット仕様 (OFFS)OpenTypeに基く。
23ISO/IEC 14496-23シンボル音楽表現 (SMR)
24ISO/IEC TR 14496-24Audio and systems interaction
25ISO/IEC 14496-253D Graphics Compression Model
26ISO/IEC 14496-26Audio Conformance
27ISO/IEC 14496-273D Graphics conformance
28ISO/IEC 14496-28Composite font representation
29ISO/IEC 14496-29Web video coding
30ISO/IEC 14496-30Timed text and other visual overlays in ISO base media file format

MPEG-4 システム(第1部)

マルチメディアデータをファイルや記録メディアに保存したり、ネットワーク上で伝送するには、動画と音声毎に別々に符号化した符号化データの統合(多重化)と同期のための仕組みが必要となる。この多重化方式を規定するものがシステムである。なお、システムによって多重化される以前の動画像や音声のバイナリデータをエレメンタリストリーム(ES: Elementary Stream)と呼ぶ。

動画像と音声のエレメンタリストリームを多重化するという目的においては、MPEG-1MPEG-2のシステムに近いといえるが、MPEG-4についてはオブジェクト符号化という概念があるという点で異なる。MPEG-4においては、オーディオ、ビジュアル(ビデオ)のデータは各1つのオブジェクトとして扱われ、これらのオブジェクトを多重化・同期するのがシステムの役割である。なお、MPEG-4の動画像(ビジュアルおよびAVC)や音声のエレメンタリストリームの多重化には、MPEG-4システムの他にMPEG-2トランスポートストリーム(MPEG-2 TS)を用いることも可能であり、地上デジタルテレビジョン放送1セグメント放送ではAVCとAACの伝送にMPEG-2 TSが用いられる。

さらに、複数のオブジェクトを組み合わせて扱うことを可能にするためのシーン記述のための仕様として、VRML97をベースとしたBIFS(Binary Format for Scenes)が規定されている。例えば、人物や背景の動画および音声をそれぞれ別個のオブジェクトとして符号化し、それらを重ね合わせて表示したり、ユーザが任意にオブジェクトを動かしたりできるようなアプリケーションを作ることが可能である。しかし、このようなオブジェクト符号化は、一般向けに実用化されていないのが現状である。

オブジェクト符号化の概念の導入やBIFSなどにより、MPEG-4システムの内容が肥大化してしまったため、ファイルフォーマット(MP4)に関しては後述のPart 14として独立して規定されている。ちなみに、ネットワーク上での伝送に関しては、Part 8および ⇒RFC 3640 で規定されている。

なお、バイナリフォーマットであるBIFSを容易に扱えるようにするため、XML準拠の記述形式として、Extensible MPEG-4 Textual Format in XML (XMT)がPart 11で規定されている。
MPEG-4 動画(第2部)

MPEG-1ではビデオCDMPEG-2では放送やHDTVでの使用を想定しているのに対して、MPEG-4では低ビットレートでの使用にまで用途を拡大することを目標として規格化が開始された。符号化技術としては先に規格化が進んでいたH.263を基に幾つかのツールを追加した構成になっている。H.263との相違点は、フレーム間予測におけるBフレームの採用、DCT係数のAC/DC予測の導入、などが挙げられる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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