MONSTER_(漫画)
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MONSTER


ジャンル青年漫画サスペンス
漫画
作者浦沢直樹
出版社小学館

その他の出版社
Viz Media
Kana
Egmont Manga & Anime
Planet Manga
Planeta DeAgostini
Conrad Editora
鶴山文化社
東立出版社
Grupo Editorial Vid
Nation Edutainment
M&C Comics

掲載誌ビッグコミックオリジナル
レーベルビッグコミックス
発表期間1994年12月 - 2001年12月
巻数単行本:全18巻
完全版:全9巻
アニメ
原作浦沢直樹
監督小島正幸
シリーズ構成浦畑達彦
キャラクターデザイン藤田しげる
音楽`島邦明
アニメーション制作マッドハウス
製作日本テレビ小学館VAP
放送局日本テレビほか
放送期間2004年4月7日 - 2005年9月28日
話数全74話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『MONSTER』(モンスター)は、ビッグコミックオリジナルに1994年から2001年まで掲載された浦沢直樹による日本漫画
概要

ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品。冤罪猟奇殺人医療倫理、病院内での権力闘争、家族の在り方(親子愛、兄弟愛)、人間愛、児童虐待アダルトチルドレントラウマ東西冷戦構造、ベルリンの壁崩壊の以前以後のドイツ社会などをテーマとしている。

2019年3月時点で累計発行部数は2000万部を突破している[1]。2008年には、完全版が全9巻で発行されている。

1999年、第3回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。2000年、第46回小学館漫画賞青年一般部門を受賞。2004年春から同作品のアニメ日本テレビほかで放送された。

2022年2月28日、浦沢の作品の電子書籍解禁第2弾の作品として、本作の電子版の配信を開始[2]
あらすじ

1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科・Dr.テンマは、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に勤め、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。医師として漠然としたジレンマを感じつつも、深く考えることなく手術を重ね、研究に打ち込んでいた。

そんなある日、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてくる。Dr.テンマは、院長の命令を無視してオペを執刀し、ヨハンの命を救う。しかしそれが院長の不興を買うなどの結果となり、院内の政治力学によって、テンマの順風な状況は一変し出世コースから転落する。そんな中、院長、外科部長らの殺害事件が発生。同時に、入院中だったヨハンと彼の双子の妹が失踪する。

1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れる。テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白するヨハン。殺人鬼を蘇らせてしまったと自らの責任を感じたテンマは、怪物ヨハンを射殺するために、ヨハンの双子の妹アンナに再会することを企てる。殺人犯の濡れ衣を着せられ、キレ者のルンゲ警部に目をつけられたテンマは、ドイツ国内を逃亡しながらヨハンを追跡する。
登場人物
主要人物
ケンゾー・テンマ(天馬 賢三) / Dr.テンマ
声 -
木内秀信 / 幼少期 - 小野未喜本作の主人公。ドイツデュッセルドルフのアイスラー記念病院で働く日本人脳外科医。1958年1月2日生まれ、神奈川県横浜市出身。実家は市有数の総合病院を経営し、父親は院長(ドイツでの周囲の人物に対しては「小さな病院の開業医」と話していた)、母親は元医学雑誌の編集者。異母兄が二人いる(長兄は銀行員、次兄は医者であり無医村で医療活動中)。デュッセルドルフ大学医学部卒。日本で通っていた学校は、小・中学校は公立、高校は名門私立校に進学し、医学部に入学する。周囲の誰もが認めている手術の腕を持っており「天才」と称される。頭脳明晰で穏やかな性格の上に社交性も富んでおり、周囲の誰からも慕われる存在。集中力が高く、銃の技術もヒューゴー・ベルンハルトに満点と評された。仕事に対しても真面目で、人を助けることに人一倍の情熱と責任感を持っている。そんな人柄から、患者の誰からも慕われる。1986年、ハイネマン院長からの業務命令を医学的倫理の観点から無視し、先に運び込まれていた「強盗事件」の被害者(ヨハン)の手術を執刀。その直後、出世の道を閉じた院長や出世のライバル等が次々と死亡。9年後、ヨハンが殺人鬼であり、院長達の殺害をテンマのためと思って実行したと知り、彼を怪物化させた事に深い負い目を感じ苦悩する。そしてヨハンの恐ろしさと警察にもシンパが混じっていることを察し、ヨハンが行った殺人の容疑者として指名手配されながらも彼を抹殺するため逃走、追跡の旅に出る。その旅の中でも医師の本懐を忘れることはできず、怪我人を目の前にすれば逃走に不利となる状態でも応急処置はかならず施していた。またディータが虐待されていることを察し、そこから出して信頼できるところに預けようとした。逃走の傍ら射撃訓練を受けスナイパーライフルを手配するなど、ヨハン殺害に向け着々と準備を進めるが、殺すということと医師の志の生かすということの間で悩み続ける。またまるで弄ぶようなヨハンの行動に懸念を持ちつつも、追跡を諦めることなく、次第にヨハンは自分と出会う前から怪物であったことを知る。結果的にはヨハン殺害はロベルトに妨害されて直前で失敗。警察に逮捕され逃走したりしながらも、ルーエンハイムにたどり着く。ルーエンハイムの事件後、ルンゲ警部の証言などによって無事無罪が証明され、その後は、再び病院内で出世するものの、自ら退職し国境なき医師団に参加した。
ヨハン・リーベルト
声 - 佐々木望 / 幼少期 - 上村祐翔アンナの双子の兄。テンマが追い続ける人並外れた頭脳とカリスマ性を持つ“怪物”。金髪碧眼で完璧な美貌を持つ青年。1975年5月生まれ。語学堪能で、少なくともチェコ語をほぼ完璧に話せる。幼い頃から驚異的なカリスマ性を持ち、人の心に入り込み、相手を思いのままに操る術を備えていた。人の命を何とも思っていない冷酷無比な殺人鬼。殺人の手段はまちまちで、特にターゲットへ何らかの深い思い入れがある場合は、じわじわと真綿で首を絞めるように周到な計画で追い詰めていく。父親(声 - 花輪英司)はドイツ系チェコスロバキア人の士官候補、母親(声 - 高島雅羅 / 若い頃 - 桑島法子)はブルノ大学で遺伝子工学を学んだ才女。両親の出会いはフランツ・ボナパルタの実験による意図的なもの。実験から逃れた母親と妹(アンナ)と共に、プラハの「3匹のカエル」の家で暮らす。数年後、ボナパルタにより妹が“赤いバラの屋敷”に拉致されるが、実験の途中段階で彼女は逃がされ、母親は2人を置いて失踪する。妹の話を聞いてボナパルタの実験の記憶を共有、そのころから次第に、絵本『なまえのないかいぶつ』の怪物と自分を重ねる。アンナと共に、チェコを逃亡するも国境付近を彷徨い、瀕死の状態になっていた所をヴォルフ将軍に発見される。ヴォルフ将軍によって入所させられた施設「511キンダーハイム」を、教官や生徒達を扇りたてて殺し合わせることで崩壊させる。アンナと共に東ドイツ貿易局顧問、リーベルト夫妻の子として西ドイツに亡命。ーベルト夫妻を殺害した際にアンナによって頭部を撃たれ、重体となるが[3]、搬送された病院でテンマによって命を救われる。その後、命の恩人(テンマ)の恨み言を耳にし、テンマが口にした病院の人間を毒殺すると、アンナと共に忽然と病院から姿を消す。そして9年後、再びテンマの前に姿を現す。病院から失踪後も、それまでと同様行く先々で養父母となっていた夫婦や老婦人を殺害していった。それも彼にとっては、引っ越し前に部屋を綺麗にする程度のことに過ぎない。また、15歳にしてマネーロンダリングを行う「闇の銀行」の頭取として君臨し、突如姿を消すことで裏社会に大きな混沌を巻き起こしたと言われている。その後は母親の親友(マルゴット)を端緒に経済界の大物(シューバルト)の周囲の人間を殺害していき、彼に成り代わろうとするが、絵本『なまえのないかいぶつ』を読んだことで卒倒するほどのショックを受けて心変わりし、記憶の彼方にあった自らのルーツを追い始める。自分の中にあると思っていた「かいぶつ」は実は外側にあり、フランツ・ボナパルタであったと気づく。プラハの「3匹のカエル」の家で暮らしていた頃、母親にアンナと見分けがつかぬよう女装させられていた。青年に成長してからも再三に亘り「アンナ・リーベルト」を名乗って女装し、相手から情報を引き出したり殺人を行う際などに利用していた。その姿はニナと瓜二つで、スーク刑事に思わず一目惚れさせるほどの美しさだった(唯一スークの母親には、男と見抜かれていた)。ボナパルタが余生を過ごしていたルーエンハイムにて、大量殺戮事件を企て実行するも、頭部を撃たれる。テンマの執刀する脳外科手術により再度命を救われ、意識が戻らぬまま病院に入院していたが、テンマが見舞いに来た後に姿を消す。
ニナ・フォルトナー / アンナ・リーベルト
声 - 能登麻美子 / 幼少期 - 塚田真依ヨハンの双子の妹。1975年5月生まれ。養父母フォルトナー夫妻に引き取られ、20歳になるまで育てられる。平穏な家庭で過ごし平凡だが楽しい大学生活(ハイデルベルク大学法学部在籍)を送るも、幼少時の記憶はなく、フォルトナー夫妻の方針と愛情のため実子と疑わず生活していた。学生である一方でアルバイトにも明け暮れており、学校では遅刻の常習犯になってしまうほど授業に支障も出ているが、唐突な質問に完璧な回答で返すなど、学業は常に優秀。性格や思考は兄とは正反対で、人を尊重し自分に自信がやや無い。殺人に強い嫌悪感を持つが、怒りに駆られた時の眼は兄を彷彿させる。フォルトナー夫妻が殺害された際にテンマと出会い、殺人を繰り返す兄を食い止める為、大学を休学。追い続ける過程で次第に記憶を取り戻していく。図書館で命を救われて以来、テンマに好意を寄せている。幼少時はボナパルタの実験から逃げ出してきた母と、ヨハンと共に、プラハの「3匹のカエル」の家で暮らす。数年後ボナパルタが、双子の内1人を拉致しに来た際、母親の選択で“赤いバラの屋敷”へ連れて行かれる。その後、母親は失踪。“赤いバラの屋敷”から逃亡し、兄と共にチェコを逃亡するも国境付近を彷徨い、瀕死の状態になっていた所をヴォルフ将軍に発見される。ヴォルフに名前を付けられた2人は、西ドイツへ亡命した貿易商のリーベルト夫妻に引き取られる。兄が夫妻を殺害した光景を見た際、今まで親切にしてくれた人々の死はヨハンの仕業であると知り、恐怖と怒りに打ち震える。そしてヨハンの指示通り、その額に銃弾を発射、銃の指紋を拭いて窓から投げ捨てる。2人はアイスラー記念病院に収容されるも、茫然自失になった状態で病院を失踪し、それ以前の記憶を喪失していた。合気道の経験があり、道場では一番強かった様子。19歳の時点では検事志望だったが、一連の事件後には弁護士を志望する。
エヴァ・ハイネマン
声 - 小山茉美アイスラー記念病院院長の娘。テンマに愛憎両方の感情を持つ屈折した人物。テンマの元婚約者で、テンマが院長命令を無視してヨハンの手術を行った為に婚約を解消する。性格は高飛車で傲慢。一度失敗をすると立ち直る力を持っておらず、自暴自棄に走りやすく精神的にも脆い。そのため、日常的に昼間からウォッカなどの強い酒を飲むなど、アルコール依存症である。人一倍寂しがり屋だが、素直に人に甘えられない。テンマの無実を知っていたが、自分の人生を台無しにしたとして彼に激しい恨みを持つ。その一方で彼のことを忘れられずにいる。テンマに振られてからは、酒浸りの日々が続いている。その間3回結婚したが全て離婚している。ユンケルス殺害事件でたまたま真犯人・ヨハンの顔を見たことから、ロベルトに命をつけ狙われる。その際取引を行い、テンマを自らの手で殺害しようとするが、心変わりしてテンマを逃がそうとする(その時にはロベルトは既に逃走していた)。チャペックの依頼でヨハンの首実検を行なった後、用済みとして始末されかけるが、マルティンの命を賭けた行動により逃がされる。マルティンの死を契機に酒をやめ、これまでの行動を深く悔いて、ライヒワインの元に庇護されテンマの無実を証言。全てが落着した後、キッチン・コーディネーターとしてデュッセルドルフで新たな人生を歩む。
ハインリッヒ・ルンゲ
声 - 磯部勉BKA(ドイツ連邦捜査局)警部。局きっての敏腕で、今までに解決できなかった事件はないと語る。驚異的な記憶力を持ち、キーボードを打つ仕草をすることで頭の中のコンピュータへ入力し、いつでも完璧なデータを取り出す事ができる。そして詰め込まれた客観的事実から、犯人の気持ちになりきり犯行を予想していくという主観的な推理によって、犯人の動機や殺害方法を導き出す。一人で旧チェコスロバキア秘密警察のボスに会いに行くなど度胸も据わっており、ロベルトと互角に渡り合うなど銃及び格闘の腕も確かなもの。ただし冷徹怜悧なことと執拗な捜査姿勢、単独行動主義な性質から、周囲と齟齬が絶えず衝突も度々起こす。妻と娘がいるが家族関係は希薄で、娘の妊娠にさえ気づかなかった事を機に愛想を尽かされ逃げられる。さらにドイツ民主党候補ポルツマン議員のスキャンダルを深追いし過ぎて、その議員の秘書を自殺に追いやり、警察署内での地位も失う。アイスラー記念病院でヨハンが起こした殺人事件では、犯人をテンマとみなし、ヨハンをテンマの二重人格の一つであると結論付け執拗に追う。その頑迷さはテンマの手術で命を取り留めるなどしても変わらなかったが、事件の真相を次第に追いつめていく内に、ヨハン・リーベルトの存在とそれが怪物であることを確信していく。ヨハン誕生の鍵を握るフランツ・ボナバルタを追い、ルーエンハイムへ。その町で再会したテンマに謝罪し、ヨハンの手による殺戮を食い止めるため、殺戮の実質的な指揮者ロベルトと激しい死闘を繰り広げた。事件後、警察大学の教授になり、娘とは電子メールで会話をするようになった。欧州刑事警察機構行動科学課特別顧問に任命されている(課自体は未創設)。
テンマの協力者
ヴォルフガング・グリマー / ノイマイヤー
声 -
田中秀幸 / 幼少期 - 河原木志穂フリージャーナリスト1954年生まれ。東ドイツに存在していたと言われる謎の孤児院・511キンダーハイムで行われた非人道的な教育等を追及している人物。ドイツ統一前はジャーナリストという表向きで、世界各地でスパイ活動をしていた。自身も511キンダーハイム出身で、14歳以前の記憶が殆ど無い。名前はその孤児院で付けられたものであり、本名は最後まで不明のまま。普段は常に穏やかな笑顔で、一見人が良さそうで簡単に騙せそうだが、自分の感情を自然に表現することが出来ず、日常的な場面での表情は、状況に応じてどのような表情をすべきかを学んだ結果でしかない。また冤罪が蔓延する社会で過ごしたことなどから、一目で人の嘘などが見抜け、偶然会ったテンマが冤罪で追われていると確信し、逃げる手伝いをしたことから縁を持つ。スパイ時代に妻子を持つが、息子の死を機に家庭が破綻。息子の死を前にどう反応すべきか分からない彼に、妻は「あなたの心の中には何もない」と言って去っていった。窮地に陥ったり激しい怒りに駆られると、突如として痩身の外見からは想像もつかない超絶的な力と凶暴性を発揮し、敵対する人間を殴り殺す。正気に戻った時、その記憶は無い。自身は、孤児院で昔見たアニメになぞらえて、この別人格を“超人シュタイナー”と呼んでいる。ボナパルタによると人格改造実験の中で見られた症例の一つで、この症状が見られた子供の殆どは自殺しており、彼のように40歳過ぎまで生き延びたのは奇跡的な例であるという。チェコで511キンダーハイムについて独自に調査を進めていたが、それはヨハンの生い立ちを知り関わることでもあった。成果を横取りしようとする旧チェコスロバキア秘密警察と対峙しつつ調査を継続するものの、ヨハンの妨害によりその核心には後一歩というところで届かなかった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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