MIVEC
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MIVEC(マイベック、Mitsubishi Intelligent&Innovative Valve timing&lift Electronic Control system:ミツビシ・インテリジェント&イノヴェイティヴ・バルブタイミング&リフト・エレトクロニック・コントロール・システム)は、三菱自動車工業が開発した可変バルブタイミング・リフト機構の総称名である。 三菱・ギャランフォルティスの 4B11 DOHC16バルブ MIVECエンジン 三菱・アウトランダーの 6B31 V6 SOHC24バルブ MIVECエンジン 三菱・グランディスの 4G69 SOHC16バルブ MIVECエンジン目次

1 概要

2 主なMIVECの種類

2.1 DOHCカム切り替えタイプ

2.2 カム切り替え・気筒休止タイプ

2.3 カム位相タイプ

2.4 両側カム位相タイプ

2.5 SOHCカム切り替えタイプ

2.6 次世代MIVEC(連続可変バルブリフト・カム位相タイプ)


3 三菱可変バルブ機構の歴史

4 採用状況

5 関連項目

6 外部リンク

7 注

概要

レシプロエンジンは、ピストンの上下動にともなう吸入・排気の気体流速に合わせ、低回転時はバルブの開く間隔を短くし、高回転時はバルブの開く間隔を長くすると効率が良くなる。MIVECはバルブの開閉の長さと時期をエンジンの回転数に応じて変化させる技術である。「可変バルブ機構#概要」も参照

三菱自動車が開発した、可変バルブタイミング機構のMIVECは、ホンダVTECトヨタVVTなどの様に数種類のタイプが存在するが、記号などで分類しておらず、三菱では後述のMIVEC-MDを除きすべてMIVECと表記する、そのため混同されやすく注意が必要である。
主なMIVECの種類
DOHCカム切り替えタイプ

ホンダVTECと同じく、1本のカムシャフトに低回転用と高回転用の2つのカムを搭載し、ある一定の回転数でこの2つが切り替わり、吸排気バルブのタイミングとリフト量を変化させる。VTECが3つのカムプロフィール(低速:2 高速:1)を持つのに対してMIVECでは低速・高速1つずつの計2つのカムプロフィールとなる。ロッカーアームを介する油圧を用いたカム切替機構はVTECと同様だが、分割された1本のスライドピンにより低速と高速のロッカーアームを一括して結合するVTECに対し、MIVECではバルブを押すT字型レバーに低速と高速のロッカーアームが独立して取り付けられ、それぞれに結合を行う制御ピストンがあるなど切替機構の内容は異なる。

最初に出たMIVECはこのタイプであり、その後にランサーがランサーセディアとして発売されるまで、改良は加えられているものの基本的にこのタイプをベースにして他のMIVECが作られた。

MIVECに限らずVTECも同様だが、2つの異なるタイプのカムを使い分ける方式は、機構的にはそこまで複雑になるわけではないが、2つのカムが切り替わる際にトルクの「谷間」があるのが欠点。

なお、カム切り替え方式のMIVECはシリンダーヘッドが二重構造となっており、通常のシリンダーヘッドでは一体となっているポペットバルブ給排気ポートを含む燃焼室側と、カムシャフトを保持するカムホルダーを2つに分離することが出来るようになっている。通常のシリンダーヘッドでは、カムホルダーのカムキャップとカムシャフト間のジャーナルの隙間(クリアランス)が規定値を超えて磨耗した場合、シリンダーヘッド全体を交換しなければならないが、カム切り替え方式のMIVECでは同様の状況になった場合でもカムホルダーのみの交換で対処することができる。カム切り替え方式のMIVECはカムキャップ側のジャーナルに刻まれたオイル溝を通してカム切り替えの油圧が供給されており、磨耗の進行でジャーナルのクリアランスが広がると、規定の切り替え油圧が掛からなくなり、俗に「半ベック」と呼ばれるカムの切り替えが一部の気筒又は全気筒において正常に行えない不具合が発生する。この症状が発生した場合、エンジンオイル粘度を固いグレードに変更してみて、なお不具合が解消出来ない場合には、カムホルダーの摩耗、オイルコントロールバルブ(OCV)の不良、ロッカーアームの破損のいずれか、又は全ての不良と判断して交換を行う必要がある。
カム切り替え・気筒休止タイプ

MIVEC-MD(Modulated Displacement 可変排気量)は、カム切り替えに加え、気筒休止をさせる構造で、MIVECで唯一記号で区別されている。気筒休止エンジンにも分類される。上で述べているように初期のMIVECは低速と高速のロッカーアームがそれぞれ独立してT字型レバーへ結合する形となっているため、低速・高速の結合を両方とも解除することでロッカーアームをフリーとする事が出来る。これによりカムからバルブへの力の伝達はなされず気筒休止が行える。直列4気筒の4G92の場合は1番及び4番のシリンダーをアイドリング時に休止させ、直列2気筒として振る舞わせる事で燃費の低減を狙った。

当時の風潮に押されて低燃費を謳っており、ランサーエメロードなどに搭載されたものの、実際はそれほど燃費が伸びるわけでもなく、エンジンの振動の増大も大きかった事から、多くの車種では燃費を特に重視する顧客に対して受注生産という形で販売店に供給されたのみである為、販売台数もさほど多くは伸びず、結局短命に終わった。

通常のカム切り替え方式とのパーツレベルでの相違点は、カムホルダー内の油圧経路の構造と、エンジンコントロールユニット(ECU)のみであった為、MIVEC-MDが搭載された車両では、カムホルダーとECUを通常のカム切り替え方式のものと交換する事で、気筒休止機構をキャンセルするチューニングメニューが存在した[1]
カム位相タイプ

VVT-iのように、クランクシャフトに対してカムを位相変化させ低回転時と高回転時でバルブタイミングを変化させる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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