MFゴースト
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MFゴースト

テレビアニメのロゴ
ジャンル自動車漫画
漫画
作者しげの秀一
出版社講談社
掲載誌週刊ヤングマガジン
レーベルヤンマガKCスペシャル
発表号2017年40号 -
発表期間2017年9月4日 -
巻数既刊19巻(2024年2月6日現在)
アニメ
原作しげの秀一
監督中智仁
シリーズ構成山下憲一
脚本山下憲一、稲荷明比古
キャラクターデザイン恩田尚之
音楽土橋安騎夫
アニメーション制作FelixFilm
製作MFゴースト製作委員会
放送局TOKYO MX
テレビ愛知
読売テレビ
RKB毎日放送
アニマックス
放送期間1st Season:2023年10月2日 - 12月18日
2nd Season:2024年
話数1st Season:全12話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『MFゴースト』(エムエフゴースト / 英語表記: MF GHOST) は、「公道レース」をテーマにした、しげの秀一による日本漫画作品。
概要

しげのが過去に連載していた『頭文字D』の近未来の世界観という設定で、実在する公道でのレースを題材とした自動車漫画[1]。2022年8月時点で累計部数は370万部を突破している[2]

ガソリンエンジンなどの内燃機関自動車が製造中止となり、電気自動車燃料電池自動車が主流となった」という想定の202X年を舞台とし、『頭文字D』の「公道最速伝説」にちなんだ「新公道最速伝説」をキャッチコピーにしている。
作風

「主人公が馬力の低い車でライバル車たちと渡り合う」という『頭文字D』のコンセプトを引き継いでおり、『頭文字D』の主人公「藤原拓海」の愛車「トヨタ・AE86スプリンタートレノ)」のコンセプトを受け継ぐ「トヨタ・86」を主人公の愛車に設定している。

拓海をはじめとする『頭文字D』の登場人物たちは、年齢を重ねた姿で登場、あるいは名前や経歴が作中で言及される。作中では明確にはされていないが、作中の登場人物の年齢から、前作の最終回からおおよそ15?20年ほど経過した未来の出来事と推定される。

しげのは「頭文字Dでできなかったこと、やり残したことを全部やりたい」と語っている[3]。なお、しげのの連載作品は本作より作画がフルデジタル化されている[4]

現実には違法となる夜間の公道レースを描いていた『頭文字D』とは違い、一般人立ち入り禁止のクローズドコースとしたうえで日中に開催される合法レースとなっており、ドローンで撮影した参加車両の映像を全世界に有料配信している。また、『頭文字D』にはほとんど登場しないフェラーリランボルギーニポルシェなどといった日本国外メーカーのスーパーカーが多数登場する点も特徴。
あらすじ

202X年、化石燃料を動力源とする自動車は世界中で生産中止となり、それに代わって自動運転システムを搭載した電気自動車燃料電池自動車が普及していた。そんななか、今や絶滅危惧種ともいえる内燃機関を搭載したスポーツカーを用い、公道をクローズドコースとして行われるカーレース「MFG」が日本で開催され、世界の多くの人々を熱狂させていた。

そのMFGに参戦するため、英国の名門レーシングスクール「RDRS」を歴代トップの成績で卒業した19歳の天才ドライバー、カナタ・リヴィントンが来日してくる。2年前にイギリス人の母を亡くしたばかりのカナタには、行方不明になっている日本人の実父・片桐健を探すという目的があった。そのためにカナタは、父の姓である「片桐夏向」の名前で選手登録をして、自身の存在を父にアピールしようしていたのだ。

カナタは両親の旧友の西園寺夫妻に快く迎え入れられ、二人が懇意にしている自動車整備士・緒方を紹介される。さらに、日産・GT-R使いとして名を馳せるベテランドライバー・相葉瞬とも知己を得て、持ち前の素直さを気に入られ、後輩として目をかけられるようになる。

一方、西園寺家のひとり娘で、17歳の女子高生 西園寺恋は「外見だけでは人を好きにはならない」と豪語していたが、カナタのイケメンぶりに一目惚れして以降、カナタのことを気にかけて一緒に「父親の手がかり捜し」を手伝うようになる。しかし実は、彼女は公にはプロフィールを明かさず、MFGのレースクイーン『ナンバー7』としてアルバイトしていた。
開幕戦:小田原パイクスピーク

緒方から提供されたトヨタ・86で出走したカナタは、超高級スーパーカーが上位ランクに名を連ねるなか、スペックが圧倒的に不利な86を駆りながらも圧倒的なテクニックを発揮して、「神フィフティーン」と呼ばれる上位15位のポイントランカーに迫る快走を見せつけ、16位からの繰り上げではあるが予選を突破する。

英国のレーシングスクールでカナタを鍛えたのは、伝説的な腕前をもちながらも事故でプロを引退した「悲運のラリースト」藤原拓海であったことが判明する。彼を知るMFGのスタッフや、同世代の元走り屋たちも注目するなか、それまで「ヨーロッパ製の高級車が有利」とされてきたMFGに、「低馬力な86」を駆るカナタの登場により新たな旋風が巻き起こっていく。

スリップストリームとコンビプレイを駆使する八潮翔・北原望の「ヤジキタ兄妹」を制したカナタは、霧の立ち込めるデスエリアで大幅に順位を上げ、ジャクソン・テイラーの追撃を躱して9位で完走する。(第4巻・第44話まで)
第2戦:芦ノ湖GT

86の戦闘力不足を解消したいカナタと緒方は、相葉のGT-Rのチューニングを手掛けるチューナー・奥山広也を紹介される。彼によって「給排気系の見直し」「ブレーキを含めた足回りの改善」を実施した86は予想を超える進化を遂げ、カナタは予選10位で決勝へと進む。

雨天となった決勝では、カナタは濡れた路面を苦にすることなく、ライバル車がペースを落とす中で快進撃を繰り広げていく。二周目に入って雨が止んだものの、芦ノ湖特有の『白い悪魔』と呼ばれる濃霧が発生し、さらにその霧が火山灰による『スリッピートラップ』地帯と重複して、視界ゼロでのレース続行が決定される。

しかし、コースを完璧に記憶しているカナタは、濃霧を利用した『音声カウント作戦』により悪条件を味方につけて、トップグループより12秒も早く濃霧エリアを駆け抜ける。赤羽海人の追撃を受けて、200馬力という戦闘力のなさから表彰台こそ逃すものの、4位という快挙を成し遂げる。(第8巻・第92話まで)
第3戦:ザ・ペニンシュラ真鶴

ついにターボ化して300馬力となった86で出走したカナタは、予選でコースレコードを更新する圧倒的な走りを見せるが、最終的に予選3位で通過する。しかし、貧血で駅のホームから落下して列車に轢かれかけた恋を助ける際に、カナタは左肘を負傷してしまい、シフトレバーの操作に支障が生じることになる。

そのまま決勝を迎えるが、左肘の痛みのため2速が使えないカナタは徐々に順位を落としていく。しかし3周目に入ってしばらくした頃に突然肘の痛みが消え、そこから猛チャージをかけてごぼう抜きし、トップグループに食い込んでいく。若手ながら天才的なテクニックを持つミハイル・ベッケンバウアー、沢渡光輝らと熾烈な三つ巴のトップ争いの末に、カナタは2位に終わる。

表彰式で、恋はカナタに「自分がナンバー7」であることを伝える。その後しばらくして、「カナタの父親が末期がんにより病院で死亡した」との連絡が入り、それがレース中に「左肘の痛みがなくなった時刻」であったと判明する。(第12巻・第141話まで)
第4戦:シーサイドダブルレーン

突然、RDRSの同期でカナタに片思いしているエマ・グリーンが、MFGにスポット参戦するため来日してくる。予選ではカナタを含む6名が、昨シーズンまでのコースレコードを更新する異例の事態となり、カナタは3位で予選通過する。

決勝ではスタート時の混乱によって順位が大きく変動し、カナタを含む予選上位勢が次々に下位に転落してしまう。しかし、カナタとミハイルはそこから凄まじい追い上げを見せ、エマや諸星瀬名らの追撃を退け、彼らはほぼ同着とも言えるタイム差でゴール。ミハイルが優勝、カナタは2位となる。(第18巻・第208話まで)
第5戦:熱海ゴースト

最終戦となる熱海ゴーストの予選に向けて調整に余念のないカナタと緒方の前に、GR86を駆る桜野舞と名乗る少女が現れ、助手席に一度だけ乗せてほしいと懇願される。彼女の熱意に興味を持ったカナタは一度だけ同乗を許し、舞はその1回でカナタの走りとMFGのタイヤの質を覚え込む。

予選を暫定2位で終えたカナタは、父の手術を担当した医師・高橋涼介の訪問を受け、父がカナタを最後まで気にかけていたことを改めて伝えられる。カナタは涼介に、来シーズンもMFGで戦うべきか助言を求め、涼介は「MFGで戦うのは1年限定にすべきだ。それ以上は君のキャリアにとってマイナスになる」と答えた。
作品設定・用語
MFG(エムエフジー)

リョウ・タカハシが提唱した、クローズドコース化した公道を内燃機関を搭載した車で走るカーレースイベント。作中の現在では第4回大会が開催されている。レースの模様はAIとカメラを搭載したドローンを通して全世界に有料配信され、契約視聴者数も3000万人を突破するほどの人気イベントとなっている。作中では「MFG」としか呼称されておらず、名称の由来は明かされていない。

本作の時代では、富士山が火山活動を起こしたことで大地震や大規模停電などの災害が発生したことになっており、MFGはその復興支援イベントとしての側面をもっている。そのため、各コースにはこの災害の影響をあえて残したセクションが設定され、災害の記憶を風化させないための工夫が凝らされている。

予選に出走するドライバーの実力は玉石混交で、技術の低いドライバーが高価な車を派手にクラッシュさせる場面を目当てにしている視聴者もいる。
レース進行
予選タイムアタック
予選タイムアタックは300台以上の車両が参加し、1分間隔でスタートする単走が7日間にわたって行われる。走行条件の公平を期すために晴天時のみ行われ、雨天の場合は順延される。上位30位以内に入るとドライバーズポイントが加算され、タイヤやその他パーツの大幅値引きや完全無料化、セコンドブースの優先使用権など多くの特典を受けられるため、全選手が30位以内を目指している。上位15位以内の選手は、さらに決勝レースへの参加権が与えられる。
決勝レース
決勝戦は、予選タイムアタックを勝ち上がった15台が一斉に集うレース形式で行われる。予選と違い、雨天の場合でも決行される。作中においてかつて起こった「富士山噴火の災害」を模したトラップが、各コースにて用意されている。決勝レースの人数については、20名になることが予定されている。
MFGのルール

基本的に使用車種やエンジンの馬力などに制約はないが、下記の枠組みによってレースが行われている。
内燃機関のみを動力とすること
電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッドカーといった電気動力を採用した車両の参加は禁止。ただしハイブリッド車の場合は、モーターアシストの機能を封印・撤去すれば参加できる。
グリップウエイトレシオの均一化
車重に応じてタイヤの
トレッド幅を決定する規定で、重い車ほど太いタイヤを装着することができる。逆に軽い車ほど細いタイヤを装着しなければならず、軽量化でタイヤの負担を減らしたり、エンジンの馬力を上げる利点が少なくなる。また、駆動力に優れた四輪駆動 (AWD)車やミッドシップ (MR)エンジン車にもハンディが課される。これらの制約から、無改造でも馬力が高くバランスもいいヨーロッパ製の高級車が有利だと言われており、その車を所有できる財力をもったチームが上位を占めていることから「リッチマンズレギュレーション」と揶揄されている。しかし、カナタなど比較的低馬力の車を駆るドライバーの台頭によって、この定説が揺らぎ始める。
専用タイヤの装着
参加車両はMFGの協賛企業が生産する専用タイヤを履くことが義務付けられており、指定外タイヤの使用が発覚した場合は即座に失格となる。当初はブリヂストン製の競技用タイヤのみが供給されるワンメイク体制だったが、第3回大会からはヨコハマタイヤも参入している。
カーナンバーの掲示
出場車両はカーナンバーをドアに貼り付けて走行する。40位までは前大会のランキングに準じた番号を、それ以降は先着順で好きな番号を選べるようになっている。ポイントランカー車両のカーナンバーには、金色の縁取りが施されてアピール度が高くなっている。アニメでは開幕戦において神15入りした車は初参戦のカナタ以外の14台全車に金縁が施されていたが、第2戦よりカナタの86GTにも金縁が施された。
車両メーカー・ブランドの固定化
出場選手が車両を乗り換える場合は、シーズン開始時に搭乗した車両と同じメーカー(ブランド)でなければならず、シーズン途中で違うメーカーの車両に乗り換えることは許されない。
レギュレーションの正解

本作では、「MFGのレギュレーションの正解」を解き明かしていくという、ミステリ的な要素も取り入れられている。このレギュレーションは前作『頭文字D』でのプロジェクトDの進化系であり、高橋涼介が提唱していた『公道最速理論』の解答編であると述べられている。下記に本作・前作における諸条件、及びヒントを記述する。
トータルバランス
当初「リッチマンズレギュレーション」と揶揄されハイパワー車が上位を独占していたが、ミハイルの参戦を契機にパワーよりもバランスを重視する考え方へ変わっていっているのではないかと、作中での第1戦にて小柏カイは解説している。トータルバランスについては前作『頭文字D』でも語る場面があり、第4巻40話(アニメ1st Stage24話)にて藤原拓海との対決を前にして涼介はFC3S RX-7の馬力をあえて下げ「速く走るためには馬力を下げることもあるのが公道の奥深さ」「下りを制するのカギは馬力よりトータルバランス」と述べている。
コントロールできる馬力の限界
本作の第7巻71話において、第2戦で解説をした池田竜次は、上位ランカーが600馬力を超える現状に対して、「人間がサーキットでコントロールできる馬力は400馬力が限界」「公道であれば、晴天時でせいぜい350馬力程度、悪天候なら200?250馬力程度」という知見を語っている。そして、ハイパワーエンジンと電子デバイスで武装したスーパーカーが席巻してきた現状について、「レギュレーションの真意が正しく理解されていない」と発言している。
横方向のグリップに特化したタイヤ
MFGから提供される専用タイヤについては第1戦での小柏の解説にて「耐久性の設定が絶妙」ということのみが語られていたが、第4戦終了後に「横方向のグリップに特化している」とカナタの指摘によって明かされ、これによりMFGのレギュレーションの正解に迫りつつあると解説されている。カナタによると、「パワー型の車でストップ&ゴーを酷使するレースをするには不利なタイヤである」と評価されている[5]
その他、前作『頭文字D』における公道最速理論
頭文字D第5巻46話(アニメ1st Stage26話)において涼介は「上級者はストレートでもコーナーでもない第3のポイントで差をつける。そのポイントを極めることこそが公道最速理論のメインテーマ」と語っている。第3のポイントとは『コーナーとコーナーの繋ぎ』であるとされ、その限りなく完成に近い一つのサンプルとして「藤原拓海」を賞賛している。
その他
専用ドローン
最高速度180
キロメートルでの飛行が可能な高性能無人航空機。映像中継のほかにも、サーキットにおけるステータスフラッグと同様、後続車が追いついた場合はイエロー、前方でクラッシュなどのトラブルが発生した場合はレッドシグナル(赤旗)をドライバーの視界へ移動して通知するなど、さまざまな機能をもつ。ドローンのシグナルに従わなかった場合はペナルティが課される。
注目フラグ
各車の走行データは、テレメータリングシステムを介してMFG本部のセントラルコンピューターに送られ、AIが優れた技量をもつと判断したドライバーの車には「注目フラグ」が立てられる。フラグを立てられた車は、メインの配信画像に優先的に映される仕組みになっているが、その判断基準は厳しい。特に初出場者にフラグが立つのは主人公のカナタと、第3回大会でデビューしたミハイル・ベッケンバウアーの2名のみ。
ドライバーズポイント
それぞれの予選30?16位にドライバーズポイントが与えられ、15位以上は決勝レースの結果によりポイントが与えられる。また、年間獲得ポイントにより、総合1位となったチャンピオンには10億円が賞金として与えられる。
高額賞金制度
各レースでは決勝レース1位に1億円、2位5000万円、最下位の15位でも200万円が与えられる。また、予選でポールポジションを獲得したり、決勝レースでオーバーテイクをしたりといったファインプレーには、賞金とは別のボーナスが加算され、シーズン終了時にまとめて授与される仕組みになっている。
神15(かみフィフティーン)
MFGの決勝進出者となる予選ランキング15位以内の選手を指すニックネーム。
死神(デスエリア)
天候や地形などの自然条件によって、開催コース中もっとも危険度が高く、事故が多発しているエリアを指す俗称。
開催コース

年間レース数は全5戦。第3戦と第4戦のあいだの8月には「サマーブレイク」と称される休養期間が設けられている。年間表彰式、およびパーティーは11月下旬に帝国ホテルで開催される。
開幕戦:神奈川県小田原市 小田原パイクスピーク
開催時期:5月下旬全長:40.8km箱根ターンパイク・箱根小田原本線料金所→(箱根ターンパイク・箱根小田原本線)→大観山スカイラウンジ→(神奈川県道75号)→芦ノ湖・箱根関所南交差点→(国道1号箱根国道)→東風祭交差点→(一夜城下通り)→早川三丁目交差点(夢庵 早川店前、決勝ゴール地点)→箱根小田原本線料金所決勝レース周回数:2周(総走行距離:81.6km)MFGの開幕戦コース。ステージ名は米国コロラド州で開催されているパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにちなんでいる。箱根ターンパイク[注 1]を通過後、芦ノ湖国道1号を通りゴールとなる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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