PDBに登録されている構造
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PDBのIDコード一覧
2ADO, 2AZM, 2ETX, 3K05, 3UEO, 3UMZ, 3UN0, 3UNM, 3UNN, 3UOT
識別子
記号 ⇒MDC1, NFBD1, mediator of DNA damage checkpoint 1
外部IDOMIM: 607593 MGI: ⇒3525201 HomoloGene: 67092 GeneCards: MDC1
遺伝子の位置 (ヒト)
染色体6番染色体 (ヒト)[1]
バンドデータ無し開始点30,699,807 bp[1]
終点30,717,447 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
染色体17番染色体 (マウス)[2]
バンドデータ無し開始点36,152,407 bp[2]
終点36,170,562 bp[2]
RNA発現パターン
⇒さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能? ⇒FHA domain binding
? ⇒protein C-terminus binding
? ⇒血漿タンパク結合
? ⇒identical protein binding
細胞の構成要素? ⇒細胞核
? ⇒焦点接着
? ⇒染色体
? ⇒核質
? ⇒核内構造体
生物学的プロセス? ⇒cellular response to DNA damage stimulus
? ⇒mitotic intra-S DNA damage checkpoint signaling
? ⇒細胞周期
? ⇒double-strand break repair via nonhomologous end joining
? ⇒DNA修復
出典: ⇒Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
9656
240087
Ensembl
⇒ENSG00000224587
⇒ENSG00000237095
⇒ENSG00000137337
⇒ENSG00000206481
⇒ENSG00000234012
⇒ENSG00000231135
⇒ENSG00000228575
⇒ENSG00000225589
⇒ENSMUSG00000061607
UniProt
⇒Q5PSV9
RefSeq
(mRNA)
NM_014641
NM_001010833
RefSeq
(タンパク質)
NP_055456
NP_001010833
NP_001392450
NP_001392451
NP_001392452
NP_001392453
NP_001392454
NP_001392455
NP_001392456
NP_001392457
NP_001392458
場所
(UCSC)Chr 6: 30.7 ? 30.72 MbChr 6: 36.15 ? 36.17 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
MDC1(mediator of DNA damage checkpoint 1)は、ヒトでは6番染色体(英語版)短腕(p)に位置するMDC1遺伝子にコードされる、2080アミノ酸からなるタンパク質である[5][6][7]。MDC1はS期内チェックポイントとG2/M期チェックポイントの調節因子であり、DNA損傷部位へ修復タンパク質をリクルートする。また、がん抑制タンパク質p53と結合し、細胞生存運命の決定にも関与する。このタンパク質はNFBD1(nuclear factor with BRCT domain 1)という別名でも知られる。 MDC1はDNA損傷応答経路の一部を構成する。DNA損傷応答経路は、真核生物が損傷したDNA、具体的には電離放射線や染色体異常誘発物質
機能
DNA損傷応答における役割
細胞が電離放射線に曝露するとクロマチンは二本鎖切断損傷を受ける場合があり、その場合にはMRN複合体が損傷DNAのヒストンH2AXへATMキナーゼをリクルートすることでDNA損傷応答が開始される。ATMはH2AXのC末端をリン酸化し(リン酸化されたH2AXは一般的にγH2AXと表記される)、γH2AXはDNA損傷部位を示すエピジェネティックな標識となる。MDC1のSDTドメインはCK2によってリン酸化され、他のMRN複合体への結合が可能となる。MDC1はBRCTドメインを介してγH2AXに結合することでDNA損傷を検知し、結合したMRN複合体をDNA損傷部位へもたらすことでATMキナーゼのリクルートと保持を促進する。こうしてリクルートされたATMキナーゼはMDC1のTQXFドメインをリン酸化し、E3ユビキチンリガーゼであるRNF8のリクルートを可能にする。RNF8は二本鎖切断部位近傍のヒストンをユビキチン化し、DNA損傷応答経路の他の因子によって損傷部位周辺のクロマチンのさらなるユビキチン化が開始される。こうしたDNA損傷応答因子が集合し、リン酸化・ユビキチン化ヒストンが局所的に増加した状態はDNA damage fociもしくはionizing radiation-induced foci[9]と呼ばれ、MDC1の主要な役割はこのDNA damage fociの形成を調整することである。MDC1は、DNA損傷に応答したS期内チェックポイントとG2/M期チェックポイントの活性化に必要である。 MDC1は、がん抑制タンパク質p53のアポトーシス活性を直接阻害することで抗アポトーシス作用を示す。DNA損傷によってATMキナーゼとChk2によるp53のセリン15番と20番のリン酸化が引き起こされ、p53がE3ユビキチンリガーゼMDM2から解離して活性化・安定化されることでアポトーシスは誘導される[11]。MDC1は2通りの方法でp53を阻害し、抗アポトーシス活性を示す。まず、MDC1はBRCTドメインを介してp53のN末端に結合し、p53のトランス活性化ドメインを遮断する。また、MDC1はp53のアポトーシス活性に必要なセリン15番残基のリン酸化レベルを低下させることで、p53を不活性化する。肺がん細胞株(A549細胞)で行われた研究では、siRNAによってMDC1タンパク質レベルを低下させることで、遺伝毒性物質に応答したアポトーシスが増加することが示されている[11]。 ヒト細胞でのsiRNAを用いた研究やノックアウトマウスでの研究からは、MDC1タンパク質の阻害や喪失によって細胞・個体レベルでいくつかの欠陥が生じることが示されている。MDC1遺伝子を欠くマウスは野生型マウスよりも小さく、オスは不妊であり、放射線感受性が高く、腫瘍の易罹患性を示す。MDC1ノックアウトマウスの細胞やMDC1をサイレンシングしたヒト細胞では、放射線感受性が高い、S期内チェックポイントやG2/Mチェックポイントを開始することができない、電離放射線照射によるfociの形成を行うことができない、二本鎖切断応答に関与するキナーゼ(ATM、CHK1、CHK2)によるリン酸化が乏しい、相同組換えの欠陥、といった現象が観察される。
アポトーシスにおける役割
MDC1の喪失の影響