MDレコーダーはミニディスク(MD)を録音・再生する装置である。再生のみの装置は「MDプレーヤー」と呼ばれる。対応機器にはコンポーネントステレオやミニコンポ、携帯音楽プレーヤーやカーオーディオなどがある。
アナログコンパクトカセットを代替するという目的で開発されたミニディスク[1]に記録された音声は当機器を使用することによってコンパクトディスク(以下、CD)と同様に瞬時に頭出しが可能であり[1]、トラック分けが行いやすく、かつ書き換えが容易なため音声の編集にも利用される。
MDレコーダーは1992年11月から発売され、2000年代前半に全盛期を迎え、2020年に生産完了した。
日本での歴史
普及期ソニーのMDレコーダー『MZ-1』
1992年(平成4年)11月1日、ソニーが初のMDレコーダー『MZ-1』を発売するが、90年代前半はレコーダー/プレーヤーは非常に高価格であったため、全くと言っていいほど市場が拡大しなかった。
しかし90年代中頃以降、ソフトを持ち運ぶ必要があるカーオーディオや携帯音楽プレーヤーなど、若年層をターゲットとする業界では、CDに比べて手軽である点とコンパクトカセットに比べて高音質である点が受け、カーオーディオではCD+MDの2DIN一体機が、携帯プレーヤーではMDウォークマンタイプが主流となった。機器はソニーのほかはシャープや松下電器(現・パナソニックホールディングス)、日本ビクター・ケンウッド(ともに現・JVCケンウッド)、アイワ、パイオニア、デノン、オンキヨー、ティアックなどが参入した。ソニーから発売されたMDウォークマンについては「ウォークマンの製品一覧#MD」を参照
なお普及当時は莫大なライセンス料の支払いという意味での敗者になることを避けるため、競合規格のDCC共々ソニー・フィリップス・松下電器産業の3社で共同ライセンスしていた[2]。 2000年9月には長時間の再生に対応したMDLP対応機種が発売された。また、カーオーディオやMDウォークマンなどでMDに馴れた若年層の間で、今度は家庭用MDコンポやMDラジカセも普及したことで、全盛期を迎えた。ソニーのHi-MDウォークマン『MZ-RH1』 2001年にはパソコンに取り込んだ音楽データをMD機器に転送可能なNet MD規格が登場した。MD機器を発売するほとんどのメーカーが参入し、機器としては、単品コンポーネントデッキ・携帯音楽プレーヤー・ミニコンポ・パソコン内蔵Net MDデバイス・カーオーディオなどに採用された。同年10月以降にソニーから発売されたミニタワー型デスクトップPCの『VAIO MXシリーズ』ではNet MDドライブが本体に搭載され、2002年に発売された『VAIOノートNVシリーズ』では付け外しが可能な「Net MDベイユニット」がオプションもしくは標準装備された[3]。 一定の支持を受けた一方で、セパレートタイプのステレオやデッキの製品数が少なかったことから、オーディオマニアの間ではほとんど普及せず、従来型のラジカセを愛用する保守的な中高年齢層にも受け入れられなかった。また録再の機械の故障も多々あった。 2000年代に入り、CDからの取り込みに関してはHDDを利用したiPodやフラッシュメモリタイプのウォークマンなどに代表されるデジタルオーディオプレーヤーやデジタルメディアプレーヤーが台頭し、更に会議・会話・野外録音などの分野では同じく2000年代にICレコーダーおよびリニアPCMレコーダーが着実に普及したため、MDを使用するメリットは相対的に低下していった。 2004年になると、MDLPよりも長時間録音が可能なHi-MD対応機器が登場したが、Hi-MDウォークマンが登場したころはデジタルオーディオプレーヤーが市場に投入されてから数年経過しており、それらの普及が拡大している状況であった。ソニーもHi-MDと同時並行でデジタルオーディオプレーヤー市場に参入しており、その後はそれに力を入れるようになった。 ソニー以外のメーカーでHi-MD製品を投入していたのはオンキヨー・バッファロー(ソニーから海外向けウォークマンをベースとした機種をOEM供給)など数社であった。 PCに関してはソニーは同社製(当時)PCのVAIOにもデスクトップPC、ノートPCに関わらずごく一部にMDデッキ搭載モデルを発売していたが、2003年(平成15年)夏モデルを以て展開を終了しており、最終モデルは『PCV-W121』である。
全盛期
衰退期
PC
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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