MARVEL_VS._CAPCOM_3_Fate_of_Two_Worlds
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開発にはマルチプラットフォームに適したカプコンの制作エンジン「MTフレームワーク」の最新版が使われている[8][9]

新妻によると、本作のデザインコンセプトは「動くアメコミ」であり[10]、カプコンのキャラクターも含めアメコミ調のくっきりとした陰影で描画されている[11]。アメコミ=雑誌というイメージから攻撃などの際に紙が裂けたり、破れたりする演出が加えられ[9]、使用されるエフェクトはアメコミで実際に使われているフォントをそのまま使用している。これらの表現は日本国外ファンを意識したものではなく、あくまで本作のコンセプトを重視したことによるものである[8]

ゲームバランスよりは爽快感を重視しており、バランスが最重視された『ストIV』に対し、本作はあくまで「お祭り」ゲームであることを重視している。新妻曰く「キャラクターを尖らせるだけ尖らせて、最終的にシステムで包む」設計になっており、『ストIV』をプレイしたユーザーから送られた「もっとハチャメチャだったらいいのに」と言う要望に対する一種の答えになっている。そのため、最終的なゲームバランスを調整するのには膨大な時間がかかっており、1日1000試合テストプレイをしたスタッフも存在する。演出などは『ストIV』と比べて短めになっており、あくまでスピーディなゲーム性を追求している[7]。カプコンでは、マーベルのことを熟知し間違いの無いキャラクター作りをするために相当な量の資料を集め、不要なところまでも作りこむという熱意ある制作が行われた[12]。設定が不明瞭なキャラクターはマーベル社に相談して作られている[13]

マーベル側では、原作で死亡したキャラクターが参戦したり、設定が大幅に変更されているなどゲーム発売時点の原作コミックの状況と異なる点があるが、それほど熱心に最新の原作を読んでいないライトなファンが持つイメージ寄りにするために、「より古典的解釈に基づいた」キャラクター設定となっている[注 5][14]

新規参戦するキャラクターが増えたため、そのシリーズのファンに「格闘ゲームというよりは特定のキャラクターを動かせるゲーム」として好評を得ている[15]。新規キャラクターは対戦格闘ゲーム以外からの参戦が多く、原作での特徴的な動きを格闘ゲーム風に再現することが重視されている[8]

2011年3月30日に出荷本数が200万本を記録したと発表された。カプコンは、『マーヴル VS. カプコン』シリーズ(以下『MvC』シリーズ)のファンの期待に応え、近年の格闘ゲーム人気の拡大を喚起した結果としている。またダウンロードコンテンツを継続して配信していき、長期的な販売促進を行うとしていた[16]
日本国外版

日本国外版は日本版と異なるパッケージで販売されており、他にも日本国外版のコレクターズ・エディションには「コミック/アートブック」、アメコミの無料購読コードやダウンロードコンテンツキャラクターのアンロック・コードなどの予約特典が付随するなど異なる点がある[17]。日本ではユーザーの要望に応えe-CAPCOM限定でこのコレクターズ・エディションが先着予約特典として販売されたが、各種コードは使用できなくなっている[9]。「コミック/アートブック」には、本編の書き下ろしプロローグコミックのほか、キャンペーンアートなどが収録されている[18]。このコミックは『アルティメット』のゲーム内ギャラリーに画像データとして収録されている。
アルティメット

2011年11月17日にPS3とXB360で発売された『アルティメット マーヴル VS. カプコン3』では参戦要望が多く寄せられたストライダー飛竜など新キャラクターを12人追加し[19]、ダウンロードキャラクターを含めると総勢50人が使用可能になった。要望の高かったオンライン対戦での「観戦モード」が追加され[20]、マッチメイキングをスムーズにしラグを減らすなどオンラインモードの強化が行われる。また。前作で行われた主要な大会やユーザーフィードバックを参考にゲームバランスを再調整し、一部のキャラクターには新必殺技が追加された[21]。ゲームバランスを極端なものにしていたXファクターは攻撃上昇率を低下させ、空中でも発動できるようになった。空中ダッシュ中のガードができなくなったため、相対的にホバリングや特殊移動技を持つキャラクターが有利となっている[22]

2011年12月17日にはPlayStation Vitaローンチタイトルとして発売した。コンソール版同様の60フレームでの動作と軽快さを実現しており[23]、要望の多かった対戦動画のアップロードと再生が可能となっている[24]。グラフィックデータの転用はせず、有機ELに合うように一から作り直されている。操作系統にもタッチスクリーンでのプレイに対応するなどの変更点が見られ、PS3と連動しPS Vitaをコントローラーとして利用する「アルティメット・コントローラー」機能を搭載している[25]またL、Rボタンはボタンを押す長さによってアシスト、交代へと変化する[26]。オンライン対戦はWi-Fi通信のみとなっており、3G回線はリーダーボードの閲覧のみとなっている[27]。バトルプランナーの石澤英敏(通称Neo_G)は新モードや新キャラクターの参入などを指し「実験的で思い切りを詰め込んだ作品」と振り返っている[28]

当初はダウンロードコンテンツでの販売を予定していたが、東日本大震災の影響などにより計画を練り直した結果、ボリュームアップをした上でのパッケージ販売となった[29]。トロフィーと実績は一新され独立しているが、ダウンロードコンテンツは前作のものを引継ぐことが可能。

アルティメットの発売に合わせて声優のたまごである古木のぞみの対戦動画を配信するアルティメットガール育成プロジェクト、前作では日本国外でのみ行われたアートコンテストなどのプロモーションイベントを実施する。アートコンテストの優勝者には村田雄介の描き下ろしイラストのレプリカが送られた。

カプコンとマーベルの契約終了により2013年12月には前作と本作のPS3、Xbox 360版のダウンロードコンテンツの販売を終了、2014年6月にPS Vita版の販売と日本語公式サイトの公開を終了していたが、シリーズ新作『マーベル VS. カプコン:インフィニット』の発表に伴い2016年12月4日より本作公式サイトが再公開され、PlayStation 4版のダウンロード販売が開始された。その後遅れて、Xbox One版とWindows PC(Steam)版のダウンロード販売も2017年3月7日に開始され、さらにPS4のみパッケージ版が2017年3月9日に発売された。ゲーム内容自体は同一であるが、過去のPS3、Xbox 360版が720P画質だったのに対し、PS4、Xbox One、Steam版は1080PのフルHD画質に対応しており、廉価版並の低価格ながらも過去の全てのダウンロードコンテンツと、日本国外向けに発売された公式アートブックである『Marvel vs. Capcom: Official Complete Works』が完全収録されている[30]。さらにPS4のパッケージ版には限定特典として新規書き下ろしコミック『WORLD WARRIORS AND WORLDS BEYOND』が付属。オンライン対戦にも対応しているが、同一機種ユーザーの対戦のみ対応している。
システム

チーム編成は前作『MvC2』と同じく3対3となっている。ゲーム開始時に3人のキャラクターと3種のアシストタイプを選択することや基本的なシステムは前作を踏襲している。

操作系は1レバー+6ボタンだが、攻撃ボタンは初心者に配慮して4つに減少しており[7]、「弱攻撃」(以下L)、「中攻撃」(以下M)、「強攻撃」(以下H)、「スペシャルアタック」(以下S)、「パートナー1」、「パートナー2」の6ボタンとなっている。パンチとキックに分れていた攻撃ボタンが統合され、エリアルレイヴ始動技やチームエリアルコンボはSで発動する。パートナーボタンはパートナーによるアシストや交代、スナップバックなどに使用する。セレクトボタンは挑発に使用し、空きボタンには複数のボタンの同時押しなどを任意で設定できる。

新システムとして「チームエリアルコンボ」と「X-ファクター」が追加されている。「チームエリアルコンボ」は空中でコンボを叩き込む「エリアルレイヴ」中に始動しほかのメンバーに交替し空中で敵に連続技を叩き込む。レバー入力によって、攻撃力が高い上段、横方向に打ちつける(『アルティメット』ではさらに相手のハイパーコンボゲージを1つ減らす)中段、下方向に叩きつけハイパーコンボゲージを1本増加させる下段の3種に派生する。対する受け手側は相手のチームエリアルと同じコマンドを入力すると「チームエリアルカウンター」が発動し、相手のチームエリアルコンボを阻止できる。「X-ファクター」は1試合に一度だけ使用でき、一定時間スピードと攻撃力を上昇させることができ、自分のチームの残り人数が少ないほどその効果が高くなる。必殺技などの各種モーションをキャンセルできるため連続技にも組み込め、ガードをキャンセルして相手のコンボに割り込むことも可能。発動中はリカバリアブルダメージが控えに回っていなくても自動で回復し、ケズリ[注 6]を無効化する[4]

連続技、必殺技、ハイパーコンボ、エリアルレイヴをいずれも1ボタンで行える初心者向けの「シンプル操作」は、使える必殺技やハイパーコンボには制限がある。例えばリュウならば上段足刀蹴りや真空竜巻旋風脚は使えない。

「ディレイドハイパーコンボ」は、ダメージ補正をリセットするテクニック「補正切りコンボ」の始動に使われることがある。キャラクターの中には補正切りありきで活躍できる者も存在する[31]。ほかにもマニュアルには記載されていないが以下のようなテクニックが存在する。二段ジャンプを行えるキャラクターの一部には、二段ジャンプを高速入力することで低空ジャンプとなる「ショートジャンプ」が利用でき、それを駆使して高速で発生する中段攻撃を仕掛けられる[32]。ダッシュを方向キーの2度押しではなく攻撃ボタンの同時押しで行うと下入力でキャンセルすることができ、その工程を繰り返すと波を打つような小刻みな連続ステップ「ウェーブダッシュ」が可能となる[22][33]。スナップバックにより強制交代させられるキャラクターの出現時間が一定であることを利用し、相手のガードを崩す戦法を仕掛ける「出現攻め」が行える[31]

キャラクターは、癖がなく扱いやすい「スタンダードタイプ」、スピードはないが攻撃力と体力に優れる「パワータイプ」、体力は低いが特殊な移動技を持ちガード崩しに長ける「スピードタイプ」、多彩な飛び道具により遠距離からの攻撃に長けた「シューティングタイプ」の4種に大別される。


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