M551シェリダン
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M551 シェリダン空挺戦車M551 シェリダン
性能諸元
全長6.307m
全幅2.794m
全高2.946m
重量15.177t
懸架方式トーションバー
速度69.2km/h(整地
5.79km/h(浮航)
行動距離563km
主砲152mm ガンランチャー M81×1
副武装12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃M73×1
エンジンデトロイトディーゼル 6V-53T
2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージドディーゼル
300hp/2,800rpm
乗員4名
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M551 シェリダンは、アメリカ合衆国で開発され、アメリカ陸軍で使用された水陸両用空挺戦車である。

愛称のシェリダン(Sheridan)は、南北戦争の英雄の一人である、フィリップ・H・シェリダン将軍にちなんで命名された。
概要試作型XM551

M551は、1950年代に使用されだしたM41軽戦車空挺部隊用のM56スコーピオン空挺対戦車自走砲を統合し代替する、AR/AAV(Armored Reconnaissance/Airborne Assault Vehicle:装甲偵察/空挺突撃車両)計画により開発が開始された。特にM56の防御力はオープントップの自走砲ゆえ皆無に等しく、これを早期に交代させる必要があった。

そこでまとめられた新型空挺戦車の基本構想は、水陸両用で空中投下に耐え、さらに既存の軽戦車をしのぐ機動力と火力を持ち、車重は10t以内に収めるという厳しいものであった。また、火力の強化に関しては、当時開発が進められていたM81 152mmガンランチャーの搭載が要求された。

計画に応募した12社のうちキャデラック社の提出した設計案が採用され、1960年6月にはXM551として開発契約が結ばれた。1961年12月には最終モックアップが完成、1962年に試作車が完成し各種試験を重ねた後、1965年11月にM551として正式採用された。1966年6月から生産が開始され、1970年11月までに1,662輌が生産された。

M551は長期に渡って装備されていたため、現役期間中には非正式の現地改造品であった車長機関銃防盾を正式に装備、主砲同軸機銃発煙弾発射機暗視装置を新型のものに交換するなどの各種の改修が行われている。代表的な改修型としてはレーザー距離計を搭載し、火器管制装置などを改良したM551A1がある。また、ベトナム戦争に投入された車両には、故障車の主砲をM41軽戦車の主砲に換装した現地改造型も存在した。

アメリカ陸軍ではM551の発展型として共通の車台を用いた各種の派生型が構想され、それらを装備した「空挺突撃車両戦闘部隊」の編成が検討されていたが、M551の運用結果が芳しくなかったこともあり、いずれも試作もしくは計画のみに留まり、部隊の編成も構想のみに終わっている。
特徴MGM-51 シレイラを発射するM551

M551の特徴は、空挺戦車として要求された重量や浮航性を得るために車体がアルミ合金で構成されていることである。これは、アメリカ陸軍の制式戦車としては初めてのアルミ合金採用車となった。同様に、エンジンにもアルミ合金が、トランスミッションにはマグネシウムが用いられるなど、各部に軽量化が図られている。車体はアルミ合金製であるが、砲塔圧延防弾鋼板を溶接したものとなっていた。車体側面部は中空構造とされ、内部にはウレタンフォームを充填して浮航性を確保している。車体前面上部には起倒式の波切板を、車体上部外周部には防水スクリーンが装備されており、水上航行時にはこれを展開して浮上航行する。

主武装としてM81 152mmガンランチャーを装備している。これは、M41軽戦車が装備していたM32 60口径76.2mm戦車砲に比べて軽量であり、MGM-51A シレイラ対戦車ミサイルと通常弾の両方が発射可能である。通常弾は多目的弾のHEAT-MPを使用し、通常弾とミサイルを合わせて30発を搭載可能。M81用の燃焼式薬莢は燃え滓が薬室内に付着するという問題が発生したため、発砲後に高圧空気を吹き込むことで砲身内を清掃する機構(CBSS(Closed Breech Scavenging System:砲尾閉鎖残渣除去システム)が増備された[注釈 1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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