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M113装甲兵員輸送車
基礎データ
全長4.86m
全幅2.69m
全高2.5m
重量12.3t
乗員数2名+兵員11名収容
装甲・武装
装甲12-38mm
主武装12.7mm重機関銃M2×1
副武装各種(本文参照)
機動力
速度64km/h
エンジンデトロイトディーゼル 6V-53
2ストロークV型6気筒液冷ディーゼル
275hp
懸架・駆動トーションバー方式
行動距離480km
出力重量比22.3hp/t
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M113装甲兵員輸送車 (M113 armored personnel carrier) は、アメリカ合衆国で開発された装甲兵員輸送車である。
履帯を装備し、不整地・荒地の走破能力が高くなっている。整地では高速走行も可能である。また、限定的ではあるものの、沼や小川などでの浮行能力を備えている。
M113には多数の改造型・派生型が存在し、さまざまな戦闘や援護作戦に使用される。すべての派生型を含めると約80,000両以上が製造され、世界中でもっとも幅広く使用された装甲兵員輸送車の1つとなった。 M113は、M44を嚆矢としてM59とM75を設計の基礎とし、フォードとカイザー・アルミニウム・アンド・ケミカル (Kaiser Aluminium and Chemical Co.) により1950年代後半から設計が開始され、1960年に採用された。
歴史
特にベトナム戦争で多用され、メディアにも多く登場して有名となった。湾岸戦争やイラク戦争でも活躍している。
設計バイエルン州ホーエンフェルスの多国籍共同準備センターで行われたアライドスピリット演習に参加するアメリカ軍第4歩兵連隊第1大隊のM113-OSCV。
M113は、アメリカ軍で最初の「戦場のタクシー(Battle Taxi)」の概念のもと、機械化されつつあった戦場において兵員を輸送する現代的な装甲車として設計された。2名(車長と操縦士)で運用でき、加えて11名の兵員を輸送することができる。後部には大型の昇降ランプが設けられ、兵員の迅速な降車展開を可能にしている。主兵装はシンプルで、車長用キューポラに搭載された、1丁の12.7mm重機関銃M2のみである。副兵装は作戦に応じて柔軟に決定される。
M113の車体は、鉄鋼を使用した場合と同じ程度の強度を持つ、航空グレードのアルミニウムA5083(12-38mm厚)を使用して製造されており、13トン以下という大幅な軽量化に寄与している。これにより、空中投下や水上浮航も可能である。ただし、このアルミ合金装甲は、RPG-7やGAU-8などの対戦車兵器、地雷に対する脆弱性が明らかになっており、増加装甲の追加などの対策が取られている場合が多い。
当初はガソリンエンジン搭載であったが、A1モデルからはデトロイトディーゼル・2ストロークV型6気筒ディーゼルエンジンを使用している。同エンジンは既にGM社の民生車両用に74万台の生産実績があり、M113の高信頼性と低コストに貢献している。燃料タンクは車内後部左側にあり、A2/A3型は後部ランプ左右に外部燃料タンクを装備している。
M113の航続距離は480km、整地での最大速度は64km/h、トーションバー・サスペンションで、ロードホイールは5輪となっている。履帯は、中央にゴムパッドの付いたタイプになっており、また、ドイツ陸軍では独自の形状の履帯を使用している。
改修アメリカ陸軍のM113A3。2007年にイラク国内で撮影。バー・アーマーが追加装備された仕様
M113は、アルミ合金装甲を有しており、その能力は概して合理的かつ効果的で、増加装甲型ハンヴィーよりも良好に防御できる。さらに、後に実戦を経るに従い増加装甲が施されている。たとえば、爆発反応装甲、増加装甲板、RPG-7対策のかご型装甲などである。また、ベトナム戦争や中東戦争で効果を発揮した機関銃タレットへの装甲板取り付けなどの現地改造もみられる。このほか、バンド式履帯は高頻度のメンテナンスを要求するため、カナダ軍など多くの軍隊では、道路にダメージを与えるにもかかわらず、鋼製の履帯を使用している。
ベトナム戦争中は地雷による被害が多く、車内床面に土嚢を積むなどの対策が取られた。また、兵士達は車内で地雷の被害に遭うよりは、外部から攻撃のおそれはあるものの、地雷の爆発からは距離が稼げる車体上に乗って身を晒す方を選んだ。また、操縦士が高い位置に座って延長したハンドルで操縦し、兵士達はほとんど車外に出ていた例もあった。
M113は、地雷の外に、RPG-7等の対戦車兵器に対しても非常に脆弱であった。特に、車体後部に被弾した場合の乗員の生存性に難があった。
A2型より古いM113やその派生車両の燃料タンクは、兵員室の左後方に配置されており、容量360リットルの燃料タンクは薄いアルミ製で、中身は軽油である。
一般に「ガソリンと比べれば、軽油は燃えにくくて安全」だと思われているが、決して「安全な燃料である」とは言い切れない。
M113の燃料タンク内にある軽油は、エンジンの主燃料の外に、燃料噴射インジェクターの冷却という役割があり、冷却して暖まった軽油は再びタンクに戻り、循環している。
それにより、タンク内の軽油の温度はおよそ53℃になる。アメリカ陸軍で使われていた軽油であるDF-2の引火点は52℃である。