LZ_130_(飛行船)
[Wikipedia|▼Menu]
フリードリヒスハーフェンの格納庫から出航するLZ130(1938年)

LZ 130(独: Luftschiff Zeppelin 130、登録符号D-LZ130)はツェッペリン飛行船会社が大戦間期に建造した最後の巨大硬式飛行船である。ヒンデンブルク級飛行船の2番船にして最終船であり、名称を「グラーフ・ツェッペリン("Graf Zeppelin")」といった。この名を冠した飛行船としては世界一周飛行などで著名なLZ 127があり、そのため本船はしばしば「グラーフ・ツェッペリンII世(Graf Zeppelin II)」と呼ばれる。
設計と開発フリードリヒスハーフェンのツェッペリン博物館にあるLZ 130の船首部分

LZ 130の設計はLZ 129ヒンデンブルクに2、3の改良を加えたものである。最も目立つ点は、エンジンポッドが完全に再設計され、ディーゼルエンジンが牽引式のプロペラを駆動するようになっていた(後方のエンジンは1基のみ、3枚のブレードを持つプロペラを駆動した)ことである。エンジンには、飛行の間に失われる重量を最小限にとどめるため、排気から水を回収するシステムが備えられていた。客室も、完全に再設計された。食堂は後部甲板の中ほどに移され、展望室の窓はパネル半分だけ低くなっていた。16個のガス嚢は軽量化が図られ、木綿の代わりに軽量のでできていた。ゴンドラの下に装備された着陸装置と、上部のガス排出フードの形状も再設計された。さらに、船体外皮のドープ剤も、引火を防ぐために青銅と黒鉛が加えられ、また電気伝導性も改善された。これらの改善により、LZ 130は、それまで飛行した硬式飛行船のうち、技術的に最先端にあったものと考えることができる。

グラーフ・ツェッペリンIIは当初、浮揚ガスとして水素を使うように設計されていた。しかしヒンデンブルク号の事故により、フーゴー・エッケナーは旅客飛行船では二度と水素を使わないことを決め、代わりにヘリウム(ヒンデンブルクにも当初浮揚ガスとしてヘリウムの使用が計画されていた)を使うことにした。大量のヘリウムの唯一の供給源はアメリカ合衆国だったので、エッケナーは自らの飛行船のためのヘリウム供給を請うためにワシントンD.C.におもむき、ルーズベルト大統領本人を訪ねた。大統領は平和目的に限ってヘリウムを供給すると約束した。しかし1938年3月、オーストリア併合が行われるに至り、アメリカ内務長官ハロルド・L・イキーズはヘリウムの供給を拒否した。そのためグラーフ・ツェッペリンIIは結局水素を使わざるを得なかった。
建造日程
1936年6月23日
起工。竜骨の据付および主なリング材の格納庫屋根への固定。
1937年2月14日
ノーズコーン取付。同月、フレームへの外皮装着。
1937年5月6日
LZ 129ヒンデンブルク号爆発事故(アメリカ、ニュージャージー州レイクハースト)。乗員・乗客97名のうち35名と地上整備員1名が死亡。
1938年8月15日
ガス嚢充填開始。
1938年8月20日
エンジンおよび電気系統の試験。
1938年8月22日
無線通信システムの試験。
1938年9月14日
命名と初飛行が行われた。ヒンデンブルクの命名式と異なり、参列したのはツェッペリン社の役員とヘルマン・ゲーリングのみであった。他の政府代表はエッケナーを祝福するために命名式に来ることはなかった。式のスピーチはエッケナー博士が行った。
1938年11月14日
グラーフ・ツェッペリンIIは完成したが、その頃には本船が、当初意図した旅客輸送目的には使用されない見込みであることが明らかとなっていた。不活性のヘリウムガスの供給不足もその理由のひとつだった。ドイツ航空省は、グラーフ・ツェッペリンII号に、1939年9月1日までの1年間、「いかなる乗客も乗せず、また熱帯地域に行かない」という条件で飛行を許可した。
運航歴

LZ 130は全部で30回の飛行を行った[1]
1回目-7回目
1回目(1938年
9月14日
処女飛行は、命名式の直後にフーゴー・エッケナー博士の指揮で行われた。7時50分に、主に航空省の役人とツェッペリン社の役員からなる74人を乗せてフリードリヒスハーフェンを離陸した。建造に携わった者や技術者たちも搭乗していた。エンジンは飛行船がおよそ100mの高さに達してから始動した。グラーフ・ツェッペリンII号はミュンヘンアウクスブルクおよびウルムを通過し、合計925kmを飛んで午後1時30分にフリードリヒスハーフェンに戻った。フーゴー・エッケナーはこの飛行について「満足」であり「成功」した、と評価した[1]
2回目(1938年9月17日 - 18日)
2回目の飛行は、フーゴー・エッケナー博士とハンス・フォン・シラー船長の指揮下に合計85人を乗せて行われた26時間のテスト飛行であった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:24 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef