LTE-Advanced
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Long Term Evolution (ロング・ターム・エヴォリューション)、略称LTE (エルティーイー) は、携帯電話の通信規格である。
目次

1 概要

2 呼称

3 開発経緯

4 TD-LTE

4.1 WiMAXとの関係


5 使用技術

6 周波数帯

7 UE Category

8 IoT向け

9 各国・地域の状況

9.1 日本の状況

9.1.1 今後の方向性

9.1.1.1 SIMロックとの関係


9.1.2 周波数割り当て

9.1.2.1 1.5/1.7GHz帯

9.1.2.2 700/900MHz帯

9.1.2.3 2GHz帯TDDバンド

9.1.2.4 3.5GHz帯TDDバンド


9.1.3 TD-LTEの「互換」とされているサービス


9.2 米国

9.3 欧州

9.4 アジア

9.5 新興市場


10 国際ローミングの状況

11 新たな無線端末と今後の展開

12 LTE-Advanced

12.1 日本の状況


13 脚注

13.1 注釈 

13.2 出典 


14 関連項目

15 外部リンク

概要

W-CDMACDMA2000等の第3世代携帯電話 (3G) と、第4世代携帯電話 (4G) との間の中間過渡期な技術である。

仕様は標準化団体である3GPPにて3GPP Release.8内で2009年3月に策定された[1]。3GPP上ではE-UTRA (Evolved Universal Terrestrial Radio Access)/E-UTRAN (Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network) とも表記されている[1]

下りはOFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access 直交周波数分割多元接続) 、上りはSC-FDMA (Single Carrier Frequency Division Multiple Access シングルキャリア周波数分割多元接続) を採用し[2]、20MHz幅でピークデータレートが下り方向100Mbps以上、上り方向50Mbps以上の通信速度を要求条件として仕様策定が進められた。

3Gと同じ周波数帯域を使用し、帯域幅は1.4、3、5、10、15、20MHzを選択して使用できる(連続した帯域が20MHzを越える場合や周波数帯域が同じでも、間に別の事業者の割り当てがあって連続した帯域が確保できない場合は、後述するキャリア・アグリゲーションと呼ばれる技術で、帯域を束ねることで、下りの速度を上げることができる。上りは、束ねた中で1波分しか事実上機能しないため、理論上の最大速度は一番帯域幅が広いものの速度となる)。

伝送遅延、待ち受けからの通信状態への遅延 (接続遅延) を以前の通信規格に比較して低減するような技術が盛り込まれている[3]

無線パケット通信のみをサポートし、音声の通信はVoIPでサポートされる。これを、Voice over LTE、略してVoLTEと称する。

既存の2G及び3G (GSM、W-CDMA、CDMA2000、HSPA、EV-DO) とのハンドオーバーをサポートしているため、LTEサービス立ち上がり当初に問題となるエリアの狭さを既存の2Gや3Gで補うといった事も可能である。通信速度等はそれぞれのシステムに依存する。

「Long Term Evolution」の名称通り、3Gを「長期的進化・発展」させることで、スムーズに4Gに移行出来るようにする、いわば橋渡し (中継ぎ) 的な役割を期待されている[1]
呼称

前述のとおり、3Gと4Gの中間の技術であることから、第3.9世代携帯電話 (3.9G) と呼ばれる場合もある[1]

一方で、2010年12月6日に国際電気通信連合はLTEを4Gと呼称することを認めたため、マーケットでは呼称にばらつきが見られる[4]

この規格は当初NTTドコモがSuper 3Gという名称でコンセプトを含めた提唱をしていた[3][5][6]。このためドコモでは長らく「Super 3G」と呼んでいたが、2009年頃からは「LTE」と呼んでおり、その後、2016年秋頃からは「4G」とも呼んでいる。
開発経緯

3Gは、W-CDMAと、CDMA2000というCDMA方式が先行し、特許使用料も高かったために世界市場への普及が遅れた。こういった反省から、世界中で使える高速通信可能で低遅延な携帯電話を低価格の特許で実現すべく、3GPPでLTEの標準化が携帯電話通信事業者と機器メーカーの主導で進められた。3Gでの周波数帯内で将来4Gで採用される予定の先進の通信技術を取り込み、現在使われているW-CDMAHSPACDMA2000EV-DOといった通信規格との後方互換性には配慮していない。
TD-LTE

時分割複信(TDD方式)のLTEを、特にTD-LTEと称することがある[7]

FDDのように、上りリンクと下りリンクのために2つの周波数帯を用意する必要がなく、上りリンクと下りリンクを跨いでの無線資源の共有が比較的容易となる[7]。同じくTDDを使用しているWiMAX、XGP、PHS、TD-SCDMAのリプレースにも向いている。

中国の中国移動通信が早くから次世代規格として詳細検討・開発を行った[7]。この方式は上りリンクと下りリンクの無線資源を分割するガード帯域の存在に起因する通信速度の低下を防ぐことが技術的に困難と考えられ、当初は世界でも中国移動通信以外で導入を視野に入れている大手キャリアは存在しなかった。しかし、中国移動通信はリモートラジオヘッドの性能向上やセルの小型化などの工夫で通信速度の低下を大幅に解消し、上海万博でもTD-LTEのデモを行い、100Mbpsを超えるスループットを実現した。さらに、地域ごとに異なる周波数を設定せざるをえないような国土の広い国で必要とされる周波数境界上の制御には、TD-LTEのほうがFDD方式のLTEよりも適していることをフィールドテストなどで実証している。

2010年にはアメリカのClearwireがTD-LTEのフィールドテストを行うと発表し[8][9]、ロシアのYotaもTD-LTEによるサービスの開始を予定していると表明した[10]。さらに2011年にはフィンランドのノキアがTD-LTEのフィールドテストを行うと発表し[11]、インドの規制当局もTD-LTEの周波数割り当てを行うことを決めた[12]。2011年9月、サウジアラビア最大手のモビリーと二番手のザインがTD-LTEによるサービスを開始した[13]
WiMAXとの関係

携帯機器用の高速無線通信サービスとしては、2009年に日本や米国で商用サービスが開始されたモバイルWiMAX (IEEE 802.16e) がある。WiMAXはLTEに似た要素技術に基づくために、2010年でのLTEのサービス立ち上がり予定時期には、無線基地局の共通化や関連部品の量産効果といった恩恵が受けられるのではないかと期待されていた[14]

しかしながら、TD-LTEが100Mbpsを超えるスループットを実現するなど、スペックですでに次世代モバイルWiMAXであるWiMAX2の要求仕様を上回っており、WiMAXの市場は最終的にWiMAX2でなく、TD-LTEに覆われるとの見方もあった。

その後、2012年10月31日のWiMAX ForumにてTD-LTE互換モードを追加したWiMAX Release 2.1(AE)が発表された[15]

WiMAX Release 2.1(AE)がTD-LTEとの互換となった事を受け、携帯機器用の高速無線通信サービスは将来的にLTE技術への収束が実現するので、無線基地局の共通化や関連部品の量産効果といった恩恵がより一層受けられる事となる[要出典]。
使用技術
周波数帯域幅
1.4, 3, 5, 10, 15, 20MHzから選択 (最大20MHz)
データ変調方式
QPSK、16QAM、64QAMのいずれか (上り方向では64QAMはオプション)
多重化方式
FDDの場合、OFDMA (下り) / SC-FDMA (上り)上りでは単一搬送波を使うSC-FDMAの採用により、電力消費量の削減を考慮した。
全二重化モード
FDDまたはTDD
経路多重化
(基地局アンテナ×端末アンテナ) 1×2, 2×2, 4×2, 4×4 MIMO
周波数帯

3GPPの仕様書 (TS 36.101) にて規定されているE-UTRA (LTE) の周波数は以下の通り。基本的にW-CDMA (UMTS) の帯域は利用可能となっている。キャリアアグリゲーションの組み合わせは日本での利用可能性があるものと、SDLに係るもののみ記載する。


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