LED
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「LED」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「LED (曖昧さ回避)」をご覧ください。

発光ダイオード青, 緑, 赤の LED
種類能動素子, 光エレクトロニクス
動作原理エレクトロルミネセンス
発明オレク・ロシェフ (1927)[1]
James R. Biard(英語版) (1961)[2]
ニック・ホロニアック (1962)[3]
商品化1962年10月
ピン配置アノードカソード
電気用図記号

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.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}LEDの構造発光部の拡大図。+/-で示されるのが端子の極性。発光素子の乗っている側のリードがカソード(負極)の製品が多い。陽極(アノード、anode)と陰極(カソード、cathode)の形状の例と回路記号。上図 発光ダイオードの回路図と、電子正孔の分布を模式的に描いた図。
下図 発光ダイオードのバンド構造と、それによる発光過程の説明。横軸が距離または位置、縦軸が電子または正孔のポテンシャルエネルギー(エネルギー準位)を表す。半導体ダイオードの電流-電圧特性。LEDも基本的には同様の特性を示す。図示した通り、印加電圧がVfを超えると急に電流が流れ始める非直線特性を持つ。抵抗を直列に入れて傾きを緩やかにするか、能動素子で定電流制御する必要がある。

発光ダイオード(はっこうダイオード、英語: light-emitting diode: LED)とは、ダイオードの1種で、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子である。発光原理にはエレクトロルミネセンス (EL) 効果を利用している。また、有機エレクトロルミネッセンス(OLEDs[注 1]、有機EL)も分類上は、LEDに含まれる。

1962年ニック・ホロニアックによって発明された[4]。発明当時は、赤外線LEDと赤色LEDのみだった[5]1972年にジョージ・クラフォード(英語版)によって黄緑色LEDが発明された。1986年には、赤ア勇天野浩により、青色LEDの発光結晶の窒化ガリウムが世界で初めて制作され、続いて1989年には青色LEDが発明された。この発明を利用し、豊田合成日亜化学工業の2社が青色LEDの工業化を目指した[6]1993年には、NTT物性科学基礎研究所の松岡隆志によって開発された発光物質の窒化インジウムガリウムを使用した実用的な高輝度青LEDが日亜化学工業により製品化された。この発明によって中村修二が2014年に赤ア勇天野浩とともにノーベル物理学賞を受賞した。
原理

発光ダイオードは、半導体を用いたpn接合と呼ばれる構造で作られている。発光はこの中で電子の持つエネルギーを直接、に変換する方法で行われ、巨視的には運動の介在を必要としない。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯伝導帯価電子帯)を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合時に、バンドギャップ(禁制帯幅)にほぼ相当するエネルギーが光として放出される。放出される光の波長は材料のバンドギャップによって決まる。基本的には、エネルギーが多いと波長の短い光が出る。これにより赤外線領域から可視光線領域、紫外線領域まで様々な発光を得られるが、基本的に単一波長の光のみを放出する。ただし人間の視覚に合わせて、青色、赤色、緑色(光の三原色)の発光ダイオードを組み合わせて用いれば、人間にとって区別できるあらゆる色(フルカラー)を表現できる。また、青色または紫外線を発する発光ダイオードの表面に蛍光塗料を塗布する方法で、高エネルギーの青色の光を蛍光塗料に吸収させて、蛍光塗料からエネルギーの低い他の色の蛍光を放出させて、適切に色の変換を行い、白色や電球色などといった様々な中間色の発光ダイオードも製造されている。
LEDの特性
電気的特性

他の一般的なダイオードと同様に極性を持っており、カソード(陰極)に対しアノード(陽極)に正電圧を加えて使用する。この順方向にかけた電圧が低い間は、電圧を上げても電流が増えず、発光もしない。ある電圧を超えると電圧上昇に対する電流の増え方が急になり、電流量に応じて光を発するようになる。この電圧を「順方向降下電圧 (VF)」と呼び、一般的なケイ素を主原料に使ったダイオードと比較すると、発光ダイオードは順方向降下電圧が高い。発光色によって違うが、赤外では1.4 V程度。赤色・橙色・黄色・緑色では2.1 V程度。白色・青色では3.5 V程度。紫外線LEDは最もVFが高く、4.5 Vから6 Vが必要である。

発光時の消費電流は表示灯用途では数 mAから50 mA程度だが、照明用途では消費電力が数十Wに及ぶ大電力の発光ダイオードも販売されている[7]

ただし、一般的なダイオードとは異なり、整流用途にLEDは使用できない。逆方向に電圧を掛けた場合の耐電圧は、通常のシリコンダイオードより遙かに低く、通常はマイナス5 V程度である。これを超えると破壊される危険性がある。

また、順方向電圧の低いダイオードの代わりとしての利用にも向かない。例えばラジオなどの受信機には、ゲルマニウムダイオードなど、シリコンダイオードよりも順方向電圧の低いダイオードが用いられるが、LEDを用いた場合には、発光する分だけ無駄に電力を消費するため、LEDは不利である。
光の特性

波長の偏り
蛍光灯白熱電球など他の多くの光源と異なり、LEDは特定の波長に偏った光を発する。そのため、対応する波長に対する光化学反応が促進されたり、逆に明るさの割に必要な波長の光が含まれないため充分な効果が得られない場合がある。LEDの有効活用法としては、光源の種類によっては不要な紫外線や赤外線を含まない単色光が簡単に得られるため、紫外線による劣化が問題とされる文化財や芸術作品や、熱照射を嫌う物品への照明に用いられる。また特定の波長の光を好む植物に、その波長の光のみをLEDを用いて照射する方法で、少ない電力使用量で、その植物を充分に育成できる。逆に、明るくても特定の波長の光が含まれないため、照明として使用した場合に、動植物の育成を阻害する事もある。例えば、ビタミンDの生成に必要な波長を含んでいないために欠乏症になったり、光合成に必要な波長の光を含んでいないために生育が阻害されたりする。特に、3色LED方式で白色発光を作り出している方式では、波長分布による弊害が顕在化し易い。なお、青色LEDと適切な蛍光体を組み合わせて、高エネルギーの青い光を蛍光体に受けさせて、低エネルギーの蛍光を放出させる方法で、波長分布を拡散して白色の光を実現したLEDの場合でも、光源である青色LEDが発する波長が、ひときわ多く含まれている。

明滅の切り替え速度
入力電流変化に対する光出力の応答が速いため、通信などにも利用される。なお、自動車で後続車に対してブレーキ作動の警告を行う場合などにも、便利な特性である。また、照明として用いた場合は点灯と同時に最大光量が得られるため、瞬時に明るくしたい場所にも向く。
物理的・機械的特性

LEDは構造が簡単なため
大量生産が可能である。価格は赤色LEDで1個5 - 10円程度と安価に抑えられる。

白熱電球と違い、LEDはフィラメントを使わないため軽量で衝撃に強く長寿命であり、電球のように衝撃が原因で破壊される頻度も低い。

白熱電球はフィラメントが加熱されないと発光しないのに対し、LEDは電子の持つエネルギーが熱に変わってしまっては発光効率が低下する。なおLEDは、白熱電球と比べて、高温に対する耐性にも欠ける。

白熱電球と違い、LEDは半導体素子なので、回路に問題が生じて故障する可能性を有する。

安定器などが必要な蛍光灯と比べれば、LEDの回路は比較的単純である。一方、長寿命化のために高周波駆動する場合は別途電源回路が必要となり、こちらの方が複雑になる場合がしばしばある。

LEDの発光部は大変小型なので、使用目的に応じたパッケージングが容易にできる。初期のLEDは発光部を丸めた円筒状のパッケージに封入されており、その形状から「弾丸型」「砲弾型」と呼ばれている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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