LED
[Wikipedia|▼Menu]
一方、長寿命化のために高周波駆動する場合は別途電源回路が必要となり、こちらの方が複雑になる場合がしばしばある。

LEDの発光部は大変小型なので、使用目的に応じたパッケージングが容易にできる。初期のLEDは発光部を丸めた円筒状のパッケージに封入されており、その形状から「弾丸型」「砲弾型」と呼ばれている。表面実装の普及に伴い、直方体のパッケージに発光部を封入し、裏面に電極をつけたチップLEDも製造されている。

駆動方式[ソースを編集]

基本的に光量が電流に比例するため、定電流回路や平均電流を一定になるように制御した高周波回路で駆動する。交流電源はダイオードブリッジなどで整流して利用される。
電流制限抵抗[ソースを編集]

LEDを回路に組み込む際には、原則として、電流が過剰に流れ過ぎないようにするための抵抗器を、LEDと直列に入れておかねばならない[8]。この目的で回路に挿入される抵抗器を「電流制限抵抗」などと呼称する。

定電圧電源に接続して使用する場合は、電流制限抵抗をLEDと直列に接続する事で、LEDに流れる電流をほぼ一定にできる。

これに対して、電源電圧と、LEDの順方向にかけるべき定格電圧が同じだったとしても、電流制限抵抗を省くと、しばしばLEDには過剰な電流が流れて、LEDは破壊され得る[9]。なお、別個に電流制限抵抗を用意しなくとも大丈夫な例外として、LEDの内部に電流制限抵抗も納めた製品も存在する[10]

電源電圧を E として電流 I を流すには、適切な抵抗値はおよそ (E-VF) /I だが、LEDの順方向降下電圧 (VF) には個体差があり、抵抗にかかる電圧が変わるため、実際に製造された製品に流れる電流は設計時に想定した値に比べて多少のバラツキが生じる。

抵抗も電力を消費するため電力効率は良くないが、定電圧電源を用意できる場合には最も単純かつ低コストな回路である。そのため、発光効率を特に追求しない表示灯用途には多用される。
定電流駆動[ソースを編集]

定電流ダイオード (CRD) を直列に接続する等、能動素子で定電流回路を構成する事により自動車バイクバッテリー等、電源電圧がある程度変動する環境下でも対応できる。

電源には、LEDの順方向電圧降下に加え、定電流回路の動作に必要な電圧が必要となる。CRDは動作に5 Vから10 V程度の電圧を必要とするが、1 V程度の電圧でCRDと同等の動作ができるICも利用されている。

回路は単純だが、電流制限抵抗と同様、過大な電源電圧を電力を消費して吸収するため、電源電圧によっては電力効率が悪くなる。
高周波駆動[ソースを編集]

ヒトの視覚が認識できない短い時間周期の点滅を繰り返し、見かけ上一定の明るさを得る方式である。明るさは点灯時間のデューティ比を変えるパルス幅変調により容易に調節できる。

駆動回路には電力効率は良く、出力に電流・電圧に変動(リップル)があるスイッチング電源や昇圧回路を用いる事が可能である。また、出力電流の平均を一定に保つ事で、乾電池のように電源電圧が低かったり、変動幅が大きかったり、という場合にも一定の明るさを維持可能である。

駆動回路で消費される電力が他の駆動方式に比べ少なく、入力電力の大半がLEDで消費されるため、電力効率は比較的良い。しかし、電流断続時の急激な電流変化により生じるノイズ放射が機器内外へ電磁妨害を及ぼすほか、回路規模増大に伴ってコストと実装体積が増加する。
使用に必要な知識[ソースを編集]

LEDが発する光の強さは、電流の量におおよそ比例する。しかし特に大電流域では発光効率が低下し、その分だけ発熱する。一般にLEDは発熱が少ないとは言え、高出力品では相応に発熱するのである。LEDは熱に弱いので、放熱の必要性は白熱球や蛍光灯よりむしろ高い。ヒートシンクなどで適切に放熱しないと効率の低下や寿命の短縮でLEDの利点が失われる他、発煙・発火などの事故に繋がる事がある。

連続最大電流、瞬間最大電流を超えないこと。定格電流より多い電流をLEDに流すと、高い光束が得られるものの、寿命が極端に短くなる。LEDを使用した市販品では、寿命を犠牲にして高輝度を得ている物や価格を抑えるために電流を制限する回路を省いている製品もある。

LEDは極性を有するため、陰極と陽極とを間違えて電圧を印加した場合は、LEDが発光しない。また逆方向に対する耐電圧が低いため、LEDが破壊され易い。自動車やバイクのウェッジ球のように極性が差し込むまで判らない、あるいはオルタネーターの交流が直接入るような用途用の物では、対策としてブリッジ回路を間に挟んで無極性化している製品も存在する。

LEDを並列接続する際は、注意が必要である[11]。順方向降下電圧 (VF) には、通常のLEDでは同じ品番の製品にでも個体差が見られ、並列に繋ぐと最も順方向降下電圧(簡単に言えば、電流が流れ始める電圧)の低い素子のみに電流が集中する。電流の集中でさらに発熱し電気抵抗とVFの値が減少し、さらに電流の集中が促進されるという悪循環が起こる。発光量が不均一になるだけでなく、電流が最大定格を超えれば、過熱による寿命短縮や焼損の危険も出てくる。素子の破壊がオープンモードだった場合は、次にVFの低い素子に更に大量の電流が集中し、連鎖的に破壊が進行する。複数のLEDを同時に点灯する場合は、可能な限り直列に繋いだ上で抵抗や能動素子で定電流制御した回路を1単位とし、この単位回路を並列に電源に繋ぐ。ただし、複数の素子が内部で並列接続されている製品も存在する[12]

GaN系などのLED素子は、静電気サージ電流に弱い。

レンズ付きのLEDの場合、素子の光軸と実際に放出される光の方向は、製造過程でのばらつきのため、通常は一致せず、僅かにズレている。

LEDが発光する光は、特定の周波数に偏った光であるため、見た目の明るさ以上に強い光であり、該当する周波数の光による光化学反応が促進される。例えば、他の発光器具にも言えるものの、直視すると、に悪影響を与える事がある。特に紫外線や高出力の物はその傾向が強い。

材料[ソースを編集]

放出された光の波長(色)は、pn接合を形成する素材のバンドギャップの大きさが関係する。発光ダイオードでは近赤外線や可視光、紫外線に至る波長に対応したバンドギャップを持つ半導体材料が用いられる。一般に発光ダイオードには発光再結合確率の高い直接遷移型の半導体が適する一方、一般的な半導体材料であるケイ素(シリコン)やゲルマニウムなど間接遷移型半導体では、電子と正孔が再結合する際に光は放出され難く、単純に熱に変わり易い。しかし、黄色や黄緑色に長く使われてきたGaAsP系やGaP系などドープした不純物の準位を介して強い発光を示す材料もあり、広く用いられている。

以下の素材を使用する事により、様々な色の発光ダイオードを作り出せる。

アルミニウムガリウムヒ素 (AlGaAs) - 赤外線・赤

ガリウムヒ素リン (GaAsP) - 赤・橙・黄

インジウム窒化ガリウム (InGaN) /窒化ガリウム (GaN) /アルミニウム窒化ガリウム (AlGaN) - 橙・黄・緑・青・紫・紫外線

リン化ガリウム (GaP) - 赤・黄・緑


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:110 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef