グルタミン酸
IUPAC名
Glutamic acid
別称2-Aminopentanedioic acid
2-Aminoglutaric acid
識別情報
CAS登録番号 ⇒617-65-2 ,
56-86-0 (L-異性体)
6893-26-1 (D-異性体)
PubChem611
199 °C(分解)
水への溶解度soluble
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
グルタミン酸(グルタミンさん、glutamic acid, glutamate)は、アミノ酸のひとつで、2-アミノペンタン二酸のこと。2-アミノグルタル酸とも呼ばれる。Glu あるいは E の略号で表される。小麦グルテンの加水分解物から初めて発見されたことからこの名がついた。英語に準じ、グルタメートと呼ぶこともある。
酸性極性側鎖アミノ酸に分類される。タンパク質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸。動物の体内では神経伝達物質としても機能しており、グルタミン酸受容体を介して神経伝達が行われる、興奮性の神経伝達物質である。
グルタミン酸が多くつながると、納豆の粘性物質であるポリグルタミン酸になる。
致死量はLD50=20g/kgであり、体重50kgのヒトなら1000g=1kgである。
目次
1 生合成
2 存在
3 利用
4 製法
4.1 加水分解法
4.2 抽出法
4.3 化学合成法
4.4 酵素促進合成法
5 神経伝達物質と興奮毒
6 出典
7 関連項目
8 外部リンク
クエン酸回路の一員である2-オキソグルタル酸が、グルタミン酸トランスフェラーゼ
生合成
あるいは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ (EC 1.4.1.3) による、グルタミン酸の2-オキソグルタル酸とアンモニアへの分解反応の逆反応により合成される。L-glutamate + H2O + NAD(P)+ → 2-oxoglutarate + NH3 + NAD(P)H + H+ コンブ、チーズ、緑茶などに大量に含まれるほか、シイタケ、トマト、魚介類などにも比較的多く含まれていることが知られている。 主に、食品添加物であるL-グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ、mono sodium glutamate、MSGあるいはグル曹とも呼ばれる)の中間原料として製造、利用される。グルタミン酸そのものは酸味を持つため、そのナトリウム塩であるグルタミン酸ナトリウムが調味料(うま味調味料)として利用されている。L-グルタミン酸ナトリウムを主成分とする調味料として、日本では味の素などがよく知られている。昆布等からのグルタミン酸の抽出には水に含まれるミネラルが悪影響を及ぼすので軟水の使用が望ましい[1][2][3]。 グルタミン酸の製造は、現在では微生物のアミノ酸発酵により、主に糖蜜またはコメ、コーンスターチなどと塩化アンモニウムを原料として、生産されている。詳細はアミノ酸発酵 グルテン、大豆蛋白 生合成にも使われているグルタミン酸デヒドロゲナーゼや、アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸合成酵素などの酵素と補酵素の作用によって、それぞれ異なる原料から製造する方法もある。 グルタミン酸は、神経系では、興奮性神経伝達物質の一つであり、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。他方、グルタミン酸は、神経系では、内因性興奮毒としての性質を持ち、細胞死、パーキンソン病、抑うつなどの神経症に関わっている[4]。大脳皮質でグルタミン酸は脳虚血などの病的状態においては神経毒として作用し、神経細胞の壊死を起こすことが知られている[5]。ニューロン周囲のグルタミン酸濃度が危険な濃度にまで達すると、ニューロンはアポトーシスと呼ばれるプロセスによって自己を殺す。このプロセス全体は、グルタミン酸塩が通常は低い濃度においては興奮性の神経伝達物質として作用することから興奮毒性と呼ばれている[6]。
存在
利用
製法
加水分解法
抽出法によって抽出すれば利用可能であり、1930年代には工業化されたが、コストが高いことと、廃棄物が多く出ることから、現在は用いられない。
化学合成法化、加水分解を行うと、DL-グルタミン酸が得られる。これからL-グルタミン酸を分離すればよいが、約同量のD-グルタミン酸ができるので、効率が悪く、現在は用いられない。
酵素促進合成法
神経伝達物質と興奮毒
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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