L・M・ビジョルド
[Wikipedia|▼Menu]
当初は以前のように趣味として執筆するつもりだったが、職業以外のことに必要な作業が多いことに気づき、プロに転向することにした。カールとパトリシア・リーディ(英語版)の助けを得て最初の長編小説を完成することができた[20]
サイエンス・フィクション

ロイス・ビジョルドは、『戦士志願』が4回突っ返された後で受け入れられる前に3冊の本(『名誉のかけら』、『戦士志願』、『遺伝子の使命』)を書き上げていた。『戦士志願』は最初に売れた本だが、ヴォルコシガン・サガで最初に書かれた本ではなく、最初に出版された本でもなかった[注釈 1]。『戦士志願』の強さに基づいて、ビーン・ブックス(英語版)は2冊の一連の小説を含む3冊の契約に同意した。2010年までに、Bean Booksはビジョルドの本を200万部販売したと主張している[21]

ビジョルドは、およそ1000年先の未来の、惑星バラヤー出身で肉体的に障害がある星間スパイで、傭兵艦隊の提督であるマイルズ・ヴォルコシガンを主人公とした一連の小説である「ヴォルコシガン・サガ」で最もよく知られている。このシリーズにはマイルズの両親を主役とした前日譚や、脇役を中心とした関連作品も含まれている。初期の作品は戦闘、陰謀、突飛な展開などのスペースオペラの伝統をしっかり受け継いでいるが、最近の作品ではマイルズはより探偵っぽくなっている。『任務外作戦』でビジョルドはさらに別のジャンルを探求しており、それは摂政時代のロマンス(英語版)小説家であるジョージェット・ヘイヤーに敬意を示した(献辞に明記)プロットを備えた上流社会のロマンスとなっている。悲惨なディナーパーティーを中心に描かれており、「生物学とマナーのコメディー」という副題が正当化されるような誤解や会話が盛り込まれている。

ビジョルドはこのシリーズ構成はホレイショ・ホーンブロワーの本をモデルにしており、1人の人間の人生の記録だと述べている。主題と繰り返しにはドロシー・L・セイヤーズによるミステリーの登場人物ピーター・ウィムジイ卿が反映されている。ビジョルドはまた、シリーズを書く際の課題の一部は多くの読者が「まったくばらばらな順序」で物語に出会うことがあるので、過度に反復的にせず、それぞれの物語に十分な背景を提供する必要があることだとも述べている。ヴォルコシガン・サガの最新版には、各巻の巻末にシリーズ内部の年表を要約した付録が含まれている。

ビジョルドは、ヴォルコシガン・サガを読む際の最適な順序についての自身の見解をブログで論じている[22]
ファンタジー

ビジョルドはファンタジージャンルへも参入したいと考えていたが、初期の試みは挫折した。最初のファンタジーへの進出は『スピリット・リング(英語版)』だった。「仕様」通りに執筆し、いろいろ売り込みにまわったが低価格のオファーしか受けられず、原稿を回収してジム・ビーン(英語版)との追加のヴォルコシガン・シリーズ執筆の約束と引き換えにビーン・ブックス(英語版)に適正価格で引き取ってもらった。ビジョルドはこの経験を非常に勉強になったと語ったが、批評家からの評価はほとんど得られず、売り上げも平凡なものだった。

ビジョルドは『チャリオンの影』を書くまでの10年近くはファンタジー市場への再参入を試みなかった。この本も仕様通りに書かれ、ブックオークションに出品された今回はファンタジーとロマンスジャンルのファンのクロスオーバー市場を開拓することで、批評的にも商業的に大きな成功を収めた。チャリオンのファンタジーの世界はビジョルドが暇なときにミネソタ大学で中世スペイン史についてのコースを受講していたことが反映されている。ビジョルドは、最終的に『影の棲む城』、『影の王国』およびペンリックとデズデモーナについてにの11冊の長編、中編および短編小説を含む「五神教シリーズ」へと設定を拡張した[23]

ビジョルドが次に創作したファンタジーの世界は、「死者の短剣シリーズ(英語版)」の世界を舞台にした四部作で、作中の風景や「農民」の方言についてのインスピレーションを、自分がオハイオ州中部で一緒に育った人々から借用したものだった[24]。ビジョルドは、この本の校正を手伝ってくれた最初の読者がビジョルドの文章は正確に理解でき、説明や方言におけるオハイオ州の特徴を認識できたと言っていたと書いている。。
ファン・フィクションとの関係

ビジョルドは通常、自身のキャラクターや創作世界について書かれたファン・フィクションを支持してきた。エイミー・H・スタージスは、自身のエッセイ『From Both Sides Now: Bujold and the Fan Fiction Phenomenon』の中で[18]、ビジョルドの世代の作家にとってこれは異例のことであり、そのほとんどがファン・フィクションに反対していると述べている。スタージスはこれを、ビジョルドが人生の早いうちに自分で制作したスタートレックやシャーロック・ホームズのファン・フィクションに関連付けて、それがプロ作家としてのキャリアのための見習い期間だと見做していた。

ビジョルド自身は、ファン・フィクションに対する自分の評価を「アクティブな」読者に対する評価と結び付けている。ビジョルドにとって優れた読者とは、実際に頭の中で世界や登場人物を構築し、物語を機能させる「縁の下の力持ち」である。彼女にとって、本は読者の頭の中に入って成長するまでは実際には存在していない。そして時には、本の登場人物や物語が成長しすぎて作家の本来の枠を超えたものがファン・フィクションになることもある。ビジョルドにとって偉大な文学とは決して「不毛」なものではなく、原作者が書いたものだけでとどまっているものでもない[25]。さらに、ファン・フィクションは作者に「目に見えない協力者」である読者の心の中を覗くまたとない機会を与える者と信じている[26]

それにもかかわらず、ビジョルドは「それが魅力的だと思うから」法的および経済的な懸念から自分のキャラクターについてのファン・フィクションを読まなくなっている[26]
受賞と候補

シリーズ書籍賞[27]
ヒューゴーローカスネビュラ
ヴォルコシガン
・サガ
『自由軌道(英語版)』(1988)候補?受賞
『ヴォル・ゲーム(英語版)』(1990)受賞候補?
『バラヤー内乱(英語版)』(1991)受賞受賞候補
『ミラー・ダンス(英語版)』(1994)受賞受賞?
『メモリー(英語版)』(1996)候補候補候補
『任務外作戦(英語版)』(1999)候補候補候補


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:57 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef