KISekae_Set_system
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KISSのスクリーンショット

KISekae Set system (着せ替えセットシステム、KISS)[1] とは当初仮想「紙人形」を作るために設計された、アートコンピュータの融合である。コンピュータを通じて作成したり表示したりする伝統的なアートである「コンピュータグラフィックス」とは異なり、KISSはコンピュータをメディアとして使い、アニメーションするばかりでなく、双方向のアートを可能にする。
動作環境

KISSはオープンスタンダードであり、何種類かのPDAを含むほとんどすべてのプラットフォームにある程度実装されてきた。JavaやWebページ[2]による実装も存在する。
歴史

KISSは1991年、少女漫画キャラクターに基づく"人形"とともに日本で始まった。

最初の人形は互いの周囲や前後に重ねて動かすことができ、あたかも人形の画像が服を着ているように見える、単純で静的な画像の集まりだった。コンピュータグラフィックスを使うことにより、視覚的には離れた部品を含む複数のレイヤを同時に動かして物理的な紙では不可能な奥行きがあるように見せかけられるという点で、伝統的な紙人形より優れていた。

初期の表示ソフトウェアはPC-9800シリーズ向けに設計されており、16色のパレットで人形を表示していた。ほどなく、VGAビデオカードと256色や複数の16色パレットのサポートを含む、機能強化された標準 ('KISS/GS2'として知られるGeneral Specification 2[3]) が提唱された。この標準はまだKISSに基づいていたが、その後いくつかの追加仕様、とくに双方向性とアニメーションを制御する French KISS (通称fkiss[4]) と32ビットトゥルーカラーをサポートする Cherry Kiss (通称ckiss[5]) がビューアに組み込まれた。

1990年代後半に、KISSは日本のBBSコミュニティからインターネットを通して「人形」を作成するアーティスト、サポートツールを作成するプログラマ、そして世界中に現れたファンとともに国際的に広がった。

KISSセットはしばしば '人形' と一般に呼ばれるが、着せ替えとは限らないことに注意されたい。実際にはあらゆるものが可能であり、福笑い、ウェディングケーキ、ドールハウス戦艦、そればかりかパズルゲーム、他にもたくさんのものが存在する。このような人形以外のセットを、英語圏では 「aberrant KiSS」(異常なKISS)と呼ぶことがある。
形式

KISSセットはさまざまな異なった形式の、多数のファイルからなる。これらはLZH形式 (日本における推奨アーカイブ形式) で単独の「人形」として配布用にパッケージされる。ビューアプログラムはLZH形式から個々のファイルをまとめて取得できる。

ほとんどのファイルはアニメーションセルに似た生の未圧縮画像データ'セル'ファイルである。 KISS/GS2仕様のセルはKCF (KISSカラーファイル) もパレットとして必要とするが、ckiss仕様セルには必要ない。KCFは背景色の制御もでき、明るさと色を変化させる効果のために入れ替え可能な複数のパレットを含む。KISS/GS2以降のすべてのKISSバイナリファイル (KCF、標準セル、ckissセル) は共通の32バイトバイナリヘッダレコードを持ち、サイズ、種類、および含まれているKISSデータの形式を識別する。

フィールドサイズ、重ね合わせ、セルの位置、パレットの使用、そして対話的操作やアニメーションのイベントを制御するために設定ファイルも必要である。

加えて音楽用のMIDIファイルと効果音用のWAVファイルが使え、一般には何らかの形で作者がテキスト文書も含めている。
追加セット

KISSセットは「追加セット」と呼ばれる過程により、他のKISSセットからリソースを獲得することが許されている。これによりもとのセルを新しいセットに組み込むことなく、新しいバージョンの人形が作れるようになった。これは以前のバージョンを置き換える必要がなくなり、原作者が誰であるかの混乱を招くことなく異なる作者が人形にデータを追加できるということを意味する。この機能はもっとも初期のビューアまでさかのぼれるが、追加セットの読み込みの詳細には多少ビューア依存の点が残っている。
拡張

多数の機能がKISSに追加されてきたが、メインKISS形式へ公式に組み込まれたものは1つもない。互換性を維持するためと未サポートのビューアから隠すために、これらの機能は設定ファイル内でコメントに見せかけられてきた。各種の拡張は (ユーザーグルーピングを除き) まず日本で導入されたが、 (Cherry Kissを除き) すべて後に国際ビューアで拡張された。
French KISS

'French' KISS (もしくは'fkiss') はKISS/GS2仕様への実験的な追加機能として作成されたイベント駆動スクリプト言語である。fkissはアニメーションとより優れた双方向性をKISSで可能にするため、日本で導入された。fkissは最初の拡張であり、テスト目的だけを意図していたが、そのまま有名になって固定化された。すべてのfkiss命令はその設定ファイル内の行で以下の文字列から始まる:;@

";"は通常コメントの開始を示し、当初はビューアがfkissを処理しない場合に備えて処理指令を隠していたが、fkissは今やすべてのビューアで標準である。

fkiss自身も何度か拡張されてきた:

'FKiSS2'[6]は代替プラットフォーム用のビューアを作成している国際的なプログラマによって最初に実装された。FKiSS2では衝突の検出、相対移動、および単純な条件テストが追加された。このレベルのFKiSSは非常に古いものを除き、すべてのビューアでサポートされている。これは日本でサポートされた最後のレベルとなった。

'FKiSS3'[7]変数計算、および制御構造を追加し、より完全なスクリプト言語に近くなった。

'FKiSS4'[8]は、とくにユーザーグループ化のサポートによりFKiSSの能力を単純化して拡張したが、今までのところサポートしているビューアはほとんどない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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