そして、もう1つの近代化計画として、エンジンをCFM56 ターボファンエンジン(軍制式名称:F108-CF-100、推力:9,980kgf)に換装したKC-135Rは、1984年7月から戦略航空軍団への引き渡しが始まった。こちらは燃料搭載量の増加とAPUの追加が行われ、エンジンパイロンは新設計となった。さらに水平尾翼の拡大、脚の強化に伴うアンチスキッド・ディスクブレーキの採用、アビオニクス更新、電気/油圧システムの全面更新などの大規模な改修によって2020年頃までの使用が可能とされた。エンジンの低燃費化と燃料搭載量増加によって給油能力は50%向上し、湾岸戦争ではR型2機でA型3機に相当すると評された[9]。また、KC-135QのCFM換装型はKC-135Tと呼ばれ、R/T型あわせて415機改造された。
E型とR型を比較すると、APUを装備するR型は地上支援施設の援助なしで自立運用ができるが、スラストリバーサーを装備するE型は着陸性能でR型に勝る。R型は1997?2001年のPacer-CRAG計画[10]や2016年からのBlock 45改修[11]によってコックピットの近代化を段階的に進めていったのに対し、E型は2009年に最後の機体がアメリカ空軍から退役している[12]。
1990年代後半には後継機計画であるKC-X(次期空中給油機選定計画)が開始され、紆余曲折の末2011年2月にKC-767をベースにしたKC-46Aが後継機に選定された。計画では179機を調達予定で、まず18機を2017年までに調達するとしている。しかし充分な数のKC-46を調達するには予算が足りないため、KC-135をさらに40年延命するための改修を実施する予定である[13]。
ギャラリー
F-16に給油するKC-135R
給油中のF-15(中央)とF-22(下)
給油中のA-10
アタッチメントを使用して給油中のEA-6B(下)とF/A-18F(上)
給油オペレータ席
給油オペレータ用ウェイト&バランスコンピュータ
KC-135Rのコックピット
Block 45改修によってグラスコックピット化されたKC-135Rのコックピット
採用国
アメリカ合衆国
NASAではアメリカ空軍の払い下げを嘔吐彗星として使用していた。
フランス
C-135Fとして新造機を12機導入。うち11機は後にエンジン換装によりC-135FRとなる。後に元米空軍機のKC-135Rも3機取得。
トルコ
1994年より旧米空軍のKC-135Rを9機導入[14]。
シンガポール
1999年より旧米空軍のKC-135Rを4機導入[15]。
チリ
2010年より旧米空軍のKC-135Eを3機導入[16]。
バリエーション.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}KC-135AKC-135E
C-135も参照。ここには空中給油機型のみ記載。
KC-135A
量産型。搭載エンジンはJ57。732機製造。
KC-135B
A型をC-135B規格にしたもの。実際には全てEC-135C/Jとして納入された。
KC-135D
RC-135Aを空中給油機に改造したもの。
KC-135E
空軍州兵・空軍予備役軍団向け改修機。A型のエンジンをボーイング707から取り外したTF33に換装し、水平尾翼も同じく707から取り外したものに換装している。
KC-135Q
SR-71偵察機用のJP-7燃料に対応した空中給油機。JP-7を自身が使用する通常のジェット燃料と併せて搭載するが、通常のジェット燃料のみ扱うこともできる。また、SR-71とのランデブーを確実なものにするため航法/通信機器も強化されている。A型より56機改造された[9]。
KC-135R
A型のエンジンをF108に換装し、燃料搭載量の増加とAPUの追加などが行われた改修機。
KC-135T
Q型を通常燃料搭載機として改修した機体。基本的にR型と同じ。
C-135F
フランス向け。後にKC-135Rと同様の改修が施され、C-135FRとなった。
仕様
KC-135A
全長:41.5 m
全高:12.7 m
全幅:38.9 m
自重:48 t
エンジン:P&W J57-P-59W ターボジェット( 推力:4,536 kg )4基
最大速度:940 km/h
KC-135R
全長:41.53 m
全高:12.7 m
全幅:39.88 m
最大離陸重量:146.285 t
最大燃料搭載量:90.719 t(F-15E:8.9機、F-22:8機、F-35:11機が満タンになる)
最大貨物搭載量:37.648 t / 人員37名
エンジン:F108-CF-100 ターボファンエンジン(推力:9,798kg)4基[17]
主な空中給油機の比較KC-135RKC-10KC-767KC-46エアバス A330 MRTTIl-78M
画像
乗員3名4名3名3名3名6名
全長41.53 m55.4 m48.51 m50.5 m58.8 m46.6 m
全幅39.88 m50.4 m47.57 m48.1 m60.3 m50.5 m
全高12.7 m17.1 m15.9 m17.4 m14.76 m
空虚重量―――82.377 t――
基本離陸重量―109.328 t――――